表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

二日目「逆行」

「バイブが鳴ってるわよ、佳奈ちゃん」

「それ、ニュースか、ディー・エムだから」

「ほんなら、放っておいても平気やね」

「すみません。お話中ですか?」

「お構いなく。どうぞ」

「青のスカーフだから、会長と同じ三年か」

「関瀬さん、やね?」

「はい。良かった。名前を覚えてる人がいて」

「お知り合いですか、会長さん」

「その割には、よそよそしいような」

「入試のときに隣の席やってん。ボールペンを忘れたもんやから、貸してもらったんよ」

「それだけのことです」

「それだけってことは無いと思いますよ?」

「そうそう。貸さなかったら、受からなかったかもしれないし」

「あの時は、本当に助かったわぁ。そのお礼と言うのも何やけど、何でも相談に乗るから、話してみ?」

「はい」


「写真部も、新入部員不足なのね」

「スマートフォンに押されてる感じだな」

「わざわざ重たいカメラを首から提げる必要性はあらへんもんなぁ」

「そうなんですよねぇ」

「そこは自信を持ちましょうよ」

「そうそう。そこでアナログ機器にしかない魅力をアピールしないと」

「奥床しいのんも結構やけど、せっかく才能があるんやから、宣伝せぇへんともったいないわぁ」

「そんな、才能なんか」

「ありますよ。昨年の文化祭で作品を拝見しましたけど、思わず息を呑みましたもの。ねぇ、佳奈ちゃん」

「あれは、凄かった」

「少なくとも、ここの三人が支持してるんやから、それを無駄にせぇへんようにして欲しいわぁ」


「あぁ、肩が凝った」

「初日とは逆方向で疲れたわぁ」

「足して二で割りたいところですね」

「本当にね」

「これで、出来ない理由を見付けて諦めるんやなしに、どないしたら出来るのかを考えるようになってくれたら、こっちとしては万々歳なんやけど」

「難しいところですね。――バイブが鳴ってるわよ、佳奈ちゃん」

「だから、これは、ニュースか、ディー・エムなの」

「要らん情報に限って、しつこうに何度も送られてくるんよね」

「それによって、欲しい情報が埋もれてしまうんですよね」

「上質なものは、作るのに時間がかかる」

「せやから、速さと量の勝負になると負けるって訳やね」

「効率を追求すると、つまらないものが量産されますものね」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ