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プロベイショナー 第一章『ワン リトル キス』  作者: 早生しあ
STORY 2
9/23

叔父さんとアドルフくんと【2】

 犯罪者?

 今の説明からどうしてそうなるの。

 犯罪者だから、殺されたの?

 アドルフくんまで巻き込んで。

「父親に姉夫婦がいる。子どもはいない。生き残った甥を非常に心配している。とりあえず怪我が治るまでは動かせないと伝えてもらった」

「おばさんがいる……」

 あたしはほっとした。

 悩まなくてもいい。アドルフくんが家に帰れる。

「あたし、アドルフくんを早く治すのよね! 早く家に帰って……」

 あたしはいてもたってもいれなくなって部屋に戻ろうとする。

 少しだけ叔父さんに振り返った。

「調べてくれてありがとう、なのよね」

「聞いたか? 兄さん聞いたか!? メグが愛してるって」

「言ってへんて」

 叔父さんて結構うざい。

 あたしは部屋でまだ目を閉じているアドルフくんに駆け寄った。

「アドルフくん、アドルフくん」

 名前を知ったことが嬉しくて何度も声をかける。

 アドルフ・ステイマー。さっきまで知らなかった名前。

「早く元気になってほしいのよね。アドルフくん、起きたら家に帰れるのよね。お父さんが……悪い人でも……関係ないのよね」

「メグ」

 また叔父さんが来る。

 あたしの部屋に一歩踏み入れた。

「叔父さん、出て行ってよね! 女の子の部屋に無断で入るなんて信じられないのよね!」

 あたしは叔父さんにクッションを投げ付けた。叔父さんはそれを受け止めてあたしの隣に立つ。アドルフくんを見下ろした。

「メグ、その子どもの寝る場所は玄関に用意してやる。後成りごときにマスターのベッドなんてもったいないだろ」

「子ども、でも、後成り、でもないのよね! アドルフくんなのよね! 玄関に寝かせるとか……どうして叔父さんはさっきからあたしに喧嘩売るの!?」

「俺は、人間は嫌いだ」

「アドルフくんはもうヴァンパイアなのよね! それに人間嫌いとか言う叔父さんなんて、あたしは嫌いなのよね!」

 叔父さんの言葉に悲しくなる。

 いつも優しいと思っていたのに。それは植物にも動物にもそうだったから、当たり前に人間にもそうだと思っていたのに。

「アドルフくんは……あたしの大切な下僕なのよね……っ」

 冷たく言い続けられて悔しくて、あたしは我慢できなくなる。歯を食い縛っても涙が溢れて、アドルフくんの眠る布団に顔を埋めた。

「叔父さんなんて嫌い! あたしにもアドルフくんにも近寄らないで! ほっといて!」

 静かに立ち去る音がした。

 それでもあたしは、アドルフくんにしがみついて泣き続けた。



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