叔父さんとアドルフくんと【2】
犯罪者?
今の説明からどうしてそうなるの。
犯罪者だから、殺されたの?
アドルフくんまで巻き込んで。
「父親に姉夫婦がいる。子どもはいない。生き残った甥を非常に心配している。とりあえず怪我が治るまでは動かせないと伝えてもらった」
「おばさんがいる……」
あたしはほっとした。
悩まなくてもいい。アドルフくんが家に帰れる。
「あたし、アドルフくんを早く治すのよね! 早く家に帰って……」
あたしはいてもたってもいれなくなって部屋に戻ろうとする。
少しだけ叔父さんに振り返った。
「調べてくれてありがとう、なのよね」
「聞いたか? 兄さん聞いたか!? メグが愛してるって」
「言ってへんて」
叔父さんて結構うざい。
あたしは部屋でまだ目を閉じているアドルフくんに駆け寄った。
「アドルフくん、アドルフくん」
名前を知ったことが嬉しくて何度も声をかける。
アドルフ・ステイマー。さっきまで知らなかった名前。
「早く元気になってほしいのよね。アドルフくん、起きたら家に帰れるのよね。お父さんが……悪い人でも……関係ないのよね」
「メグ」
また叔父さんが来る。
あたしの部屋に一歩踏み入れた。
「叔父さん、出て行ってよね! 女の子の部屋に無断で入るなんて信じられないのよね!」
あたしは叔父さんにクッションを投げ付けた。叔父さんはそれを受け止めてあたしの隣に立つ。アドルフくんを見下ろした。
「メグ、その子どもの寝る場所は玄関に用意してやる。後成りごときにマスターのベッドなんてもったいないだろ」
「子ども、でも、後成り、でもないのよね! アドルフくんなのよね! 玄関に寝かせるとか……どうして叔父さんはさっきからあたしに喧嘩売るの!?」
「俺は、人間は嫌いだ」
「アドルフくんはもうヴァンパイアなのよね! それに人間嫌いとか言う叔父さんなんて、あたしは嫌いなのよね!」
叔父さんの言葉に悲しくなる。
いつも優しいと思っていたのに。それは植物にも動物にもそうだったから、当たり前に人間にもそうだと思っていたのに。
「アドルフくんは……あたしの大切な下僕なのよね……っ」
冷たく言い続けられて悔しくて、あたしは我慢できなくなる。歯を食い縛っても涙が溢れて、アドルフくんの眠る布団に顔を埋めた。
「叔父さんなんて嫌い! あたしにもアドルフくんにも近寄らないで! ほっといて!」
静かに立ち去る音がした。
それでもあたしは、アドルフくんにしがみついて泣き続けた。