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あたしのお兄ちゃん【7】
家に帰る夜に、あたしはアドルフくんの歌を聴いた。
ホテルのロビーでチェックアウトを待っている時間、二人になったときにアドルフくんが、歌ってくれた。
アドルフくんの母さんの歌で、お母さんのを聴いたときみたいに不安に襲われない。
心地よく心に響いた。
家に帰る途中の車の中で、アドルフくん……アディが一人部屋はもったいないと言い出した。
住んでたところではリビングとベッドルームとお父さんの部屋だけで、自分の部屋を持っていなかったという。
叔父さんがアディに自分の部屋に来たらいいと言ったが、それをあたしは阻止した。
「あたしの部屋は広いから、アディと分けてもいいのよね。同じ学年だし、勉強も一緒にできるのよね」
「大きくなったら困るだろ」
叔父さんが食い下がる。
「その時はその時なのよね。部屋を別々にする時はアディが一人部屋をもらうときなのよね」
「俺もそれでいいです」
アディがお父さんに言い、お父さんはしばらく考えていた。
「まあ、ベッドも大きいしな。アディのベッドが届くまで一緒に寝てもええもんな」
お父さんが了承したから、叔父さんは不満そうに車のシートに沈んだ。
もちろん今はお父さんが運転してる。




