終焉の時
詩 「終焉の時」
告知者達が12星座をそれぞれ主宰する首長達の許をおとない
画家が描写した星座図の森羅万象は犇めく様にして全天を周回させられている
ガリレオ・ガリレイを宗教裁判に付したローマ・カトリック教会の建立された地輿に拠って
天側儀を持する聖母と第一の天使の名を併せて持つ占星術師の遺した百の集合
一は十二に分たれ改められた四は百となりそれは世界の未来の諸世紀となる
双魚宮は空虚なものとなり人馬と同一の意味を生す
讃美すべき大聖年での
疫病 飢餓 軍隊に拠る死
新たな一千年を迎え入れる直ぐ前に
ミカエル ガブリエル ラファエル アナエル サマエル ザカリエル オリフィエル
彼等告知者はキリスト教会を守護し給う
三二五年のニカイア宗教会議でイエス・キリストと太陽は鮮耀して復活した
萌芽と誕生の宮の許で月が円満の顔貌を見させる日の神との古い契約を結んだ者達の祝祭
しかし新しい契約を結んだ者達は月を欠如させた上で其所にも太陽を求めたのである
太陽は王であるのだから
ユダヤ人の王が復活したのであるからそれは当然の事なのである
逃げよ 逃げよ ?から逃隠せよ
教会の時代は黄金(双魚)から鉄(人馬)へと変移するであろう
太陽を否定するものが全てを絶滅させる
大いなる天空は前知らせをしている
ヘルメス・トート マヌ ゾロアスター ヌーマ達が端緒を開き
プトレマイオス トマス・アクィナス ロジャー・ベーコン ヨハネス・ケプラー ウィリアム・リリー達が整備した大河の流れ
集合無意識を司る三つの不可視の惑星が諸人に時代を知覚させる天文学者に依ってその存在を明らかなものとされ
その星達が告知者達と見詰め合う角度を知った占星術師達が時代の出来事を予見し
そうして人々はようやく彼等の時代を現実として理解する事になるのだ
第一から第七までの天使の喇叭が吹き鳴らされた時
殺戮が執行される
それはイエスの昇天から一千年を累積させた時代
死者達は墓から出て来るであろう
妖精ネフェレーとプリクソスとヘレー兄弟の黄金の毛を持した天空を駆ける牡羊
イーオーの子孫であるエウロペと彼女を攫った雪の如くに真白の大人しそうな牡牛
死と不死を分ち合う人間カストルと神ポルックス 双子の兄弟
英雄ヘラクレスにヒドラと共に退治された大蟹
人間に人間であると解かれ死した化獅子
結果この世界に四季を齎したデメテルと乙女
銅の時代に天空へと帰ってしまったアストレイアの天秤
オリオンを一刺しで殺害した大蠍
勇者達に武芸百般を伝授した射手
上半身は山羊下半身は魚に変貌して神々を大笑いさせた女好き
人間の中で最も容姿の麗しい金色に輝耀する永遠の美少年給仕
河の中を魚に変身して相互の尻尾を紐で縛り逃隠した母と息子
彼等と他の星座達の1日は太陽より1度多く移動して
1年後の彼等は1年前に彼等を見上げていたあなたを回想させる
魂魄を喪失した肉体―十字架のイエスは最早人間の罪科の犠牲にはされない
死の日には彼は本来の自然の中へと解放され
幸福な霊となるであろう
神の御言葉を永遠のものとして仰ぎ見ながら
スチュワート・ロブは言った“彼は完璧に正しいのである”と
死の勝利から諸人を済世し十二冊の中の百篇ずつの四行詩に世界の未来の全てを詰め込んだ
相も変らず告知者達は12星座をそれぞれ主宰する首長達の許をおとない
画家が描写した星座図の森羅万象も同様に犇めく様にして全天を周回させられている
聖母と第一の天使の名を併せて持つ占星術師の予言は宝瓶宮時代には無用のものとなるのか
それとも
月の神の下での殺戮の二十年間は過ぎ去り
天空上の春分点が射手座に移動する紀元七千年には別の存在が教導の王国を築くであろう
その時に太陽は日々の運行を止めて
同一にして私の予言の全ても終焉するのである
≪?には現時点では判らない超人の名前が入ります≫
短歌
蛇口よりながるる湯にうかびし桶のやうなものかノアの箱舟
俳句
しらゆきは堂上の十字架をさいなめり
絵
B5コピー用紙使用