儚く脆い僕の隣には、魔法少女が存在した。
人はみな、独りになる事に恐怖している。そして人生とは何か、と「悶える」
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「分かってくれたんだ。うれしい」「なんでミサキさんが生きているの?」僕は目の前に立っている彼女を見て、漠然としていた。僕の目の前に、死んだ筈のミサキさんが存在しているのだ。
「ミサキさん…だよね?」
「そうだよ?ミサキだよ。あなたの教室の学級委員長で、無責任な元あなたの友人の彼女」
なんだよその格好は、だとか、なんで生きているの?だとか、いろいろな疑問が脳へ淡々と浮かぶ。ミサキさんはとても愉快そうに口角を上げ、幽霊でも見ている様な顔をしている僕を眺めていた。
「悶えているね」
「当たり前さ」
僕を蹂躙していた炎はミサキさんの登場と共に消え、黒く生々しい火傷が残っている。「私ね、初めてマコト君と出会った時から、すぐに分かったの」ミサキさんが口を開き、呟く。「何を分かったんだよ」
「私と一緒だな。って」
「え」
「女の子って凄いんだよ。君はバレていないと思ってたらしいけれど」ミサキさんは淡々と呟く。僕を揶揄して楽しんでいる様な口調に、僕はさらに困惑した。「あなたが私を気にかけていた事なんて、全部知ってるよ」
「マコト君。私の事、見てる?」あの時の記憶が強引に引っ張り出されて行く様に浮かぶ。あの日の光景が脳で再生される。僕は突然の事に緊張し、蒸発しそうなくらいに顔面を真っ赤にし、聞き取るには難しい声しか出なかった。
「私ね、マコト君と仲良くなりたいなあって思って、いろいろ頑張ったんだよ?」
「え?」
「どうしようか悶えた結果、無責任で大人を馬鹿にするあなたの友人に告白したの」
「それは…知ってる」
「相手はもちろんOKだったわ。私的にはそのままマコト君とも関係を得られる、と思っていたのだけれど」
「マコト君たら、ちーっとも関わって来なくて、しかもその人と友人関係を止めちゃうんだもん」ミサキさんは僕の反応を見て楽しみ、翻弄させては頬が綻んでいた。「そんな時に怪獣が現れたのだけれど」
「それからは驚きの連続だったよ」とミサキさんは愉快そうに一度空を見上げ、「キリカと一緒にいる、と知った時は本当に驚いたよ」と堪えなくなった笑いを吹き出しながら手を何度も叩く。大笑いだった。何がおかしいのだろうか、と疑問が浮かんだ瞬間に、ミサキさんは「もっと殺してみたくなったよ。マコト君」と急に一変した表情でそう吐いた。
僕は「え?」と蒼褪め、萎縮する。「いやーあんな楽しそうなキリカ初めて見たよ」
「君が死んだら、キリカも泣いちゃうだろうね。悶えるんじゃないかな?」
「は?今、なんて――」その瞬間、僕の体全体に火が付いた。
「は?」と声が漏れた時にはすでに肌が爛れて行き、肉自体が燃やされている事に気が付く。うあああ、と悲鳴を漏らしながらその場に倒れる。「そのまま灰になってよね?」僕の顔を上から覗きながらミサキさんが吐き捨てる。「マコト君」そして霧の様に姿を消して行った。
なんだよ、せっかく生きようと思ったのに。こんな呆気なく死ぬのかよ、とつい苦笑する。悪い癖がまた出てしまい、キリカちゃんが「なんだよ」と不快そうに言って来る顔が浮かんだ。
「僕は君の為に死なないよ」なんて事を格好つけて嘯いていたくせに、燃やされて消えて行くのだから、自分勝手だなあ、と苦笑した。まただ。
盛んに燃え上がる炎が視界を邪魔して来るのが煩わしいが、僕は空を眺めていた。こうやって僕達は喧騒な音に包まれながら地上に足を着いているのに、空を見上げれば淡くすぐに形を変えてしまう塊が悠々と浮かんでいる。それが不思議に思う。
人はみな、独りになる事に恐怖している。キリカちゃんには悪いと思う感情しか脳に出て来なく、人生とは後悔の連続だな、と脳裏で呟く。すぐに、「違うな」と訂正した。
「な、んだぁ。こんな、に簡単だ、、ったんじゃあ、ないか」
答えなんてどれだけ手を伸ばしても見つからない。人生なんてのは答えは存在しなく、曖昧模糊としたままのが答えだ。
そうだろミサキさん?と脳裏で呟く。何に悶えているのやら。自分自身に、つい呆れてしまった。
人生とは、そういう事に疑問を覚える事だ。 END
はい。最終回でしたー。 なんなんだこの消化不良、と思った方には申し訳ないです。 まず、読んでくれた人がいるのかわからないけれど。 今考えている新作は、コメディたっぷりなので楽しみにしていてください。




