残酷な真実
真実は、突然襲った事故のようだった。
そこは本来、ミオが立ち入ることは許されていない場所。
ミオが召喚された場所でもある禁書庫の扉が、半開きになっていた。
彼女は、ただレオンを探していただけ。
「……もう、他の可能性はないのか?。」
ページをめくる音。
「あの時の状況から、そうとしか考えられない。」
「俺達はなんて事を……。」
「しょうがないだろ!召喚が成功するなんて……あの人が、レオン様が“恋をする”なんて思わなかったんだ。」
聞こえてきたのは、五人の声。
「『あり得ない』が『あり得た』らいけないなんて。」
五人の声に、ミオの呼吸が止まった。
「レオン様が死ねば、彼女は帰れる。」
「レオンが彼女を愛せば、彼女は……。」
『あり得ないモノ』は、『あり得ない』原因がなくなれば、元に戻される。
しかし
あり得てしまった場合
世界は「起きた結果」を許容せず、 原因や存在そのものを消去する
つまり
世界は「可能性」には戻し、「結果」には抹消で応える。
レオンがいなくなればミオは元の世界に戻れる。
レオンがミオを愛してしまえば、ミオは世界から消えてしまうと言う事だ。
なんて残酷な世界なのだろう。
「でも俺は……レオン様を失う事なんて選べない。」
静寂。
誰かが、低く言った。
レオンは……口煩く怖い上司でも五人にとっては恩人だ。
「……あの人を失うくらいなら、俺は一生、罪を背負う。ミオに償い続ける。」
ミオは、音を立てずにその場を離れた。
廊下の壁に背を預け、ゆっくりと座り込む。
――レオンが死ねばミオは帰れる。
しかし、レオンがミオを愛せばミオは消えてしまう。
震えるミオの視界に入ったのは、禁書庫にはいるレオンの姿。
きっとレオンは、今ミオが聞いた話を聞くだろう。
ミオとレオンが少しずつ惹かれ合っている……その事実に気付かないほどミオは鈍くない。
その先を考えると体が震えた。




