面白半分の代償
「何故ミオが召喚された?」
ミオは『あり得ないモノ』。
『あり得ないモノ』とは何に対してのモノか。
召喚魔法を使う前の事を思い出す。
五人は上司に叱責されていた。
「理論も詰めずに遊び半分で魔術に触るな。命に関わる」
怒ると本当に怖い、冷酷で完璧で、美形で――
誰一人として逆らえない上司、レオン。
「あの人でも女にメロメロになる事あんのかな?」
レオンが立ち去った後、誰かが吐き捨てるように言った。
「……あの人が誰かに恋するとか、あり得ないよなぁ。」
「人間味ゼロだもんな。」
「女にメロメロ? 世界が終わるわ。」
その直後だった。
“どうせ出来るわけない”召喚魔法が、成功してしまったのは。
現れたのは、異世界の少女・ミオ。
五人は必死に調べた。
禁書、古文書、破り捨てられた理論書。
そして一つの共通点に辿り着く。
召喚されたのは「あり得ないもの」。
そしてそれを引き起こす“原因”が消えれば、元の場所に帰る。
石を切れる包丁は、石が消えれば戻る。
不死は、死が訪れれば終わる。
では――ミオは何だ?
答えは、あまりにも残酷だった。
「……“レオンが、誰かを愛する”。」
それが、五人が同時に考えていた“あり得ないもの”。
彼は感情を律し、弱さを捨て、
誰よりも強く、孤独であることで立ってきた男。
そう結論付けた五人の視線の先に見えたのは、花を愛でるミオと……、ミオを愛おしげに見るレオン。
ミオにだけ見せる柔らかな声。
微笑み。
手を伸ばす仕草。
あり得ないものが、確かにここにあった。




