死体めかし
死んだ私のそばに 私はしゃがむ
死体のあごをつかみ 左右に揺らす
ため息をついて 立ち上がり呟く
さて死体めかしを 始めるとしよう
髪にオイルを ゴシゴシと練りこもう
癖をなくして つややかにするために
肌におしろいを たんと塗りたくろう
毛穴一つない 美肌にするために
まぶたにアイプチを 幾重にも貼ろう
アイドルみたいに パッチリさせるために
唇には 明るいグロスを塗ろう
血色よく 健康的に見せるため
あと下唇は 少し厚いかな?
ハサミで切り分ける ベーコンみたいに
この鼻は 低くて大きすぎるかな?
ペンチで強くつまんで 上に引っ張る
この足は 短くてかっこ悪いかな?
膝を切り裂いて シリコンを詰めこむ
この輪郭は エラが張って見えるかな?
頬の皮膚をはぎ 骨をやすりで削る
「さぁ終わった 見違えるほどの美男子!
これで私は 死後愛されるだろう
手厚く弔われ 惜しまれるだろう」
孤独だった彼は しばらく気づかれず
性格ゆえに 見放されていたので
彼を引き取る人は 誰もいなかった




