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箱の外の静寂

作者: TOMMY
掲載日:2025/12/10

目をつぶって外を歩いてみる。

風を感じ、音を聞き、匂いを嗅ぐ。

すると閉ざされた世界は陰鬱でも混沌でもなく、

彩りある広大な世界だと知れる。


身体の感覚を研ぎ澄ませ、

頭の中のイメージで周囲の空間を創造する。

そこは理想郷であって然るべき。


人間はいつの日からか理想を抱くことを忘れた。

夢を持つことをやめ、

現実だけを見つめ、

効率だけを求める。


四角い箱の中に明かりを灯し、

お互いのことを監視し合って蠢く。

それはまるで、岩の下の虫のよう。


もしも大いなる存在がいたとしたら、

人間の住処たる箱を開けてこう言うだろう。

「ひしめき合って、気持ち悪い」


蟻塚のような会社の箱。

樹液たっぷりの大木のようなショッピングモールの箱。

蜂蜜の養蜂場のような団地の箱。


どれもこれも蓋を開ければ見上げてくる人間の驚いた顔顔顔。想像するだけで鳥肌が立つ。


箱生活に慣れすぎて、外を歩くことをやめた人々。

毎日箱に揺られ、

箱にたどり着き、

箱の中で闇雲に箱製品を作る。


恐怖を閉じ込めたはずの箱の中で、

いつしか自分が閉じ込められている。


そんな箱にまみれた現実に目をつぶる。

箱の外で立ち止まり、

風の匂いをゆっくりと吸い込む。

そこには心の安らぎがある。


世界は、瞼の裏でこそ、ひらかれる。

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