表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『この世界、悪が足りない。』   作者: よしお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/48

第45話 悪役、国際問題に巻き込まれる



国連から帰って三日後。


アクオビ事務所のポストが、見たことない量の封筒で膨らんでいた。


「……ミナセ。」


「はいセンパイ。」


「これ、爆弾とかじゃないよな。」


「たぶん全部講演依頼です!」


やめてくれ。


封筒を一つ開ける。


《国際紛争調停フォーラムより講演依頼》


もう一つ。


《欧州平和研究所より特別講義依頼》


さらにもう一つ。


《南米紛争解決ワークショップ講師依頼》


「……世界、そんなに倒れ方に困ってるの?」


ミナセはキラキラしている。


「センパイ、完全に“世界平和アドバイザー”ですよ!」


「悪役の履歴書にそんな項目ないからな。」



そのとき、電話が鳴った。


「株式会社アクターズ・オブ・イービルです。」


ミナセが出る。


「はい!ブラック・アオトンは――」


ミナセの顔が止まった。


ゆっくり受話器を押さえて言う。


「センパイ。」


「なんだ。」


「外務省です。」


「……え?」



一時間後。


なぜか俺は外務省の会議室にいた。


スーツの人が並んでいる。

真面目そうな顔ばかりだ。


完全に場違い。


偉そうな人が口を開いた。


「ブラック・アオトンさん。

 先日の国連スピーチ、大変反響がありまして。」


「それはどうも。」


「実は現在、ある国際会議で……少し問題が起きていまして。」


嫌な予感しかしない。


「話し合いが完全に平行線でして。」


「はい。」


「そこで、“対立の着地の仕方”を示してほしいのです。」


「……つまり?」


「あなたの言う、“倒れ方”を。」


ちょっと待て。


「いや俺、国を転ばせた経験ないんだけど?」


会議室は真顔だった。



外に出ると、ミナセが待っていた。


「センパイどうでした!?」


「世界が俺に“国の倒れ方”を教えてほしいらしい。」


「……スケールでかくなりましたね。」


「悪役のキャリアパスじゃねぇよ。」



夜。


事務所のソファに沈みながら天井を見る。


最初はただ、ヒーローに殴られて倒れる仕事だった。


それが今じゃ。


「……国際問題のクッション役か。」


ミナセがコーヒーを置く。


「センパイ。」


「ん?」


「悪役って、世界に必要だったんですね。」


少し考える。


そして肩をすくめた。


「いや。

 たぶん世界が不器用なだけだ。」


コーヒーを一口飲んで言った。


「……まあ、転び方くらいなら教えてやるよ。」



次回予告


第46話「悪役、外交会議の通訳に困る」

――「“悪役語録”って英語でどう訳すんだよ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ