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『この世界、悪が足りない。』   作者: よしお


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第36話 悪役、ついに教育委員会に呼び出される



――「“講義内容が真面目すぎる”って、怒られるのそっちかよ。」



朝九時。

俺とミナセは、教育委員会の建物の前に立っていた。


「……社長、なんでスーツなんですか? 悪役スーツじゃなくて。」

「お前な、さすがに呼び出しにトゲ付き肩パッドはマズいだろ。」

「でも社長、それが正装ですよ?」

「社会的にアウトなんだよ。」


入口には立て看板。

《教育委員会 特別聴取会議》

――うん、響きがもう“反省会”だな。



会議室に入ると、長机の向こうにスーツの大人たちがズラリ。

中央の女性が名乗った。

「教育指導局・倫理課の朝比奈です。本日は、“正義ゼミ”の内容について確認を。」


ミナセが小声でつぶやく。

「……倫理課。名前からして強そうですね。」

「うむ。あっちは“正義属性”が高すぎる。」


俺たちが座るやいなや、資料の束がドンと置かれた。


「まずこちら、“バーンアウト対策(悪役視点)”の講義資料ですが――」

朝比奈は眉をひそめる。

「……内容が、非常に真面目です。」

「それのどこが問題なんすか?」

「問題は、“悪役が真面目に教えている”ことです。」


「…………」

(え、どうすりゃいいの俺ら。)



「教育委員会としては、もう少し“エンタメ性”を……」

「エンタメ性?」

「はい。悪役さんらしく、もっとこう……炎を吐いたり爆発したり?」


「倫理課が爆発推奨すんのかよ!!」


思わずツッコむ俺。

朝比奈はメモを取りながら真顔で言う。

「生徒の集中力維持のために、“悪の演出”は必要です。」


ミナセが元気よく手を挙げた。

「じゃあ僕、次から火薬担当します!」

「いや、やめろ。命の集中力がなくなる。」



それでも、話しているうちに空気は少しずつ柔らかくなった。

朝比奈が資料を閉じながら言う。

「……ですが、アオトンさん。あなたの講義で“正義に疲れていた子たち”が変わったのは事実です。」

「へぇ、教育委員会が悪役を褒めるなんて、時代も変わったな。」

「褒めてません。“評価”です。」

「言い方の棘がプロだな。」



会議後。

廊下で朝比奈が少しだけ笑った。

「あなたたち、ああ見えて本気で世界のバランスを取ってますね。」

「悪のフリして、善の過労を止めてるだけですよ。」

「……その在り方、嫌いじゃないです。」


ミナセが小声でニヤニヤ。

「社長、これラブコメフラグじゃないですか?」

「お前、そういうのすぐ言うな。命の保証が減る。」



その日の夜。

アクオビの玄関に貼り紙が一枚増えた。

《教育委員会認定:特別講師(悪役部門)》


「……え、認定されたの俺ら?」

「はい! つまり、公式に“教えていい悪役”です!」

「いや言葉の響きがすでに矛盾してる。」


ミナセが笑う。

「でも社長、なんかいいですね。

 “悪役なのに、真面目すぎて怒られて、最後は褒められる”って。」


「……人生だな、それ。」



次回予告


第37話「悪役、教育委員会の職員食堂で説教される」

――「“カレーに悪のエネルギー入れるな”って、それ普通のルウだよ。」


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