第24話 悪役、バラエティ番組に呼ばれる
「“ヒーローと笑おう!正義の休日SP”……って、タイトルからもう地雷だよな。」
アオトは、局の控室で台本をパラパラとめくっていた。
黒スーツ姿のまま、すでに顔が疲れている。
「社長、楽しそうじゃないですか!」
新人悪役・ミナセが隣でおにぎりを食べながら言う。
「“ヒーロー&悪役で仲良しトーク”ですよ!」
「悪役に“仲良し”求めるな。存在意義が揺らぐだろ。」
「大丈夫です、社長。今日のテーマ、“悪役だっていい人!”です!」
「もうタイトルから敗北してるんだよなぁ……。」
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本番、スタジオ。
カメラの前には、バラエティ慣れしたヒーローたちがズラリ。
隣の席には、筋肉が服を突き破りそうなAランクヒーロー《サン•ブレイザー》。
司会が笑顔で言う。
「今日は、なんと! 悪役代表のブラック・アオトンさんが来てくれました~!!」
(拍手)
アオトは軽く頭を下げ、マイクを取る。
「どうも、“倒され歴”で言えばヒーローよりベテランです。」
(ウケる)
司会:「ははは! アオトンさんは普段、どんな悪事を?」
「主に、怪人ショウで子どもに夢とトラウマを同時に与えてます。」
(ウケる)
……ここまでは、よかった。
問題は、そのあと。
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「ではここで! ヒーローvs悪役 即興寸劇コーナー!」
司会の掛け声と同時に、派手な効果音。
セットが変わり、アオトとサン•ブレイザーが立たされる。
「アオトン、行くぞ!」
「はいはい、やる気出しすぎんなよ――って、あ、ちょ、待っ――」
ドゴォォォォン!!
――爆発。しかもまた、台本にない。
アオトが煙の中で咳き込みながら叫ぶ。
「誰だよ、“爆破少なめ”って言ってたの!!」
「スタッフさんが“リアルさ出したくて”って……」
「リアルの方向性間違ってんだよぉぉ!!」
客席は爆笑。
生放送のコメント欄は《#アオトン大丈夫》《#悪役のリアル》で埋まる。
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CM中。
ミナセが慌てて駆け寄る。
「社長、火、ちょっと髪のとこ焦げてます!」
「大丈夫、これが俺の“リアル悪”だ。」
「いや、火事寸前の“リアル危険”です!」
その会話を聞いていた司会者が笑いながら近づく。
「アオトンさん、最高ですね! リアクションが“素”っぽくて!」
「素ですよ。常に素で被弾してるんですよ。」
「いやぁ、今日イチ盛り上がりましたよ!次回もぜひ!」
「……次回!?また!?いやな予感しかしねぇ!!」
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番組終了後、控室。
アオトはソファに沈みながらため息をつく。
「……バラエティって、戦場だな。」
ミナセ:「社長、ネット見ました? “#アオトンさん素でいい人”トレンド入りしてます!」
「俺、悪役なんだけど……?」
「“悪役の皮をかぶった良識人”って呼ばれてます!」
「誰だよそんなフレーズ作ったの!!」
スマホが震える。
送信者:美影(ヒーロー管理局)
《今日の放送、見てました。
“倒されても笑って立つ”って、最高の教育番組でしたね。》
アオトは苦笑した。
「……バラエティなのに、教育扱いかよ。」
缶コーヒーを開けて、一口。
「ま、笑ってりゃ世界はちょっとだけマシに見えるか。
悪役の仕事ってのは、そういうもんだ。」
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次回予告
第25話「悪役、ファンミーティングで人生相談される」
――「“正義に疲れました”って言われても、俺もだよ。」




