目覚めた思いを眠らせて
結局京士さんは小さな一粒ダイヤがついたシンプルなネックレスを購入した。
学生でも無理のない範囲で、でも確実に特別感のあるそのネックレスを綺麗にラッピングしてもらって大事そうに抱えてる。
「今日は朝から付き合ってもらって本当にありがとう。夕飯一緒に食べて帰らない?奢らせてよ」
本音を言うと今すぐにでも帰りたい。
でも京士さんは大好きな尊敬する先輩、それはこれからも変わらない。
俺の気持ちがどうであれ。
「やった!あざっす!俺肉が食べたいっす!」
「焼肉か!いいな。あんまり高いところは無理だぞ」
焼肉をご馳走になりながら、どんな人なのかちょっとだけ聞いた。
「あんまり目立つ子じゃないんだけど、雰囲気がふわっとしてて優しくて、でも嫌なことは嫌ってはっきり言える芯の通った子だよ」
と、まるで宝物を披露するみたい嬉しそうに教えてくれた。
「もし俺がバイト先にこのネックレスつけてきたら、そういうことだと思ってくれ」
「ぶはっ!そのネックレス、京士さんの首周りじゃつけられないんじゃないですか?でもつけてきたら指差して笑いますね」
「人が振られたのを笑うなよ!まあ笑ってもらえた方が気は楽なのかな」
「ネガティブになりすぎですよ。気持ち伝わるといいですね」
「うん、怖いけど頑張ってみるよ」
ビールをぐいっと景気付けのように煽りながら京士さんはきっぱり言った。
うん、俺ちゃんと応援できてる。
ちょっとチクチクするけど大丈夫、だと思う。
浮き上がったこの思いは、また胸の奥底で眠らせることとなった。




