誕生日
それからしばらくして相変わらず千花さんと仲の良い暁人だが、今日はちょっと雰囲気が違って、コソコソと小声で密談という空気で話をしている。
「なんか悩み事相談ですかね?」
「うん?どうなんだろうね。悩めるお年頃ってことかな」
「なんすか?それ」
片付けも終わり京士さんは千花さんと、俺は暁人と店を出る。
「千花さん、いろいろありがとう」
「いえいえ、当たりだといいね!」
「はい!」
じゃあねと手を振って二人は駅の方へ消えていった。
俺たちも帰るか、暁人に声をかけると、
「ちょっと待って、圭ちゃん」
「なんだよ、帰り遅くなっちまうぞ」
ちょっと来てと店の裏手へ連れて行く。
「あのさ、これ!」
暁人がずいっと包みを差し出す。
え?なにこれ。
「誕生日プレゼント。圭ちゃん忘れてない?今日誕生日でしょ?」
あ、最近バタバタしててすっかり忘れてた。
「プレゼントなんだけど貰ってくれる?」
「いいの?俺お前の誕生日になにもあげてないのに」
確か暁人の誕生日は5月の連休明けくらいだったはずだ。
みんなで朝日屋行った記憶が朧げにある。
「付き合って初めての誕生日だからちゃんとしたかったの。圭ちゃん誕生日おめでとう」
「マジ嬉しい、ありがとな暁人。
これ開けてもいいか?」
「うん、気に入るかわかんないけど…」
ガサガサと包みを開け、箱を開くと腕時計が入っていた。
え?あれ?これってもしかしてあの時の?
なんで暁人が知ってるんだ?
俺の顔を見て暁人が、
「千花さんと京士さんに手伝ってもらったの。最初千花さんにプレゼントあげたいんだけど、どういうのがいいのか分からないって相談したら、『京士くんなら私より圭吾くんと付き合い長いから知ってるかもしれない』って、京士さんにいろいろ聞いてくれて。
そしたら前に一緒に買い物に行った時にこの腕時計を圭吾が気に入ってたって教えてくれてさ。
そのお店教えて貰っていったらもう売り切れてて……限定だったんだって。数が少ない上に人気だったからすぐ売り切れちゃったみたいなんだけど、どうしてもそれが欲しくて取り扱ってる店を千花さんと京士さんも一緒に探してくれてやっと見つけたんだ。気に入ってもらえたら嬉しい」




