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文化祭 その12

「でも『ゆりちゃん』って呼んでるじゃん」

「ゆりちゃんの友達がゆりって呼んでるから、なんとなくそう呼ぶようになってたな、深い意味は全然ないよ」


「なんか嫌だ」

「え?」

「なんで名前で呼ぶの?皆川さんでいいじゃん」

「え?なんで?え?」

「名前で呼ぶなよ」

「ちょっと圭ちゃんなに言ってんの?どうしたの?」

「お前が誰を名前で呼ぼうがお前の自由だけど、でも嫌だ」


「圭ちゃん?」

「暁人、皆川さんに俺のこと好きって言ったんだよな?」

「言ったよ、そんなのずっと言ってるじゃん。今更なに?」

「あの日から暁人、俺のこと好きって言わなくなった……なんで?」

「……怒鳴られた時、俺しつこかったんだなって初めて気づいてさ。それまで気づかないのも大概だけどね。圭ちゃんのことは好きだから一緒にいたいけど、気持ちは大事にしたかったからそこだけはしつこい、ウザいって言われても好きって気持ちが傷つかないでいられるようにしまうことにしたの。

怖くなっちゃったんだよ、それすら言えなくなったらって考えたら……

言わなかっただけ、ずっと好きだよ、なに?まだ足りないの?」

暁人はふっと笑うと、

「足りないならいくらでも言うよ。圭ちゃん好き、大好き」 


うん、足りない、全然足りない。

もっと言ってよ、ずっと言っててよ。

俺暁人に好きって言われると安心するんだ。

そう言おうと思ったのに涙で言葉が詰まって言えなくなった。


「え?ちょっと、泣かないで、圭ちゃん、泣かないで」

「大丈夫、安心しただけ。

暁人、聞いて。俺さ、お前のこと好きだよ」

「好きって言われて流されてるだけじゃないの?」

「正直言うとそうなのかもしれない。でも皆川さんと一緒にいたり、ゆりちゃんって呼んでたりするの見たり聞いたりするの、嫌なんだよ、胸がザワザワする……これって嫉妬だよな。抑えられないってこんな感じなんだな。

俺すぐ容量がいっぱいになっちゃうみたいだから、溢れた分はちゃんと暁人に伝えるから、側にいてよ。暁人、俺と付き合ってくれ」


「いいの?本当に俺でいいの?」

「暁人がいい。暁人が一緒にいてくれないと俺落ち着かない。男同士なんてどうしたらいいのかよく分からないけど、お前と一緒にいるための手段がこれしかないなら、それを選ぶだけだ」

「圭ちゃん……」

暁人が泣き出して、俺もまた泣きそうになって、暁人の頭を撫でるのが精一杯だ。

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