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八つ当たり
「おい、圭吾!お前その言い草はないだろ!暁人が何したって言うんだよ!今のは言い過ぎだ、暁人に謝れ!」
高嶺が俺の胸ぐらを掴んで見たことない顔で睨んでいる。
こいつ怒る時こんな顔して怒るんだ、妙に冷静に感心してる自分に驚いた。
そうだ、完全に言い過ぎだ、言い掛かりだ。
暁人は何も悪くない、いつも通りの暁人なだけだ。
でも今はそのいつも通りがきつい。
自分の勝手な都合で暁人に八つ当たりしてる。半分は自分に対する怒りだ。
「俺は大丈夫だから気にしないで。ごめんね、しつこくして。お昼購買頑張ってみるからさ!」
「暁人…」
理玖と和真が不安そうに様子を見守ってる。
「ごめん、俺今日は帰る。本当ごめん」
「圭ちゃん!」
「暁人、今日のところはそっとしておいてやれ。お前は何も悪くない、気にするな」
高嶺にそう言われて暁人は静かに圭吾を見送った。