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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

小説家

ショートショート

 俺にとって小説とは何であろう。


 自己表現? 趣味? 夢? 仕事? ……で、ないことは確かだ。ならば副業か? 稼いだことはある。一応文章で。ただ小説ではなかったな、アレは。ならば違うか。

 ストレス発散か? 妄想の具現化か? 自分が読みたいものを書いている? ああ、いいぞいいぞ。だんだんと近くなってきた。そうだ。そうなんだろうな。俺はたぶん、自分の今生きているこの地続きの世界において、こういう奴がいたらいいな、と思って小説を書いているんだ。

 良い奴もいれば、嫌な奴もいる。いるが、まあ、だから俺の小説にそこまで嫌な奴が登場しないのもそれが理由なのかもしれない。いたら嫌な奴はいたら嫌だから書きたくない。

 なるたけ。

 どうせ書くなら書かなくちゃいけないなら、憎めない奴の方が良くって、ていうか俺がダメで、二面性とは言わないまでも、可愛げ、くらいはあったらいいんじゃないか、と、強盗でも編み物が趣味だったり、人殺しでもローカルアイドルのおっかけだったりでバランスを取っている。


 くだらないこと言うかもしれないが、世界はそうやってバランスを取っている。嫌な奴にだって家族はいるし、嫌な奴にだって好きなものはあるし、嫌な奴だって電車で席譲るくらいはするし、嫌な奴だってママのおっぱい吸ってたんだ。

 な? だよな?

 うん。実は嫌な奴じゃないかもしれないってのもある。

 人殺しでも時代違えば英雄、なんてことを言いたいわけじゃない。

 そいつの一面、いや~な部分だけで世界が回ってたら、いつでもどこでも交通事故が起きていつでもどこでも人殺しが起きちまうって話さ。

 そんなのってないよな? みんなどっか嫌なとこあるかもしれないけど、でもだいたいが良い奴だったりするんだよ。嫌な奴でも、嫌な部分2で残り8は良い部分なんだ。

 な? そうだろ?




 レイプだってする。

 強姦だってする。

 縛りもすれば、煙草の火を押し付けたりもする。

 制服だって破くし、必要とあれば手足だって折る。

 でも俺は小説を書くのが好きなんだ。


 世界はそうやってバランスを取っている。

 俺は小説を書くのが好きなんだ。

 バランスが取れるからな。

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