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記憶の解放

「ねぇねぇ~、アイス食べない?」


「え?別に今はそんな気分じゃない」


「チッ。つれないやつぅ~」




リアスはアイスを一口食べた。


正直言って、美味しそうに、とてもうまそうに食べた。なんだあれは…?

どう見ても考古学者より食レポの人に転職した方がいいぞあれ!!




「……食べる?」


「いいっす、いりません。あざす。」



……いや、なぜだ!!自分は頑固者なのか!

なぜ、正直に欲しいと言わない?

いや待てよ、アイスは一個しかない。

…そして、リアスはそれを一口食った。

その後で ……食べる? という発言をした。


まさかっーーー!?



「えー、マラフ~。何その目~。

 もしかして 食べます!とか言ったら

 間接キスとかなるとでも思ったわけ?

 はぁ。まぁ面白いしいいや!

 ほい、どーぞ。」



「あ、ありがっ……とう。…ナニコレ」


確かに渡されたものは、アイスであった。

だが、アイスであって

#そっちの__・__#アイスではなかった。


そう、氷である。


「はーい、どーぞー??食べてごらん?」


「そうかそうか。お前は、そんなことをする

 やつだったんだな。 しょうがない。

 俺の家に録画してある、リアスが見たがっ

 てた 

【古代の神秘を解け!エジプトの壁画編】

 は、消して差し上げよう。」



「え!?あ!?そ、そそ、それだけは!!

 ごめんなさい!!それだけは!!

 じゃほら!この本物のアイスあげるから」


「どーしましょ?」



「ホントに!それだけはやめて!!

   お願いしますから!!」



相当、嫌だったのかリアスは横にあるヤシの木を蹴ろうとした。が、 からぶってしまい

レアスはオレにぶつかってきた。

そしてその勢いで、2つのアイスも勢いよく

口の中に詰め込まれた。


あぁ…苦しいぃ。腹が冷たいぃい。

寒い…寒い…





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「寒い……」



「そりゃそーじゃろうな!!

 そんな薄着じゃのぉお!!!

 わぁーはっはっはっはっ!!」




「うおおお!!はっ!…な、

 隊長…か。」




「ん?隊長かとはなんじゃ、隊長かとは!」



うっせー!!このじいさん!…





どうやら、この状況を見るに、オレは寝ていたらしいな。タンクトップ一枚で。なんか夢も見ちまった。


考古学用の制服は…あれか、まだ洗濯されてなかったんだっけ…。みんな酔い潰れてるから生活ラインが破滅しているのか。洗濯担当のやつ、誰だっけ…

うぅ…さみぃ。




「2人とも~、昼ごはんにするよー」


リアスの呼びかけで、ヒマラヤ山脈のふもとに集まった。



解読チームのだいたいは、酔い潰れていて

使い物にならない状態だった。3人でなんとか、昼食の準備をして、みんなを呼んだ。


いつもは楽しい昼食が、今日はみな酔い潰れ

ゾンビのように黙って食べていた。

途中で、副隊長 ジョセフ・リキアさんが

慌てて立ち上がって、草むらで嘔吐した。


黙ってもくもくと食べる7人と、1人の嘔吐する状況は、とてもシュールだ。

思わず吹き出してしまった。


「ちょっ…マラフまで…!黙って食べるし

 嘔吐はするし、食べ物は発射するし!!


 ちょっと!みんな!いくらなんでも

 気分悪すぎよ!!」


「いや待て!オレを一緒にするな!

 酔い潰れてなんかいないぞ!!」


「はぁ。イーサンがいればなぁ」



リアスは綺麗にオレの発言をスルーした。

この野郎…!…、というか、


「イーサンいないのか?」


「うん。あれ?言ってなかったっけ?

 イーサン、今回の1週間の休暇の間

 家族に会いに行くって話~。」


「そうだったか。あー、なるほど」



家族に会いにいく…か。羨ましいな。

…そうだ。あの夢…あれは確か、11年前のことだ。


ああやって、俺たちがビーチにいる間に…

父さんと、母さんは………


「マラフ!も、もしかして気に障った?」


「いや、別にいいよ。」


「ほ、ほんと??大丈夫?」


「まぁ…な。」





「マラフ君、嘘をついとるじゃろ。

 ワシにはわかる。そんな顔をしている奴の

 どこが大丈夫なのか。」


隊長にそう言われて、水たまりに反射する自分の顔を見ると、その意味がわかった。

水面に映ったのは、この世を全て焼き尽くさんとばかりする憎しみの表情と、

寂しさ悲しみに溢れている瞳…。


やっぱり、自分にとって、アレは

トラウマ…だったのだろうか。






昼食が終わり、

解読の続きをすることにした。

いつもは、里帰り中のイーサン含めて9人で

一つの解読を担当するが、

今回は休暇ということで、この通り、

部屋のあちこちでメンバーが酔い潰れている。二日酔いというやつかな。



「よし!…やるかー」


意味のない独り言を言って無理やり

やる気を出した。


「アラ…ソ、アラソ、イヲナク…?

 うぅ。最後の一文字がなぁ。

 これさえわかれば、なんとか一文はクリア

 なんだが。

 いやそもそも、ここまでの解読が正しいの

 かどうかもわからないな。」


「なーにしてんのー?」


リアスが入ってきた。


「また解読?休暇だから休めば?

 やりすぎはよくないぞーーー」


「そうだけどさ、今回の発見されたもの、

 世界で見つかったことがない文字が使われ

 てるだろ?そこにロマンがあるんだよ。」


「そこまで言うんなら~、見せてもらおー」


リアスは、石板の中心部分に顔を近づけて

目を細めた。


「うーん。ホントだね。見たことないな。

 象形文字じゃないし、トンパ文字に

 似てなくもないけどー…

 この文字はルーン字みたいなんだけどな」


「一応、トンパ文字らしきものとして

 翻訳してるんだけども…?」


リアスは、うなずきながら

石板から離れる。すると、何か思い出して

コチラを向く。


「あ、マラフ。あの石入れてみた?」


「ゲッ…いや、まだ…」


「面白そうじゃん!入れてみてよ!」



しょうがないな。引き出しを開けて、

昨日渡された石を取り出した。

改めて石の形を見ると、確かに石板にピッタリハマりそうだ。


「おーーうい、リアス~

       お前にお客さんじゃー」


「はーい。はぁ。こんな時にぃ。

 マラフ!何かわかったら後で教えてよ?」


「りょ~かい。」


リアスは走っていった。

石板を見つめて、早朝、リアスが言っていたことを思い出す。何か特別なことが

不思議なことが……なんて、あるわけないか。

ん?これ、フラグか?

まぁいい。


オレは、石を石板の中心に、ゆっくり

はめ込んだ。


ガチャッ……………



はぁ。ほら、何も起こらない。

でもそれにしてはピッタシハマったなぁ~



…………ガチャッ…ギ、ギギぃっ!!


「ん??   う、うぁぁぁあ!!」


突然、石板の文字が光出し、

だんだんとあたり一面が真っ黒に染まっていき、自分もその中に包まれていった……


「うわぁぁぁぁぁあ!!!!!!」




なんだ!?これは一体?!








誰かの声が脳内に響いた。


【来世の君へ……。この人生を捧げる。】





何か、流れ込んでくる。




果てしなく遠い、














誰かの  記憶が……

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