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プロローグ

こちらは主人公が転生をする直前までの物語となっており、

読まれずとも今後の話を理解していただくうえで大きな問題はございません。

ですが、お読みいただくことで主人公の人間性などを理解しやすくなるかと思いますので、是非ご一考ください。

 高校二年の夏、俺は迷っていた...

(就職すべきか...それとも進学...?)

 

俺は勉強ができない。恐らく今から必死に勉強して進学を狙ったところであまり良い学校には行けないだろう。

しかし、就職するにしても、俺は働ける自信がない。昔から何かを頑張れたことなど一度もないからだ。


「やっぱ、ニート一択か...?」昼休み、ついそう呟いてしまった。


「おやおやカイト氏!なんとも将来性のないぼやきですなぁ!!」

低いような高いようななんとも言い難い声をあげて近づいてきたのは()()俺の友だちだ。


正直、こいつのことは好きになれない。やかましいし、性格も良くない。好きな漫画が同じだっただけの仲だ。

…だが、俺もこいつも互いに一人しか友人がいない。


「...んだよるっせぇな...」

あからさまに嫌そうな反応をして見せたが、いつも通り気にする様子はない。


「カイト氏~?ニートとは聞き捨てなりませぬぞ~?お主ほど賢ければT大やK大など余裕も余裕!その才覚を無下にしてしまうなぞ愚の骨頂ですぞぉ!!」

ほら、やかましい。


こいつが俺の頭を褒めたのは勉強ができるからではない。

俺は勉強はできないが、雑学には結構自信がある。


「バーカ。雑学で大学うかりゃ誰も苦労しねぇよ。」


「では就職!就職先によっては雑学が活きるのでは!?」


「あーもう黙れよ...」

無理やり話を切り上げ机に突っ伏して寝たふりをする。


(ほんとクソみたいな人生だよな...)


気が付くともう下校の時間だ。

幸いあいつとは家の方角が違う。誰よりも早く教室を出る。


帰り道、二つ手前の駅で一度降り、ばあちゃんの家に寄って行くのが日課だ。

親父も母さんもそんなに好きじゃないが、ばあちゃんだけは好きだ。

いわゆるおばあちゃんっ子ってやつだな。


「たっだいまぁ!」元気よく戸を開ける。ばあちゃんの前だけは元気な孫だ。


「おかえりなさい。」しゃがれていながらも柔らかい声。


台所へ直行し、机に置かれたせんべいの入った木のボウルを取り、

居間でバラエティー番組を見ているばあちゃんのそばに座る。


ばあちゃんと他愛もない会話をしていると日ごろのストレスも忘れられる...が。


プ~ン...

庭へのガラス戸を開けているからな...蚊の羽音が耳に触る。

まったく...蚊取り線香はどこにあったっけ...


「ちょっと待ってちょうだい。」立ち上がる俺をばあちゃんが制止した。


「え?どうしたの?」急に呼び止められ、驚いてしまう。


「蚊が邪魔なんでしょう?今日はちょっと面白い方法を取ってみましょうか。」


ばあちゃんは物知りで、いつもおもしろい生活の知恵を教えてくれる。

俺の雑学の九割はばあちゃんの受け売りだ。


「ちょっと台所からヨモギと七輪を持ってきてくれるかい?」

よくわからないが、とりあえず取ってくる。


「これで何をするの?」


ばあちゃんは満面の笑みを浮かべ、庭に出て楽しそうに七輪の準備をすませた。


「こうやってヨモギの葉を燃やすとね、虫よけになるのよ。」


「ヨモギで...?」疑問形の連鎖だ。


「そうよ。これも昔からの知恵。ヨモギがなければ、ローリエやローズマリーなんかで代用できると思うわ。」


ばあちゃんのすごい所は昔ながらの知恵に付け足して知識があるところだ。


「やっぱばあちゃんはすごいや!」


「うふふ」


楽しい時間っていうのはあっという間だ。


「もう日も落ちてきたよ。お母さんが心配する前に帰りなさいな。」


「うん!またくるね!」


ばあちゃんに手を振り、明日また会えることにわくわくしつつ、

力強く家を飛び出した時、横目に大きなトラックが見えた。




...そこで俺の意識は途絶えた......



最後までお読みいただき、ありがとうございます。

こちらの作品が初のものですので未熟な点が多く見られたかと思います。

評価や感想をくださるととても嬉しく思いますので、

思う点などございましたら書いていただけると光栄です。

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