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ふたごの かみさまと とけいとう【完結】

作者: トキモト ウシオ

小児向けの絵本(文章だけ)です。

初めてのひらがな文節区切りですので、読み難い方も多くいらっしゃると思いますが、最後まで読んでいただけると幸いです。

 むかしむかし あるまちに おおきな おおきな とけいとうが ありました。

 とけいとうには ふたごの おんなのこと おとこのこの かみさまが すんでいました。


 ゴーン(ごおん) ゴーン(ごおん)

 ゴーン(ごおん) ゴーン(ごおん)


「きょうも すてきな おとを ならしましょう」

「きょうも すてきな おとを ならそう」


 かみさまの いる とけいとうは だいにんきです。

 ほかの まちからも とうを みに まいにち おきゃくさんが やってきます。

 でも あるひ とうの とけいが こわれてしまいました。

 まちのひとが とけいとうの かみさまに あいにいくと おんなのこの かみさまが びょうきになって ねていました。

 まちのひとは とおくにすんでいる うでのいい とけいやさんに かみさまを なおしてくれるよう おねがいしました。

 しかし とけいやさんは


「かみさまなんて いるわけがない」

 

 と まちのひとの おねがいを ことわりました。

 ようふくやさんが おねがいを します。


「とけいとうは このまちの たからものなの」


 とけいやさんは しらんぷりです。

 パン(ぱん)やさんが おねがいを します。


「かみさまを たすけてくれ」


 とけいやさんは うごきません。

 とけいとうの ちかくに すんでいる おじいさんが いいました。


「とけいとうが なおらないと えらいひとに こわされてしまう。このまちは とけいとうが なくなったら おきゃくさんも こなくなる。おねがいだから なおしてくれ」


 みんなの かなしいかおに とけいやさんは とけいとうを みることに しました。

 とけいとうに はいると おとこのこが ないていました。

 とけいやさんは おとこのこに はなしかけます。


「なんで ないているの?」

「おねえちゃんが びょうきだから」


 おとこのこが いいました。

 おとこのこの となりには ベッド(べっど)に ねている おんなのこが います。

 おんなのこは とても くるしそうです。

 とけいやさんは とうの とけいを いそいで なおすことに しました。


「ごめんね。ごめんね。ぼくが もっとはやく きてあげれば よかったね」


 とけいやさんは おんなのこと おとこのこに ないて あやまります。

 ギギギ(ぎぎぎ) ギギギ(ぎぎぎ)

 おんなのこの かみさまは くるしそうに わらいました。

 とけいやさんは いそぎます。

 よるになっても とけいやさんは やすみません。

 あさになっても とけいは なおりません。


 ガシャーン(がしゃあん)! ガシャーン(がしゃあん)


 そとから おおきな おとが きこえてきます。

 とけいやさんは きにせず とけいを なおします。

 おとこのこの かみさまが そとを みます。


「たいへんだ! えらいひとが とうを こわそうと している!」


 とうは グラグラ(ぐらぐら) グラグラ(ぐらぐら) ゆれています。

 それでも とけいやさんは とけいを なおしつづけます。


「とけいやさん あぶないよ。とうが こわれてしまうよ」

「ぼくは とけいやさん。とけいを なおすのが ぼくの おしごとなんだ」


 とけいやさんは とけいの おいしゃさんです。

 かみさまの はなしを しんじなかった とけいやさんは とけいを なおす おしごとを わすれていた じぶんを せめていました。


「とけいは ぜったい なおすから。おんなのこを げんきに してあげるから」


 とけいやさんの やさしいこころに おとこのこの かみさまは なきました。

 おんなのこの かみさまも ないていました。

 グラグラ(ぐらぐら) グラグラ(ぐらぐら)。とうは ずっと ゆれています。


「あとすこしで なおるのに。とうが ゆれて なおせない」


 とけいやさんは こまっています。

 かみさまも こまっています。


「はっはっは! とけいとうを こわして ゆうえんちを つくるぞ!」


 えらいひとが とうを どんどん こわしていきます。


「やめて! ゆうえんちなんか いらない! とけいとうのほうが ずっとすてきよ!」

「とけいとうは ずっと まちを みまもってきた だいじな かぞくだ!」

「そうだ! とうを まもるんだ!」


 ようふくやさん、パン(ぱん)やさん、おじいさん。

 まちの みんなが えらいひとを とめようと あつまってきました。

 かみさまも とうが たおれないように ふんばります。


 ゴーン(ごおん) ゴーン(ごおん)

 ゴーン(ごおん) ゴーン(ごおん)


 ずっと ならなかった とけいとうの かねが すてきな おとを ならしました。

 まちのひとと かみさまが えらいひとを とめてくれたので とけいやさんが とけいを なおしたのです。


「なんて すてきな おとなんだ」


 えらいひとは さいきん このまちにきたばかりなので とけいとうの おとを きいたのは はじめてでした。


「わたしが まちがっていた。こんなに すてきな とけいとうを こわすなんて できない。みんな ごめんなさい」

「これから いっしょに とけいとうを まもっていきましょう」


 おじいさんが えらいひとを ゆるしてあげました。

 まちのひとも わらっています。

 えらいひとは おじいさんや まちのひとたちの やさしさに ないてしまいました。

 とけいやさんも うれしそうです。


「おはよう おねえちゃん」

「おはよう」


 おんなのこの かみさまも げんきになりました。


「とけいやさん ありがとう」

「おねえちゃんを なおしてくれて」


 ふたごの かみさまは とけいやさんに おれいを いいました。

 とけいやさんは くびを よこに ふりました。


「おれいを いうのは ぼくの ほうだよ。ぼくは とけいやさんなのに おしごとを えらんでいた。これからは おしごとに すききらいを しない りっぱな とけいやさんに なるよ」


 こうして とけいやさんは かみさまのいる とけいとうの あるまちで りっぱな とけいやさんに なりました。

最後まで読んでいただき、ありがとう御座います。

ウシオが小説を書こうと思ったのは、幼稚園の頃に手製の絵本を作って親に見せたら、大変褒められた事が切っ掛けです。

絵心のないウシオには絵本を作る事は難しいですが、この文章を書きながらも「こういう情景だろうなあ」とか「このシーンはこういう構図で描くと分かりやすいなあ」と想像して書き上げられて楽しかったです。

また、どこかでお会いできたら、素敵ですね。

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