花
「ひだまり童話館」のお題『にょきにょきな話』参加作品です。
ある国の王様と王妃様は喧嘩していました。些細なことがきっかけでしたが、王様が王妃様の言葉をきちんと覚えていなかったために、王妃様はすねてしまったのです。
王様はどうしたらいいかと悩んでいました。そんなときです。王様の頭の上に葉っぱが生えてきました。王様は驚きましたが、特に生活に支障はないので気にせずにいました。
ところがその葉っぱは、にょきにょきと伸び始めたのです。終いには、王様の頭の上で花を咲かせました。
王様はさすがにこれでは王冠を被ることも出来ないので、思いきって抜くことにしました。
すっぽん
花は簡単に頭から抜けました。痛みもありませんでした。
王様は自分の頭に生えていた花を眺めると、とても綺麗な薄紅色の花でした。王様はその花を王妃様へ贈ろうと決めました。
王様が王妃様へと花を差し出すと、王妃様は喜んで受けとりました。王妃様も王様との喧嘩をやめたかったのです。王様の頭に生えた花は、二人の架け橋となりました。
そしてそれ以降、その国の人たちの頭には花が咲くようになりました。みんなは驚きましたが、王様のお触れを見て納得しました。
恋人たち、あるいは夫婦で贈りあうと、絆が深まるとの評判になりました。頭ににょきにょきと花が生えると、お互いに贈り合いました。
こうして今日もどこかで恋人たちが花を贈り合っています。
イラストに初めて挑戦しました。お見苦しいかもしれませんが、初心者と思ってご容赦くださいませm(__)m。