秘蜜の春夏秋冬
秋の秘蜜
ウチの秘密。誰にも話したくない秘蜜。
誰にだって話したくない秘蜜は、一つや二つはある。ウチにも存在する。
忘れたくても影の様にひっそりと離れずに付いてくる。
この秘蜜がなければこんなにも苦しまなくてよかったのかもしれない。いつも通りの生活を送れたかもしれない。かもしれない。だけど、この秘密がなければ、ウチは雪ちゃんと出会うことも愛することもなかった。ウチを苦しめる秘密がウチと雪ちゃんを繋ぐ鎖となってくれた。
感謝し憎んでいる秘蜜。忘れたくてなかったことにしたいはずの忌々しい記憶。
もし、ウチがあの時に戻れるのならウチはウチに何もしないだろう。助言も助けも手も何も貸してはあげない。
秘蜜は決して甘くはない。
春の秘蜜
私の秘密。どうでもいい秘蜜。
誰にでも話していいわけではない。けれど、話してはいい秘蜜。私にも存在する。
記憶のように、いつもは忘れて時々思い出すようなそんな秘密。思い出したら、照れてしまうような、興奮するような、懐かしい記憶。
この秘密はきっと私には懐かしい秘蜜になってしまうでしょう。例えるなら、昔男の子が好きな女の子に中二病めいた告白をしフラれてしまう。そんな秘蜜。もっと分かりやすく言うのなら、自分の初めてを好きな男の子にあげて、その男の子と別れて、数年後こんなことあったな。程度の秘蜜。
感謝もしてないし、別に思い出さなくてもいいようなそんな出来事。
もし、あの時に戻れるのなら私は私に言うでしょう。
「もう一度、味わいたいから変わって。次はもっと気持ちよくしてあげる」
秘密はなんたって極上に甘いのだから
冬の秘蜜
私の秘蜜。忘れてはならない秘蜜。
忘れたくない。忘れてはならない、誰にも話さない。話したくない。どうでもよくない秘蜜。
ただ許さない。
私は海色を許さない。絶対に、絶対にだ!
泣こうが哭こうが喚こうが赦しをこおうが、許さない。
死のうが自殺しようが他殺されようが病死しようが事故死しようが許さない。
土下座しようと小指を斬ろうと五体投地しようと許さない。
だから海色―――
秘蜜は私には辛い。
夏の秘蜜
俺の秘蜜。忘れたい秘蜜。
忘れたい。忘れてしまいたい。誰にも話さない。話したくない。どうでもよくない秘蜜。もし、バレてしまえば、俺は俺ではなくなってしまうだろう。
雪子は俺を赦しはしないだろう。何をしても許してくれないだろう。
だから、俺は――――
秘蜜は余りにも苦かった。
ボソッと呟いた。
秘蜜を語ろうか。




