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24階層のボス 1

注:本日2話目の投稿です。

 翌朝、20階層の隠し部屋で、朝食を摂る俺達。


この辺りの階層に来て、他のパーティと遭遇しなくなっていたが、昨日あるパーティが20階層のボス戦に挑んでいるのを見た。そこには、以前ギルドの模擬闘技場で闘った、『閃光』アリウス、『暗鬼』ユーゴ、『双翼』グリセルダの3人の懐かしい顔があった。


彼等は、元々違うパーティで活動していた様なのだが、俺達との模擬戦以後、プライドを捨ててでも純粋に強いパーティを作るとの目的の元、既存のパーティをそれぞれ解散し集まったらしい。まあパーティ名[A・A・A(トリプルエー)戦士団]に、ややプライドを捨て切れて無い感じは、するのだが…。

到着時、既に満身創痍で、後衛が一人しかまともに立って居なかったが、それを考慮しなくても、彼等では[メタルゴーレム]との相性が悪すぎだ。

二つ名に恥じぬ攻撃を、懸命に繰り出す彼等だったが、たいしたダメージも与えられず、その武器の殆どを失い敗走した。


ちなみに、殆どのボス部屋は、前のパーティが戦闘中は、外から扉は開かないが、実は中からは、開けて出る事が出来る。‥では、中からドアを開け、他のパーティを呼び込んで一緒に戦えば‥とは素人考えだが、ボス部屋に6人以上の冒険者が入るとボスが2体になる。つまり、ボス部屋に6名で入る事とパーティが6人編成なのは、そういった事と関係してるのだ。もちろん6名以下で入る事は、可能。なんだかその辺も妙にゲームのルールみたいな感じで、不思議だ。ダスラのテイムした魔物は、ダスラの能力扱いの様で、カウントされてないらしい。


食後、しばらくの休憩を取った俺達は、準備を整え一ヶ所に集まる。

「では、シズカ頼む!」

「畏まりましたわ、お兄様!」

俺の指示に、そう応えたシズカの左目が金色に輝き出し、俺達の足元に、昨日見た金色の魔法陣が現れた!

全員が光に包まれ‥そして…


次の瞬間、俺達は24階層のボス部屋の扉の前にいた!


これがシズカが得た【魔眼】、[転移眼]の力だ。能力は、対象を転移させる物だが、色々と制約も多い。

まず、一度でも行った事のある場所にしか転移出来ない。それに遠くに行けば行く程、運ぶ人数や物が増える程、大量の魔力を消費してしまう。ただし、昨日の様に、固定のゲート(魔法陣)を設置して置けば、その2点間の移動には、たいした魔力を必要としない。


「ありがとうシズカ」

「これ位、何の問題もありませんわ‥それより」

「ああ、皆いよいよだ。準備はいいかな?」

「私は、大丈夫です!頑張ります!」

「主様、護る!」

「妾は、たいして戦っておらなんだからのう‥出番があると良いのじゃが。ほほほ」

「私も‥ほとんど‥何もして‥無いの」

「大丈夫!オレもナーサなんだから、ちゃんと頑張ってたじゃんよ」


「じゃあ、行くぞ!」

そう言って俺は、24階層のボス部屋に入った。


…ボス部屋の中は、真っ暗だった、だが次の瞬間…

「!!」

天井付近に浮遊する幾つもの光の玉が、眩いばかりの光を放ち、辺りを照らし出した!

‥これまでと比べ物にならない程の、その部屋の広さ、あまりに高い天井…


その奥に…ソレがいた!


10m程のイモ虫の様な尾に、バッタの様な足、カマキリの様な胴に4本の鎌状の手、更にその上には、背中に薄いトンボの様な羽を広げた、人間女性の様な上半身が付いていた!しかも、直立した部分だけでも20mはある!


『クックック、久しぶりの餌がノコノコ来たか‥クックック』


そう、ソイツは今、確かに言葉を話した!


「ほう、話せるのか?魔物のくせに」

『その辺で這いずるゴミ共と、一緒にするとは‥この[ザムザ]様を前にして、たいした度胸だ人間如きが!』

「名前まであるのか。しかしその姿、お前本来の物ではあるまい?」

『さあな‥そんな事は忘れた‥今はただ‥お前達を喰いたくて仕方無いだけだあああああ!!』


そう言った[ザムザ]のイモ虫状の尾から、大量の糸が、周囲に撒かれ、それらはボス部屋の扉をも埋め尽くし、完全に塞いでしまった。その糸により、正面から対峙するしか無くなった俺達に、巨大な4本の鎌が襲いかかる!


ギンッ!!

鈍い音を立てながら、シズカの盾に防がれる鎌。しかし逃した1本が、ダスラのテイムした[ロックゴーレム]を、バターの様にあっさりと切ってしまった。

「たいした切れ味だ、ツバキ左をまず1本頼む!」

そうツバキに指示を出すと、シズカが受け止めている3本の鎌の、左端をツバキが、俺が右端をそれぞれ切断した!


『グギャァァ!‥おのれ、この虫けらがああああ!』

叫びを上げ、憤怒の形相で俺達を睨む[ザムザ]が、尾を膨らませる、すると中から大量の[デスキャタピラー]が現れ、一帯を埋め尽くした!

「エレノア、頼む!ナーサ、炎系の召喚獣をイメージして試せないか?」

「我が君よ、お任せあれ」

「わかった‥やって‥みる‥なの!」

エレノアの杖から出る豪炎が[デスキャタピラー]を焼き尽くす‥が、すぐにまた新たな個体が次々生み出される!


ナーサが、意識を集中する。そこに襲いかかる個体は、全てアイリの槍の餌食となった。

ナーサの足元に魔法陣が浮かび次の瞬間、魔法陣の中から1体の召喚獣が現れた!


召喚したのは[ジャック オー ランタン]カボチャをくりぬいて作った頭に、身体は黒いマントで覆われている。

「やった‥成功‥なの‥」

「よし!いけえぇぇ[ジャック オー ランタン]!焼き尽くしちゃうじゃんよ!」

ダスラが、命じると頭の内部で、炎が起こり、それが爆炎となって吐き出され[デスキャタピラー]の群れを焼き尽くしていった!


「よし、なんとか押し返せそうだが・・あれじゃキリが無いかもな…」

俺は、さっき切った鎌が、いつの間にか再生している様子を見ていた。

「我が君よ!迷宮自体を壊さぬように加減してでは、中々埒が明かんのう。それに、奴から感じる底知れぬ魔力‥いや魔力とは違う、この力は…」

「うん。これは、周囲の光球からも感じる‥これは、まるで‥ミスティの加護に近いな…」

「確かに‥あの光の中で、奴は魔力や治癒力を付与されてる様に見えるのう」


そう、[ザムザ]と対峙してから、ずっと感じてる違和感‥それ故に俺は、奴を大きく傷付ける事が出来ずにいた。

【魔眼】では、はっきり見えないが[ザムザ]は、明らかに魔物の混合獣、何者かに造られた存在。


「しかし、核になっている者は、いったい…」

そう考えながら、俺は迫りくる再生した鎌を、再び1本切り落とした。

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