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順調な攻略

 19階層には、突如平原が広がっていた。

平原の中に感じる無数の気配、それは[ヘルハウンド]と言う黒い大型犬の様な魔物。

身を隠す事の出来ない状況で、[ヘルハウンド]の群れによる波状攻撃を受けるのだ。普通なら、その統率の取れた攻撃に苦戦を強いられるのだろうが、俺達なら相手の姿が見えてる分、逆にやり易かった。


平原を進むと、奥に洞窟入口があり、その前にボスの[デスハウンド]がいた。

[デスハウンド]は、野生のライオンより一回り大きな黒い犬型の魔物で、牙や爪には麻痺性の毒がある。

これも、当たら無ければどうと言う事も無く、ツバキがあっさりと首を断ち倒した。

[デスハウンド]の護っていた洞窟に入ると、中には下層への入り口があった。


 20階層の迷宮内には、高さ2.5m程の岩で出来た巨像が、所々に立っていた。この[ロックゴーレム]は、目の前を敵が通過すると起動し、後方から攻撃してくる様になっていたので、見つける度にシズカがハンマーで、起動する前に砕いて行った。

かなり硬そうに見えたので、普通の剣や槍装備の冒険者なら、1体倒すのも難しそうだ。


ボス部屋に居たのは[メタルゴーレム]大きさは変わらず、素材違いだけだが、これは金属製の武器全般の強敵だろう。

試しに投げた普通のダガーは、キンっと高い音を立てて割れてしまった。

まあ、シズカのハンマーは、別次元の素材なので、簡単に砕いて倒してしまったが…。


ともあれ、夜に(まあ迷宮内なので正確では無いが…)なってようやく、俺達は、20階層の隠し部屋に着く事が出来た。

皆で、ラティの作ったお弁当を食べ、眠りにつく。ふと、入口横に立つ、さっきダスラがテイムした[ロックゴーレム]が目についた。

効果時間等、不明な事も多いのだが、今の所テイムされた魔物達は、ダスラに付き従ってついて来てる。

不思議なもんだと思いながら、俺は眠りに落ちて行った。



翌朝、朝食を済ませた俺達は、階下へ向けて出発した。


 21階層は、鉈の様なものを持った[食人鬼(グール)]がいて、俺達を見つけると、我先にと襲いかかって来た。

ちょっとしたゾンビゲームの様だったが、相手が向かって来てくれるので対処は、楽だった。

少し進むと、久々にツバキが、瀕死の個体を並べて、ボス部屋への道標を作っている。


ボス部屋には、懐かしい[大鬼(オーガ)]がいた。それもこれまで見たより、やや大きな個体だ。

なるべく傷が付かない様に倒した俺は、これまでのボスの様に特定部位だけ調達するのでは無く、死体ごと【魔眼】に収納する。セイナン市の職人区の皆の顔を思い出し、少し懐かしくなった。


 22階層に降りると、空中にキラキラした物が漂っていた。

羽を広げると60cm程になる大きな蛾の魔物[スリープモス]の撒く毒鱗粉だ。迷宮じゅうに充満したそれは、吸い込めばたちまち眠りに落ちてしまうだろうが、ミスティの加護のある俺達が吸い込む事は、無い。

念の為、ツバキを近くに居させたので、迷宮攻略にやや時間を取られたが、程なくボス部屋を発見する。

ちなみに、この鱗粉で、ダスラが使役してきた魔物がいくつか眠らせられた。眠ってしまった魔物を見ると、意識を手放すと共に、迷宮の床に吸収される様に消えて行った。本当に不思議だ…。


ボス部屋に入ると、モ〇ラの様な巨大な蛾[ステューピファイモス]がいた。

羽を広げると3m以上になる蛾で、麻痺性の鱗粉をばら撒き、敵が麻痺した所を、その大きな顎で噛み砕くのだろう。だが、ここで意外な伏兵が活躍する。

今、[ステューピファイモス]の両の羽を、容赦無く引き千切ったのは、20階層でダスラがテイムした[ロックゴーレム]だった。岩で出来た魔物には、毒鱗粉等効くはずも無く、大きな顎も多少の傷を付けるに止まり、[ステューピファイモス]には、攻め手が無い。

相性と言えばそれまでだが、通常の魔物でボスクラスを倒せるなんて、使い所を工夫すれば、ダスラの能力でもっと効率良く、迷宮攻略が進められそうだ。取りあえず、ダスラの頭をガシガシと撫でておいた。

そして俺達は、23階層へと降りる…。

 

俺達は、23階層入口付近で、昼食のお弁当を食べながら、今後の方針を話し合う。

「次は、23階層。問題の24階層は、いよいよ目の前だが‥皆、どうしたい?」


「ワタクシは、そのまま向かって問題ありませんわ」

「でも、いったいどんなボスが居るんでしょう?」

…コクコク!

「妾も、それ次第だと思うのじゃが‥ナーサよ、何か情報は無いのかえ?」


「‥24階層からは‥誰も‥戻って来ない‥なの」

「まあ、正確には、24階層のボス部屋からは‥じゃんよ」


「ボス部屋からは‥って事は、ボス部屋に入らずに戻った者がいる‥と?」

「うん。怖くなって引き返した冒険者が、数組いるじゃんよ!」


「では、ボス部屋以外は、何とかなりそうなんだな?」

「24階層の魔物は、大きなイモ虫じゃんよ。古い文献では、元々のボスもそれを大きくしただけのイモ虫で、糸や毒に気を付ければ、大した敵じゃ無い筈だったじゃんよ」


「ボス部屋以外は、変化無く‥ボスのみが突然変異‥か…」

「如何いたします?お兄様…」

「そうだな‥行けるのなら24階層のボス部屋の前まで進んで、今日は20階層の隠し部屋で野営しよう!明日の朝、24階層のボスとご対面だ!」


食事を終えた俺達を待っていたのは、23階層の[アーマーラビット]1m程の直立した兎の魔物だが、厳つい鎧を着込み、手には重厚な両手斧を装備している。重装備らしからぬ機動性を持ち、その破壊力も十分なのだが、シズカの防御を破るには、至らない。

ツバキの始末した個体の後を辿り、ボス部屋へと向かう。


ボス部屋には、10体程の[アーマーラビット]を従えた、ローブを着て杖を持つ[ウィザードラビット]がいた。

[アーマーラビット]の攻撃の連携の中に、炎系統の魔法を絡めて来る、厄介な攻撃パターンだったのだが、魔法に集中してる隙を、ツバキに襲われ倒された。


24階層に降りると、確かにダスラの言う通り、イモ虫型の魔物[デスキャタピラー]がいた。

これは、3階層のボスで、3階層では[キャタピラー]という下位の魔物を従えているらしい。つまり、上層でボスである魔物が、下層に行けば普通に迷宮内を闊歩している事になる。難易度が、上がる訳だ…。

[キャタピラー]は体当たりのみらしいが、[デスキャタピラー]は、糸と毒針を使って攻撃して来る。普通なら確かに、戦い難い相手ではあるが、俺達は難なくボス部屋の前に辿り着いた。


「よし、決戦は明日。少し早いが今日は、ここまでにして20階層まで戻ろう‥シズカ!」

俺が、目配せするとシズカは、ボス部屋の前に立ち、一旦目を閉じる。

そして再び開いたシズカの左目が、金色に輝いたかと思うと、地面に金の魔法陣が現れ…そして消えた。

「完了ですわ、お兄様!」


こうして、俺達は、どこか得体の知れない気配を放つ、24階層のボス部屋を離れ、20階層に戻った。





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