表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校生だったのに!  作者: 梶村焔彌
転生後・幼児
9/12

再誕生、レディン

ここはサイナス。


今日、1組の夫婦から1人の男の子が生まれた。待望の第2児である。


「奥さん、頑張りましたね。元気な男の子ですよ!」

「シャル、良くやったな!」


ベッドに横たわっている女性、シャルロア・セドリル・バルナード。傍らに立って女性に話しかけている男性、エドガード・セドリル・バルナード。


シャルロアは疲れきっていたが、頭を少し上下に振り、目を潤ませた。そして、かすれた声で「私の子は?」とエドガードに問いかけた。


「ほら、ここにいるよ」


エドガードは傍にいた侍女から赤ちゃんを預かり受けた。その子は泣き疲れたのか今は眠っていた。


「まぁ…かわいい子。きっと将来はあなたのように立派な子になるわ」

「そうだな。そうなると良いな」


エドガードは赤ちゃんをシャルロアの横に置き、赤ちゃんの頭を撫でた。


「エド、この子の名前…」

「それなら心配ない。もう決めてあるよ」

「まぁ。それで?」

「レディン、と」

「レディン…」


シャルロアはレディン、レディンと呼びながら撫で続けた。


「シャル、身体に障るからもう休んだ方が良い。お休み」

「えぇ、そうするわ。お休み、エド…」


よほど疲れていたのか、言い終わると同時に寝息が聞こえてきた。


「さてと…」


エドガードは赤ちゃん、を侍女に任せ、生まれたことをレディンの兄、ジーアスに伝えるべく足を運んだ。




(この人たちが俺の親か…)


もといた世界では"誠也"と名付けられたが、ここサイナスでは"レディン"と名付けられた。

ちらっと見えた顔から、とても温厚なイメージの夫妻の間に生まれたんだと認識した。


(これからはこの人たちが俺の親……しかし、疲れたな……)


泣きながら思考していたが、泣き疲れたのかだんだんと意識が暗闇の中に落ちていった。



『どう?新たなスタートは』


ふと暗闇の中から小さな白い光が見えてきた。そこから聞こえてきた声は聞き覚えのあるものだった。


(…天死か……)

『なに?その残念そうな声は〜。…じゃなくって、こっちについての感想は?』

(まぁ、いいんじゃないか?まだ生まれたばっかで分かんねぇけどな…)


正直、生まれたばかりで何も分からないのに、なんやかんや聞くのは間違ってるとは思った。が、あの両親の表情を思い出して、生まれて良かったという念が湧いてきた。


『それは良かった良かった。それで、後1年位は寝てるだけの生活だから、話し相手になってあげるよ〜』

(なってくれんでも良いわっ!それよりも仕事をせいっ!)

『えぇ〜、せっかく人が好意を持って言ってあげてるのに…。それにね、仕事という仕事は無いから大丈夫だよ〜。特にこれといったことがなければね〜』


こんなのが本当にリーダーとして勤まっているのかとよくよく考える。結論としては…


("否"だがな)

『ねぇ、何の話し?』



――その日から俺はエドガード、シャルロア夫妻の息子となった。3歳上の兄、ジーアスも含め、俺の家族はこの3人だ。

もといた世界では母親との2人暮らしだったから、家族が増えて嬉しかった。


生まれてから1年位は天死の言ったとおり、どれだけ寝ても寝足りないのか、毎日がすごく眠かった。

起きて寝ては天死と(強制的に)話し…と過ごしていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ