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西銀河物語 第2巻 アメイジングロード 第二章 発見(3)

第二章 発見

(3)

 恒星が右舷後方に下がって行く。

第二級戦闘隊形を取りながら進む「第三二一広域調査派遣艦隊」は、星系内を恒星を右後方上に見るように惑星公転周回上を上から下に進宙した。未知の跳躍点まで後、二光時である。

スコープビジョンは、星系から外宇宙を映し出している。人の目では暗く何も見えない宇宙でも、旗艦「アルテミッツ」の多元スペクトル解析を利用した十四光時のレーダー走査範囲を持つ能力は、スコープビジョンに遠くの星や星雲から出るわずかな光も逃さず映し出してくれる。

シノダは、毎日見るスコープビジョンが飽きないでいた。航宙を始めてから既に一ヶ月以上経っているが、過ぎ去った時間を感じないでいる。「アルテミス9」にいる時と違い、特にヘンダーソン提督のそば周りの用事も特にない。ヘンダーソンとは時々話すが、総司令官として各艦隊の状況を常に把握していなければならない立場では、中将付武官も航宙中は、あまり手伝いようがない。

「提督、管制官フロアに降りてもよろしいでしょうか」シノダの声にヘンダーソンは、

「ハウゼー艦長、いかがかな」という問いに「第二級戦闘態勢ですが、特に問題ありません」という返答が帰ってくると、左後方のオブザーバ席に座るシノダの方を振り返り軽く顎を引いた。

「ありがとうございます」と言うとシノダは、ホールドを解除し、艦橋のドアの方に歩いて行った。ドアを開けると、ちょうどアッテンボロー主席参謀が、いつもと違ったまじめな顔で入って来た。さっと体を避けて主席参謀を通したが、いつもの様なジョークの笑顔を見せない。何事かと思い見ていると総司令官席に行き

「ヘンダーソン総司令官、失礼します。先の探査中に発見された艦の残骸について、技術者たちの報告がまとまりました。ご説明したいと連絡が来ています。如何しますか」

一気に言うとアッテンボローは敬礼を解いた。

「分かった。すぐに聞こう。シノダ中尉付いてきなさい」ヘンダーソンの声に

「はい」とだけ答えたシノダは、ヘンダーソンの後に従った。

 重要案件がある場合、艦橋内でも司令官フロアと管制官フロアは重力カーテンで声が通らないようになっているが、今回の様な艦外部からの重要報告の場合、総司令官室の入口にある部屋は、会議室として使う様になっている。

 総司令官室に入るとヘンダーソンは、輸送艦にいる民間技術者との回線を開いた。旗艦「アルテミッツ」と輸送艦との距離は、航宙中は直近の為、タイムラグがない。


 ヘンダーソンと主席参謀、副参謀それにシノダは、テーブルと壁の間に映し出される技術者を見た。中年の主任技術者と若い技術者の三人が映っていた。

「ヘンダーソン提督、お忙しい所、ご連絡して申し訳ありません」主任技術者の声に

「技術者諸兄の報告は重要だ。すぐに説明してくれ」主任技術者が「解りました」という様に頷くと隣にいる技術者が手前に有るスクリーンパネルを捜査しはじめた。ヘンダーソンたちの前にもう一枚の3Dスクリーンパネルが映し出され、艦の残骸の色々なところに矢印と説明が付いている。

 シノダは、見たこともない方程式や専門用語に目を見張っていたが、やがて主任技術者が説明を始めた。

「見つかった艦の残骸を分析したところ非常に興味深い事が解りました」もったいなさそうに言って一呼吸置くと

「材質は我々の艦と同様の強化複合素材で出来ています。非常に軽く強く、航宙戦艦の外壁並みの強度を持ちます。ミルファク星系で製造している外壁の成分と割合は多少の差しかありません」一呼吸置くと更に

「興味深いと言いましたのは、この航宙戦艦並みの外壁は、この星系の岩礁帯にある岩クラスでは、つぶれたとしてもこの様にちぎれることはないということです。つまり外部から岩礁帯とは別の力が加わりちぎれたということです」

「艦が爆発したとかではないのか」アッテンボローの質問に主席参謀は

「違います。艦が爆発した場合、内部からの力により破れた壁面は外側を向きますが、この残骸は、内側に食い込むようにちぎれています。つまり明らかに破壊されたということです」

 主席参謀の報告に一同は静まり返った。大変な事実である。未開の星系と思われていたこの星系で、何らかの戦闘が有ったということだ。それもミルファク星系外の生命体同士が行った。人類とは限らない。つまり、既に二つ以上の星系からこの星系に到達しているということだ。この星系にある1つの跳躍点はADSM24星系からと判明しているが、あの未知の跳躍点から二つ以上の星系に行けるということだ。

 ヘンダーソンたちの驚きをよそに、更に主任技術者は続けた。

「ヘンダーソン提督」改めて言うと

「今回、破壊された艦の残骸のちぎれた部分を解析したところ、現在、我星系が使用している陽電子を荷電させた後、加速器に入れ収束レンズにて打ち出された「メガ粒子砲」とは別の方法によるものです。詳細は残念ながら輸送艦の機材では解りません。ミルファク星系に持ち帰り調べないと解らないということです」そこまで言うと口を閉じた。

アッテンボロー主席参謀は、

「つまり、我星系が主力としている武器ではないということだな」主任技術者は頷くと

「この武器に対して我々のシールド防御が有効か否かも解りません」あまりの言葉に

全員が絶句した。

 少し後、ヘンダーソンは、技術者たちに向かって

「ご苦労でした。引き続き調査をお願いします」というと映像を消した。

ヘンダーソンは、参謀たちとシノダを見ると

「今、対策が打てる内容ではないということだ。艦橋に戻ろう」そう言って自分自身の動揺を隠すように席を立った。


艦橋に戻るとハウゼー艦長がヘンダーソンたちに振向いたが、すぐに顔を自席のスクリーンパネルに戻した。

シノダは改めて宇宙の広さを実感していた。これだけの科学力を持ち、星系間移動まで出来るようになった今においても我々の技術力では理解できない事がいっぱいありそうだ。

「深遠」という言葉がシノダの頭に浮かび、一瞬だが寒さを感じたような気がした。

今回の件は、絶対に口外無用だ。もし外部に漏れて不必要な「不安」という影が吹き荒れたら、たちまち艦隊は規律を失う。そう感じるとシノダは、ヘンダーソン総司令官が、なぜ自分に聞かせたのか解らないでいた。


「艦長」レーダー管制官が、叫んだような声で言った。

「どうした」

「左舷下方見てください。艦隊から五光時の位置に新たな跳躍点です」

「何だと」ハウゼーは、コムが裏返るような声で言うと

「総司令官、左舷下方に新たな跳躍点」ハウゼーの声に、さすがに声は出さなかったが、

ヘンダーソンは、スコープビジョン左側下方に映る「X5JP」と表示されている小さな揺らぎを見つけた。

 通常、跳躍点は星系一光時から二光時外側にある。星系の重力のひずみから出来た重重力磁場が跳躍点だからだ。それが新たに見つかった重重力磁場(跳躍点)は、星系から四光時離れている。これは、この跳躍点から千光年以内に新たな星系があるということだ。

 この星系にはADSM24以外に二つの星系から来ることが可能というわけだ。探査中に見つかった艦の残骸、戦闘が行われた形跡、やはり既に我々より先にこの星系に来ていた生命体があるということだ。人類とは限らない。

「ADSM72星系で発見された未知の跳躍点といい、この跳躍点といい、ここに来たミルファク星系軍の艦載レーダーでは確認ができなかったのだろう。この位置では他の艦も、もうすぐ捉えるはずだ」ヘンダーソンは、顔を手で覆いながら少し考えた後、

「ハウゼー艦長、全艦の艦長のみに連絡を取りたい」そう言うとハウゼーは、スクリーンパネルに指示を打ち込んだ。

 艦隊は、第二戦闘隊形を取っている為、上下左右に五〇万キロ離れている。ほんの数秒のタイムラグはあるが、気にするほどではない。やがて、ハウゼーが準備出来た事を告げるとヘンダーソンは、コムを口元に置き

「全艦の艦長に告げる。こちらヘンダーソン総司令官だ。左下方に新たな跳躍点が見つかった。前方正面に見える跳躍点の調査後、この跳躍点も調査する。隊形はこのままで行く。以上だ」これだけ言えば、後は各艦の艦長が乗員に上手く話すだろう。そう自分に言い聞かせた。


 スコープビジョンが「X4JP」と示している跳躍点まで後、三〇光分を切った時、

「全艦、跳躍点との相対距離を二〇光分に保ちながら右舷九〇度方向に遷移」ヘンダーソンの声に各艦の前方姿勢制御ノズルが一斉に噴いた。

シノダはシートホールドが体に食い込み背中から来る強烈なGを我慢しながら、制動に耐えていた。

「ハウゼー艦長、技術者に連絡して、すぐに調査を始めてくれ」

「了解しました」というとハウゼーは、すぐにスクリーンパネルに指示を出しながら、コムで連絡を取り始めた。艦隊は、重重力磁場と一定の距離を保ちながら、反時計方向に周りを周回し、長径、短径、バーストノード、X線ノード、揺らぎから解る「セントレーション(航行安定性)」等を測定する。しかし、これはあくまでも入口の調査であり、どこの星系につながっているのかは解らない。出れない可能性もあるが、ここでの調査からどこかにつながってはいるようだ。

 この星系に来る時の跳躍点のように「ヘビーアンセントレーション(方向不定状況)」は非常に危険だ。データの積み重ねによる方向特定を必要とする跳躍は、通常航行とするまでには時間を必要とする。


一日後、「X4JP」の調査は終了した。特に事故もなく、何かが飛び出してくるという不測の事態もなかった。ヘンダーソンは、スクリーンパネルに映る報告内容に目を通すと「通常の跳躍点の様だ。問題はどこにつながっているかだが」そう思いつつ、顔を上げると、ハウゼー艦長に

「今回のミッションには、この跳躍点に関する以降の調査は入っていない。周辺宙域に監視衛星と連絡衛星を二つずつ置くよう指示してくれ」そう言って、再度スコープビジョンに映る「ゆらぎ」を見ていた。


「X5JP」と表示されている未知の跳躍点まで後、一光時と迫った時、レーダー管制官から

「艦長、浮遊中の不明物体を確認。映像拡大します」

「これは」ハウゼー艦長がつい声を出した。続いて

「熱源反応あり」

哨戒艦からの報告で旗艦「アルテミッツ」の光学モードを増幅させた映像には、第四惑星付近で発見された艦の一部というより本体に近い部分が浮遊していた。

「熱源反応は、核融合炉と思われます」

「生命反応は」ハウゼーの指示に

「艦内には有りません」という返答があった。ハウゼーは引き続きレーダー管制官に

「射出されたポッドがないか確認してくれ」というと

「既に走査済です。ありません」

「どういうことだ」と考えているハウゼーにヘンダーソンが、

「ハウゼー艦長、「スパルタカス」で先に調べさせよう」と言うとコムを口元にして

「ユール空戦司令、発見されたデブリの調査に当たってくれ。熱源反応が見られる為、十分な注意で頼む」続いて

「ハウゼー艦長、哨戒艦一隻と航宙駆逐艦二隻を向かわせてくれ。何があるか解らん」

そう言うとスクリーンパネルを見つめた。


ユール空戦司令の乗艦するアルテミス級航宙空母「ライン」の艦載機格納庫にブザーが鳴り響いた。ユール空戦司令より説明をブリーフィングルームでキリシマ中隊長ことヤング大尉と一緒に受けたカワイ大佐は、愛機「レイサ」でキリシマ中隊と発進する準備をしていた。

「こちらレイサ、ユーイチ・カワイ、発進準備完了」

「こちら管制室、シールドロック、エアロック解除、レイサ発進OKです」カワイの耳に聞きなれた優しい声が届くと、「レイサ」の周りを白いドームが包んだ。カワイがドーム正面のエアロックランプがグリーンからレッドに変わると、「レイサ」の下に有るプレートが後ろにスライドして行った。ランチャーロックが解除されると強烈なダウンフォースと共に「レイサ」が宇宙空間に飛び出した。

カワイはヘッドアップディスプレイに映る計器類が全てオールグリーンである事を確かめると新鋭機「アトラス」が搭載した「オールビューモード」のスクリーンからキリシマ中隊が同時に発進したことを確認した。

「キリシマ、中隊全機に全方向に注意を厳にしろと伝えろ」それだけ言うと愛機をアンノーンデブリに向けた。目には捉えられないが、哨戒艦から送られてくる信号で方向は解っている。


「何だこれは、まるで艦がハサミで切られたようじゃないか」

アンノーンデブリをカワイとキリシマ中隊二四機が警戒と調査の為、包囲している。遠まわしにホタル級哨戒艦一隻とヘルメース級駆逐艦二隻が遊弋ゆうよくしている。

 ヘルメース級駆逐艦クラス、全長二五〇メートル、全幅五〇メートル、全高五〇メートル級の艦が前三分の一あたりから切られたようになっている。一五〇メートルはある艦の残骸だ。既に、本艦隊は、三〇光分手前で前進を止めている。

「哨戒艦、自爆スイッチ起動の反応はあるか」

「ありません」

「生命反応はあるか」

「ありません」

「どういうことだ」アッテンボロー主席参謀の声にウエダ副参謀が

「破壊のされ方が解りません。艦砲による破壊ならばもっと割れ口がひどくなっています。まるでレーザーカッターで切られたような形状です」

「しかし、これだけの大きさのレーザーカッターなんてあるのか。それも戦闘で利用できるような」参謀たちの会話にヘンダーソンが

「この映像を高速輸送船に乗艦している第十七艦隊のエンジニアに見せよう。至急手配しくれ。彼らなら何か解るかもしれない」

アッテンボローが、すぐに自席のスクリーンパネルに音声指示を入れた。


 カワイは「レイサ」をゆっくりと切り口の前に持っていくと内部の映像を哨戒艦を通して旗艦「アルテミッツ」」に送った。

「上部は艦橋のようですね。下は格納庫、中段が移住区のようです。我々の様式とは違うようですが、少し近づきます。艦橋の奥に何か液体が乾いたようなもの付いています。詳細は解りません」それを聞いていたヘンダーソンが、「これもエンジニアに送ってくれ」と指示した。

 二〇分後、

「エンジニアたちが艦の残骸に乗り込みたいと言って来ています。如何しますか」アッテンボローの声に

「良かろう。但し陸戦隊も一緒に同行させる様にしろ。何があるか解らない」


高速輸送艦から航宙駆逐艦に乗り込んだエンジニア五名と陸戦隊一〇名が、艦の残骸に乗り込んだ。全員がスペシャルアストロスーツ(宇宙空間において作業可能はジェットバーを付け、各種宇宙線にも耐えるように出来たアストロスーツ)着こんでいる。

周りにはカワイ大佐を始めとする宙戦隊機二五機が依然警戒に当たっている。

「報告します。艦橋と思われる壁にあるものは液体が凝固したものと思われます。信じられないことですが、非常灯が点いています」エンジニアが更に奥に進むと

「艦の推進エンジンルームの様です。・・・」一瞬声を詰まらせて

「これはっ、核パスルを利用した推進エンジンです。信じられない」驚きの声を出すエンジニアにヘンダーソンは

「艦を動かせる状態か」

「解りません。コントロール系が我々のものと違います。本星系に戻って調査しないと無理です」

「牽引して持ち帰るか」そこまで言うと

「アシュレイ陸戦司令。隊員に生命体がいないかのみ優先的に艦内を調査させてくれ。エンジニアは下がるように」陸戦隊の指揮命令系のトップはアシュレイ少将だ。総司令官だからこそ、これを守らなければならないと心得ているヘンダーソンは、アシュレイに指示を出した。


とりあえず爆発しないことを確認出来た艦の残骸本体を現場に行かせた航宙駆逐艦二隻に牽引させるともう目の前に見える「X5JP」に目を向けた。

「ハウゼー艦長、技術者に連絡して、すぐに調査を始めてくれ」

「X4JP」の時と同じように支持を出した。調査は同じように艦隊を重重力磁場と一定の距離を保ちながら、反時計方向に周りを周回し、長径、短径、バーストノード、X線ノード、揺らぎから解る「セントレーション(航行安定性)」等を測定する。

 調査を開始してから三〇分も経たない時、ハウゼー艦長から

「ヘンダーソン総司令官、調査をしている技術者から緊急の連絡が入っています」

「つないでくれ」そう言うと司令階の中央に先の主任技術者の映像が現れた。

「ヘンダーソン提督、この跳躍点からわずかですが、エネルギーの残留が検出されました。推定で、一週間前と考えられます」この報告に司令階はざわついた。アッテンボロー主席参謀が、

「それでは、あの艦の残骸は一週間前に出来たということか」

「確証は有りませんが、推進エンジンが機能していることなどを考えると可能性があると思います」この返答にヘンダーソンは、

「主席参謀、調査を一時中断して第一級臨戦隊形をとる。その上で調査を再開する」アッテンボローが「はっ」と答えるとヘンダーソンはコムを口元にして

「全艦に告ぐ、こちらヘンダーソン総司令官だ。調査を中断して第一級臨戦隊形をとる。隊形はフォースデルタ、隊形はフォースデルタ。すぐに実行しろ」

ヘンダーソンの指示に、技術者を乗せた輸送艦が後ろに下がると、重重力磁場に対して三角の先頭を向けたA1GとA2Gが横に並びその上下にA3GとA4Gが位置する隊形になった。やがて、その隙間から輸送艦が、そろそろと出てくると調査を再開した。


一日後、「X5JP」の調査は終了した。ヘンダーソンは艦隊を臨戦隊形にしたまま調査に臨んだが、「X4JP」同様、特に何かが飛び出してくる気配はなかった。他の跳躍点と同じ様に監視衛星と連絡衛星を、跳躍点を取り巻くように2基ずつ設置すると

「少しアンセントレーションが重いですね」ハウゼー艦長の言葉に頷くとヘンダーソンはハウゼーに

「ハウゼー艦長、全艦に帰還指示を出したい。準備してくれ」ハウゼーは「はっ」言うと少しにこやかな顔でスクリーンパネルに指示を入れた。

「第三二一広域調査派遣艦隊に告ぐ。こちらヘンダーソン総司令官だ。「X5JP」の調査をもって今回のミッションを終了する。全員の努力に感謝する。これからADSM72星系経由でミルファク星系に帰還する。この星系を出るまでは第二級戦闘隊形のまま航宙する。三〇分後、航宙を開始する。以上だ」


三〇分後、「第三二一広域調査派遣艦隊」は、第二級戦闘隊形をとって、予想もしなかったアンノーン(不明艦の残骸)を軽量複合素材で出来ている格納ボックスに収納すると二隻の航宙駆逐艦に係留させながら、後にADSM98星系と命名されるこの星系をADSM72星系跳躍点に向けて進宙した。


五時間も経った時、ちょうどヘンダーソンたちが三〇光分進んだ時、重重力磁場(跳躍点)の中からからまばゆい光が立った事を誰も知る由もなかった。


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