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Zwei Rondo  作者: グゴム
一章 迷い森の白兎
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短編1. 裁縫ギルド

短編1『裁縫ギルド』



「ねえねえ。生産スキルってどんなのがあるの?」

「……なんだよ突然」


 十畳ほどの大きさをした石造りの部屋には、AIで管理されたゲーム内の太陽によって、天窓から淡い陽光が差し込んでいた。

 ウドゥンの工房。中心に設置された幅の広いの作業台には、無造作に作りかけの製品や革が放り投げられ、床にも無造作に素材が散らかっている。煩雑ではあるが、居心地は悪くない。そんなどこか懐かしさを感じる作業場で、リゼは先ほどから【革細工】の作業をするウドゥンを眺めていた。


「だってさー。さっきからウドゥン、同じ製品ばっかり作ってるじゃん? それ"タイガーブーツ"だっけ? 見てるの飽きちゃったから、私も何か作ってみたい」

「じゃあ、職人ギルドに行って徒弟クエストを受けてこい」

「だから生産スキルに何があるのか聞いてるんだよー」

「あぁ……」


 最初の質問と話が繋がり、ウドゥンが頷く。彼は作業する手を休めることなく、抑揚の無い声で喋り出した。


「ナインスオンラインには主要な生産スキルが9つある。まずは【鍛冶】。これは主に金属製の武器や鎧をつくるスキルで、このゲームで最も人気がある生産スキルだな」


 【鍛冶】は多くの武器、そして金属製の防具を製作できる生産スキルの花形である。このスキルを志すプレイヤーはとても多く、サブスキルに所要している者も合わせれば、プレイヤーの半分が習得しているとまで言われている。

 当然競争も激しく、このスキルだけで身を立てるのは難しいが、自分で作った武器防具を装備して戦うのは、誰もが一度はやってみたいプレイスタイルだった。


「鍛冶屋さんか。かっこいいよねー」

「次に人気なのは【裁縫】だな。布製品を作るスキルで、製作物のバリエーションが多い。しかも【鍛冶】と違って仕様の細かい変更が可能だから、女性プレイヤーに人気がある」

「仕様の変更?」

「あぁ。例えばなんでもない無地の"シルクスカート"にフリルやリボンをつけて可愛らしくしてみたり、布を重ねてレース加工もしてパニエみたいにしてみたり。まあ何でもありだな。かなり自由にアレンジできる」

「面白そう!」


 リゼが楽しげに手を叩く。二つに結った栗色の髪が可愛らしく跳ねていた。

 ナインスオンラインには防具スキルというスキルカテゴリがある。ここにカテゴライズされるスキルは、プレイヤー達の間で"職業"とも呼ばれており、例えばリゼの【剣士】やウドゥンの【狩人】のほかにも【重騎士】【くノ一】【侍】【海賊】などさまざまな種類が存在していた。

 【裁縫】スキルはこれら防具スキルに対応する装備群のうち、服などの布製品に関する生産スキルだ。性能的には機動力重視となる為、素早い動きを求める攻撃的なプレイヤーに需要が高い。またウドゥンが言ったように細かい仕様の変更も得意とし、ファッション性が優れているため、ライトユーザーや女性プレイヤーに人気があった。


「次に俺のやっている【革細工】。これは靴や手袋とか、補助防具の製作がメインのスキルだな。鎧とかの胴装備も作れはするが、【鍛冶】や【裁縫】にくらべると種類が少ない。その代わり他の生産スキルに使う素材――なめし革とか皮ひもなんかを依頼されるな」

「なんだかそれって、下請け業者みたい。ウドゥンは下請けなんだね」

「……まあな」


 ニコニコと嬉しそうに言うリゼ。ウドゥンは言い返すのも面倒だったので、適当に相槌を打って流した。

 【革細工】はモンスターから得た毛皮を使い、強靭な革装備を造る。金属製の防具よりも軽く、布製の防具よりは堅い。ちょうど中間の性能を持つものが多いのが特徴だった。


「次に【木工】は木製の武器がつくれる。例えば【クロスボウ】や【弓】とかの遠距離武器、近接武器だと【棒】や【旋棍トンファー】とかだな。それに他の生産で使う角材や部品パーツとかも作れる。似たスキルに【家具】があって、これは自室やギルドホーム用の調度品の制作を専門に行うスキルだが、俺はやったことがないから余り詳しくないな。あと【細工】はアクセサリーに特化した生産スキルだが、これも話程度しか聞いたことがない」

「家具にアクセサリーかぁ。なんだか楽しそう」


 リゼはわくわくとした様子でウドゥンの話に耳を傾けていた。まだ生産スキルを習得していない彼女には、説明されるスキルがどれも魅力的に聞こえるようだ。

 そんな彼女を横目にウドゥンが説明を続ける。


「次に【料理】。これは知ってるだろ?」

「うん! あれすごいよねー。あんなにおいしいのに、食べても太らないなんて!」

「【料理】は自由度が高いし、需要もある。製品も残らずに消費され続けるから値崩れも起こしにくいし、ブームが起きれば荒稼ぎもできる。金策としてはかなり優秀だ。次が【製薬】で、これは本来回復薬とか作るスキルなんだが、今は装備品の性能を上昇させたり家具に色をつけたりする塗料の生産がメインになってるな」


 このゲームにも回復薬は存在するが、その効果はいまいちと言われている。確かに体力というパラメータは存在するのだが、それはゲームを進めても成長せずに一定であり、戦闘で減ってもすぐに回復してしまうのだ。その為回復薬に金をかけるより、高価な防具を揃えたほうが生存率が上がるというのが、プレイヤー達の間での常識だった。


「薬屋さんはなんだか地味だね」

「最後はもっと地味だぞ。【分解】だ。装備品をリサイクルして、素材に戻す事ができる。生産プレイヤーに人脈があれば結構儲かるスキルだな」

「うーん。それはなんか微妙だなー。私まだフレンド少ないし」


 リゼが肘を抱いて悩み出す。しばらくぽーっと呆けるように視線を浮かべた後、ピンク色の小さな唇を動かした。


「ここの工房だと、どれならスキル上げができるの?」

「なんで……ここを使うのが前提なんだ」

「だって、私はトリニティのメンバーだし?」

「グリフィンズの誰かに借りろよ……」


 ウドゥンの呆れた声に対し、リゼがふんふんと上機嫌に鼻歌を歌いながら言った。


「それで、この工房では何が作れるの?」


 スルーだった。リゼの子供っぽい無邪気な笑顔を見て、ウドゥンが諦めたように肩を落とす。


「……革細工以外なら裁縫だな。昔買った作業台がある。それにこの二つは部品を融通しあうことが多い。例えば服の急所に革製品を添えて、性能を保ったまま防御力を底上げするとか、革細工で作った製品に裁縫スキルで装飾して、ファッション性をあげるとかな」


 ウドゥンは性能にしか興味が無いが、装備品の見た目というのは重要である。見た目の可愛さ格好良さだけで装備を選択するプレイヤーは多い。その多くはナインスオンラインをやりこんでいないライトユーザーだが、プレイヤー数としては彼らが多数派なのだ。

 そんなプレイヤー達を取り込むには、裁縫スキルの持つ特性は有用だった。


「それって……」


 ウドゥンの説明を聞いたリゼが、プルプルと震えながら目を輝かせる。そして名案を思いついたとばかりに、意気揚々と言った。


「私が裁縫スキルを覚えて、ウドゥンと協力すればいいってことじゃん!」

「いや……別にそういうのは――」

「よし。じゃあこれから、裁縫スキル覚えてくる! いってきます」


 リゼが勢いよく工房のドアを開けて出て行くのを、ウドゥンはなす術なく見送った。


「……あいつ。どこで裁縫スキルを覚えるのか知ってんのかよ」


 残されたウドゥンはがりがりと髪の掻き毟ると、大きくため息を吐いてから、革細工の作業に戻るのだった。





 数分後――キラキラと水しぶきが舞う1番街の噴水広場で、リゼは一人半泣き状態で立ち尽くしていた。


「裁縫ギルドって、どこにあるの……」


 すでに長大な通りを持つ1番街を往復したにもかかわらず、リゼは裁縫ギルドに辿り着けていなかった。仕方なく親友であるルリにメッセージしたところ、裁縫ギルドは1番街の噴水広場にあると言われ、今はその噴水の前で周囲を見渡しているところだった。

 この噴水広場は、露天バザーを開くプレイヤー達の活動が盛んな場所だ。右を向いても左を向いてもプレイヤーだらけである。ただ彼らは売買に熱心で、我先にと競うように声を上げており、ただ道を聞くだけで邪魔をするのは、はばかられてしまっていた。


「うーん。どうしよう……」


 今更ウドゥンの工房に戻るのもやはり気が引ける。仕方が無いのでここは一つずつ、手当たり次第建物を調べていくしかない――リゼがそんなことを考えていると、周囲の喧騒にまぎれて消えてしまいそうな程にか細い、小さな声が聞こえてきた。


「あの……」

「……へっ?」


 リゼが不意をつかれ、少し間抜けな声を上げて振り返る。そこには薄い緑色のロングヘヤーをした垂れ目気味の少女が、おどおどとした様子で立っていた。

 少女の姿を確認し、リゼが笑顔で応える。


「はい。なんですか?」


 その笑顔を見て、少女は安心した様に息をついた。そして今度は大きく息を吸い、意を決したように口を開く。


「あの……裁縫ギルドがどこにあるか知りませんか?」

「…………へ?」


 おもわず変な声をあげてしまった。その質問は、リゼが現在直面している問題そのものだったからだ。少女は言い切ると羞恥に顔を真っ赤にし、手をもじもじといじりながらリゼの返事を待った。

 しばらく2人は無言のまま固まっていたが、やがてリゼが申し訳無さそうに言う。


「えっと……実は私も裁縫ギルドを探してて」

「ええっ? そうですか……ごめんなさい」

「ううん! 私のほうこそ、知らなくてごめんなさい」


 少女は慌てて頭を下げる。つられてリゼも謝ってしまい、しばらくの間2人はぺこぺこと謝りあっていた。

 やがて話しかけてきた少女が言う。


「あの……私最近始めたのですけど、全然ギルドの場所とか分からなくて……」

「あ、私も最近プレイし始めたの! いつ始めたの?」

「えっと……始めたのは一ヶ月ほど前なのですが、あまりログインできていなくて……」

「あ、それならあなたの方が先輩だよ! 私は始めてまだ5日目だもん。えっと、私はリゼ。あなたは?」

「え……エレアです」


 少女が顔を真っ赤にしながら答えた。どうやらエレアは道に迷って困った末に、意を決して道を聞こうとリゼに声をかけてきたようだが、聞く相手を間違えたようだ。

 しかしリゼはそんな少女の姿に親近感を覚えた。彼女の行動は先日――初めてこのナインスオンラインにログインした日に、自分がした行動と全く同じだったのだ。


「エレア!」

「は……はい!」


 リゼが突然力強く声をかけると、エレアはびくりと顔を上げた。


「一緒に裁縫ギルドを探そう!」

「え……」


 エレアは垂れ目気味の目を大きく見開き、しばらくぽかんと思考を停止させた後、思いのほかはっきりとした口調で答えた。


「はい。よろしくお願いします!」


 そうして知り合ったリゼとエレア。2人は噴水広場の周囲にあるという裁縫ギルドを探し、広場を取り囲むように連なる建物を一つ一つ巡っていくことにした。





『【裁縫】スキルを覚えたければまず"ニードル"を装備し、"麻の手袋"を製作してこい。素材はくれてやる』


 髭面のNPCに話しかけると、リゼとエレアの目の前に同じ文面のメッセージパネルが現れる。2人はようやく見つけた裁縫ギルドで、さらに裁縫スキル習得のためのNPCを探し当てたところだった。


「えっと。素材はくれるみたいだから、"ニードル"ってのを探すみたいだね」

「はい……どこかに売っているのでしょうか? そもそも"ニードル"とはどのような物なのでしょう」

「うーん。ニードルって、確か針のことだよね」


 リゼが先程まで見ていたウドゥンのスキル上げの姿を思い浮かべる。その中で彼が革細工の作業を行う時に使っていた工具――丸っこい刃をしたヘッドナイフを思い出した。

 あれから類推するに、おそらくニードルというのは裁縫用の工具である。つまり――


「縫い針の事じゃないかな」

「……あぁ、なるほど」


 リゼがそう言うと、エレアが得心したように頷いた。言われてみれば当たり前の話だ。


「それなら確かに、裁縫ギルド内でも売っていそうですね」

「うん! もう少し探してみようよ」

「はい」


 2人はキョロキョロと周囲を見渡しながら、裁縫ギルド内を歩き出した。ギルド内には多くのプレイヤーが出入りしている。それぞれの生産スキルに対応するNPCギルドでは専用の設備を使用でき、自分の工房を持つまではここで製作することが多いからだ。

 ギルド内に所狭しと並べられた作業台や糸車、それに足踏みミシンの数々はどれも年季が入っている。棚には様々な種類の布生地が巻かれて置かれ、床には糸や布の切れ端が散乱していた。

 それらの設備に目を奪われながらギルドを巡ると、すぐに販売用NPCが見つかった。2人はそこでニードルを一つずつ購入し、先程受け取った素材を手に、少し苦戦しつつもパネルから"麻の手袋"のレシピを見つけて製作を行った。


「出来た!」

「はい」


 リゼが出来上がった"麻の手袋"を手にぴょんぴょんと飛び跳ねる。同時に製作したエレアも、出来上がった自分の製品を嬉しげに見つめていた。


「これを持っていけば良いのかな?」

「そうみたいです」

「そっか。でも、これってなんか地味だね」


 リゼが出来上がった麻の手袋を眺めながら言う。作り上げた麻の手袋は、亜麻色の糸を編み上げただけの質素で無骨な手袋だった。エレアも同調してつぶやく。


「確かに、ただの軍手みたいです」

「可愛くないよねー。仕様の変更ができるって聞いたんだけど、どうやるのかな」


 リゼが自身のパネルを指で動かし始める。つられてエレアも自分のパネルを見た。


「えーっと……? 変更……あ、できそうです。へぇ」


 エレアが慣れない手つきでパネルを操作すると、そこにはオプションとして様々な要素が表示されていた。リゼよりも早くポップアップ画面の説明書きを理解した彼女は、少し遠慮がちに提案する。


「えっと、じゃあこの花のワッペンつけてみましょう」


 そう言って画面上の選択肢を選び、現れたワッペンを手に持ち、場所を決めて麻の手袋に当てニードルをかざすと、それはすぐに自動的に縫い合わされた。


「あ、可愛くなった!」


 リゼが歓声を上げる。麻の手袋の手首辺りに白いコスモスに似た花をアップリケすると、地味だった麻の手袋に少しだけ華やかさが加わった。


「他にもいろんな機能もあるみたいですね」

「うん! 裁縫はこの機能が人気なんだって、私の知り合いが言ってたよ」

「なんだか、これなら私でも楽しめそうな気がしてきました」


 エレアが垂れ気味の大きな目を細め、柔和に微笑んだ。そんな嬉しげな彼女を、リゼが元気良く促す。


「それじゃあ、さっきの人の所に戻ろう! たぶんこれで裁縫スキルが覚えられるよ」

「はい」


 そうして2人は先程、麻の手袋を作ってくるように指示を出した髭面のNPCのいる場所に向かいだした。リゼが先行し、エレアがそれに控えめに続く。


「エレアは何で裁縫スキルを覚えようとしたの?」


 リゼが歩きながら、少し後ろをついてきているエレアに声をかけた。彼女は少しおどおどとした様子で答える。


「えっと……何でも良かったんですけど、生産スキルがやりたくて」

「あー私も。戦闘も良いけど、生産スキルもやっぱり楽しそうだよねー」

「いえ、私の場合は戦闘するのが無理だったので……」


 すこし俯きながら言うエレア。

 彼女はナインスオンラインを始めてすぐ、1人でエリア探索に繰り出してみたのだが、襲い掛かる等身大のモンスター達にすっかり怯えてしまい、全く戦闘にならなかったそうだ。

 たしかにエレアは落ち着いていて、あまり切った張ったの荒事を好みそうには見えない。ただこれはゲームなのだ。もっと楽しめば良いのにとリゼは思った。


「私も弱いけど、戦うの好きだよ。みんなで狩りに行けば楽しいって!」

「まだゲーム内に知り合いがいなくて……」

「それじゃあエレア。フレンド登録しようよ」

「……え?」


 まるで当然の如く、リゼはフレンド登録を提案した。エレアがポカンと口を開けて固まる。


「え……っと」

「私達始めたばかりだし、こうして出会えたのも何か運命的なものがあるもん。ねっ、一緒に遊ぼうよ!」


 そう言って笑うリゼの屈託の無い笑顔に、エレアは顔を真っ赤にしてうつむいた。ぼそぼそと何か呟いているようだったが、よく聞き取れない。

 そうこうしている内に、2人は先程のNPCの前に辿り着いた。すぐに先程制作した麻の手袋を納品すると、それぞれのパネルにメッセージが表れる。


『ご苦労。では貴様らを徒弟として、裁縫ギルドへの加入を認める。精進しろ』


 そして2人はステータスを確認し、スキルの一つに裁縫が習得されていることを確認すると、手を取りあって喜んだ。


「やったやった! 裁縫スキルゲット!」

「ありがとうございます。リゼさんのおかげです」


 緑色の長髪が、リゼの飛び跳ねるのに合わせてゆらゆらとゆれる。そしてエレアはまだ少し遠慮しつつも、途切れ途切れに言った。


「あのリゼさん……フレンド登録、お願いできますか?」

「勿論だよ! あ、リゼでいいからね。エレア、また一緒に遊ぼう」

「……はい!」


 どこか不安げにしていたエレアの表情が、リゼの笑顔につられる様に明るくなっていた。




「――それで、その娘とフレンド登録してきたの! もう、超可愛い子なんだから」

「そうかい、そりゃよかったな」

「裁縫スキルもゲットしてきたしね。よーし、がんばろ」

「だから……」


 ウドゥンの工房の隅でほこりを被っていた小さな作業台。その茶色い木の板の上には、くすんだ黒色のミシンが乗っかっている。最近は工房の物置きとなっていたその台の上に、【裁縫】用の低ランク素材である麻布が大量に用意されていた。

 その前に座るリゼの姿を、ウドゥンは頭を抱えながら見つめていた。


「なんでここで裁縫上げをやるんだよ」

「え? 最初っからそういう話だったじゃん」

「……」


 ウドゥンによる無言の圧力も、新たな出会いによって気分が高揚している少女には通じなかった。リゼが腕まくりをして、裁縫スキルのレシピを確認する。


「エレアと一緒に裁縫スキルを上げるって決めたんだから」


 彼女はそう言うと、ニードルを手に元気よく作業を始めた。



(短編1『裁縫ギルド』・終)









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