Prologue(1)
さあ、本番ですよー。とは言ってもまだ全部書きあがっていないのですが……
そういえばお気に入り登録者数が10件となりました!うひょー、うひょー(*゜▽゜)ノ
嬉しい限りですね。もっともっとたくさんの人に見てもらいたいです。次の目標は100件でしょうか。
頑張りたいと思います。
それでは物語をどうぞ。今回は新たな登場人物です。
白に塗り固められた世界。
永遠に続く世界の中に、些か場違いの様に一人の神が立っていた。
白い髪は風景に溶け込み一体化しているが、逆に赤い瞳は永遠と続く白の世界ではより一層際立っている。神は目立つ赤い瞳を釣り上げ、眉間に皺を寄せていた。
小難しい顔、と言えばそれまでだが、彼のこの顔の裏には実は、歪んだ笑い顔が広がっている。『あの世界』で自分を見下していた奴らの真似事だ。
『あの世界』の全てが自分を拒否した。明日死ぬかもしれない、明後日死ぬかもしれない。いいや、そんな馬鹿馬鹿しい事を考えるくらいならいっその事、今この瞬間死んでしまえばどんなに楽になることだろう。とそんな狂ったことを昼夜問わず、目を開けている時も閉じている時も考えていた。
今思えばあの時の自分は、あの世界で死んでいた。
確かに異性には病扱いをされ、同性には『死ね』と一蹴され、進学は失敗し、就職も失敗し、全てに失敗し尽くして、全てに成功しなかった自分は―――世界から拒絶された自分は確かに死んでいた。
心臓は勿論、自分自身の思いと関係なく元気に動き続けていたが、社会という場で脈打っていたかどうかは酷く怪しい。ただ覚えているのは息苦しかったこと。大きな大きな社会という鳥かごの中に叩き込まれて、小さく身を伏せていたあの日々。
死んでいたあの日々。
無様に這いつくばっていたあの日々。
―――それは全て夢。『彼女』出会ったあの時から、彼の世界は空白の世界だけだ。
《記憶を消さなかった事、誰にも言わないでよ! これバレちゃったらアタシの昇級が取り下げになっちゃうんだから、分かってるわよね!?》
「ん? ああ、分かってる、黙ってればいいんだろう? そんなことより、お前は俺様に沢山協力すればいい」
カッコつけた風に、頭の中へと言葉を送る。すると声の主は、きゃははは、と甲高い笑い声を響かせ、
《なによ、その命令口調。―――分かる? 被検体〇五七、アンタがアタシに協力すればいいの! アンタが永久神になれば、アタシには体が与えられて永久神補佐官の役職に付けるから、アンタは身を粉にして働けばいいの。そうすれば少しくらい手伝ってあげるわ》
「お前……っ! ……いい、分かった。俺様が協力してやるよ」
けひゃははは、と神は下品な笑い声を立てた。彼は今、頭の中の声がどんなに失礼な事を言っても受け流せる程、気分がいい。
ここには自分を蔑む者も、貶す者も、況してや死に追いやろうとする者も誰もいない。もしいたとしても、簡単に消すことができる。
神だから。
この世界の神だから。自分はこの世界の法であり、何をしても咎められない。
「お前、俺様の脚を引っ張ったら容赦しねえ」
《それはこっちのセリフ。アンタがアタシの脚を引っ張らず、着実に『プラン』をこなしてくれればいいの。分かる? アンタが失敗しなきゃいいのよ》
「はっ、そんなの当然。この世界の俺様が『失敗』何てするわけ無い」
不気味に口角を上げて、笑い声を上げる神。
頭の中に響く声の主が打ち立てた『プラン』に沿えば、自分は確実に永久神になれる。こんな勝ち船、乗らないわけがない。
「―――お前の教えてくれた『プラン』。これに沿えば、余裕で他の神を『ぶち殺す』事が出来る。そうすれば、俺様は永久神になれる、そうだよなあ!」
《当然! アタシが永久神から盗み出した情報よ。まだ誰も知らない、アタシとアンタのヒミツ。他の神とか思念体が気付くにしても、相当の時間がかかるはずよ!》
その言葉に神は再度、けひゃはははと喉を窄めたような笑い声を出した。
面白すぎる。
神殺しは、至極のエンターテインメントだ。
自分自身の欲望を満たすには十分すぎるほど、十分。上に立つ奴らを問答無用で殺せるなら、面白い事間違いない。
奴らが泣き叫んだって助けない。
奴らが命乞いしたって手を止めない。
笑って笑ってぶち殺してやる。
「―――さあ、歴史を始めようかあ!」
ある日、被検体〇五六と被検体〇五八の世界が『奪われた』。