表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悠宮探久~リオスの不思議なラビリンス~  作者: 和本明子
◆1章 小さな剣と小さい魔物、そして小さくも大きな勇気を見つけた場所
2/17

-1-

 扉を開いた先には、草や木が生え茂っていた。


 その目に映った光景に対して、リオスは戸惑いつつも、辺りを見回した。

「外?」


 いや、外ではなかった。

 空を見上げてみると、先ほど見知った薄汚れた天井が広がっていた。


 この場所フロアは、太陽……日の光は差し込んでいないのに、部屋の中が明るい。


 天井から光が発光していた。


 リオスは不思議だと思ったが、今はそんな事は些細な不思議にしか過ぎない。


 目を細めて、遠くの先を眺めて見ると、ぼやけながら見えるのは石の壁。


 この場所も、先ほど自分が閉じ込められていた部屋―『エデンの小部屋』と名付けた部屋―と同じような空間なのだと行き着いた。


 ただ、この空間の広さは、小さきエデンの小部屋と比べて、遥かに広く、天井も自分が十人以上肩車をしないと届かないほどの高さだった。


 まだここが何処なのか、何なのかは見当もつかない。

 そんな不安を少しでも解消させるため、ひとまず辺りをうろついて探ることにした。


 草は、自然のままにボウボウと生い茂り、一目で人の手が加わっていないという事が感じ取れる。


 木もあちらこちらに生えているが、森といったほど生えてなく、木々の隙間から遠くの景色が見える。


 室内なのに、これほどの自然が自生している事に違和感を感じていた。本当に、一体ここは何処なのかと。


 しばらく辺りをうろついていると、遠くに『棒らしき物』が地面に突き刺さっているのを見つけ、目を細めてみた。


「剣?」


 ここからでは、棒らしき物の形状を捉えるのがやっとだったので、その物の元へ駆け寄ろうとした。


 その時!


 草の茂みから、何かが飛び出してきた。


 その何かとは、長い耳をピンッと立てて、鋭い爪と牙を持った如何にも凶暴そうな小動物が、威嚇するようにギロッとした目でリオスを睨みつけ、前に立ちふさがった。


 フーフー、と興奮したような荒息を吐く音が聞こえる。


―――なんだ、この生物は?


 と思った矢先、長い耳の小動物は、リオス目掛けて飛び掛った。

 リオスは、咄嗟の判断で身を逸らしかわしたが、小動物の爪が二の腕辺りを掠り、腕から血が滴る。


 突然の出来事で混乱したものの、すぐに現状を把握した、


―――あの生物は、自分を狙っている。襲っている。喰われる。


 凶暴な小動物は、鋭い牙を見せ付けるかのように大きく口を開き、再び飛び掛った。リオスは咄嗟に身を屈めると、小動物が頭の上を飛んでいった。


 小動物が地面に着地するよりも早く、リオスは背中を向け、来た道を走り出した。小動物も体勢を整え、獲物=リオスを追うために駆け出す。


 リオスは、全力で逃げた。

 あの部屋へ。

 『エデンの小部屋』と名付けた部屋へ向かって、ひたすらに足を動かした。


 小動物が追ってくる。


 その速さは、リオスの走る速さと同等、いやそれ以上の速さだった。


 少しずつ、距離が縮まっていく。

 リオスは後ろを振り返ることなく、前を向き、速くそして早くと走る。


 エデンの小部屋の扉が見えた。


 少し安堵したが、まだ危機は去っていない。

 扉は開きぱっなししていたので、スピードを落とさず、頭からダイビングして部屋の中へ滑り込んだ。


 これで安心と思い振り返ると、扉は開いたまま。


 そして、その先に小動物が、こちらを目掛けて飛び込んできたのだ。


 リオスは、すぐさま起き上がり扉のノブを手に取ると、精魂と全力を込めて、勢い良くノブを引いた。


 扉が閉まると同時に、ゴーンと鈍重な激突音が鳴り響く。


 おそらく、あの小動物がドアにぶつかったのだろう。

 その後、扉を引っかく音がしていたが、それもやがて止み、室内に静寂が訪れた。


 ようやく危機が去ったと思い、リオスは息を切らしながら、大きく息を吐いた。


 そして、あの凶暴な小動物に対して、どうするのかという新たな危機が誕生した事に頭を抱え込み、今度は小さく息を吐いたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ