空
私は生まれた時から空っぽで、空っぽの体を抱えながら無意味な年月を過ごしてきた。
ある日、空っぽの私は全てにおいて満たされていたお姉ちゃんをナイフで刺した。
そうしたら、いつものように微笑みながら床に倒れて、空っぽになったお姉ちゃんはそれっきり動かなくなった。
満たされていたお姉ちゃんを刺したら、私も満たされると思っていた。
けれど、私は空っぽのまま――何も変わらなかった。
自分の胸にナイフを刺して、空っぽのお姉ちゃんの横に寝てみた。
空っぽの私に、お姉ちゃんはいつものように、微笑んではくれなかった。
結局、最期まで私は空っぽのままだった。