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文番(もんばん)

作者: 藤乃花
掲載日:2025/10/20

園児時代、藤乃は門番になりたいなどと、ほざいておりました

現実世界と幻想世界の狭間にある『語りの出入り口』を固める役割、その名も『文番もんばん』。


出入りの利用をする存在には限りがあり、『文番もんばん』はそれを見極める質を持っている。


早速、朝から『語りの出入り口』を利用するであろう存在が姿を現し、『文番もんばん』の顔付きが厳しいモノへと変化した。


「通りたければ、鍵文キーワード、通り名、用件を云うべし‼」


現れた存在の姿は人が良さそうな細身の女性。


けれど見た目は関係なく、『語りの出入り口』を利用する場合は、決まりに従わなければならない。


「『開け、表紙の門』、通り名『カイセイ』、用件は逃亡した作者の『小田氏』を連れ戻すために参りました‼」


女性が名乗る『カイセイ』という通り名には、確かな聞き覚えがある。


ここでピン、ときた為、彼女には同情が生まれてくる。


「毎回、大変だな」


「慣れてますから」


『カイセイ』とは現実世界の出版社で編集を勤める女性で、『小田氏』とはスランプで毎回逃亡をはかる人気作家だ。


彼の逃亡を阻止しようとする彼女の顔色からは、予想以上に疲れが現れていた。


「入って良い‼」


「ありがとうございます」


疲れながらも『小田氏』を連れ戻しにいく『カイセイ』が通りすぎる瞬間、『文番もんばん』の胸はチクン、と痛んだ。


(今頃、探してるだろうな)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「にいに~どこ~?」


探していた。


幻想世界の出入り口で『文番もんばん』の業務を勤める間、兄である彼と遊びたがっている二歳の妹が。


兄の部屋の隅から隅まで、必死に探しているのだ。


「にいに~、あしょんでえ~」


兄が入っているライトノベルの側で、妹は彼を呼び続ける。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

空から妹の声が聞こえた。


〈にいに~〉


胸が再び痛んだ。


(済まない、リサ。

ウチは貧しいから、兄ちゃんが稼がないと食べていけないんだ!)


〈どこ~?〉


『待ってろ、後二時間したら交代だから、それまで待っててくれな‼』


兄貴は辛いよ。


〈あしょんでえ~〉

酷評、お願い致します

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