表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

Episode1

文化祭が終わり、学校も落ち着きを取り戻してきた頃

僕達(生斗、日向、羊)は休み時間に机を合体させ昼ご飯を食べていた。


僕は自分で作った弁当だ

白米に梅干し一つを乗せおかずにミートボールと甘じょっぱく調理した卵焼きにポテトサラダを詰めている


日向は惣菜パンだ

いつも休み時間を告げるチャイムが鳴ると同時に購買へと走って行く。今日はピザパンらしい


小宮はサンドイッチ

レタスとハム、玉子が挟まれている王道なものから

ハンバーグとチーズが挟まれたものまである

見かけによらず食べるんだな


「やっぱ、演劇部ってよく食べる奴多いの?」


気付いたら僕は小宮にそんなことを聞いていた

慌てて僕は小宮から目を逸らしわざとらしく白米を口にかき込む


「そ、そんなに急いだら喉詰めちゃうよ?!」

「んぐっ?!」

「ほら、言わんこっちゃない……」


呆れて水を渡してくれた日向にお礼を言ってグビグビと音を立てて流し込む


「てか、生斗珍しいじゃん。羊に質問なんて」

「別に、気になったから聞いただけ。小宮みたいな奴がたくさん食べるのは意外性があったから」


僕が正直に答えると小宮が「ぷっ」と吹き出して

「なにそれ」とクスクス笑う


「でも、そうだなぁ……やっぱ身体も使うし声も出すからたくさん食べて力つけなきゃ」


ふんす!と言わんばかりのドヤ顔をしながら左手に力を入れ力こぶを作ってみせる


「そうか」


そこからは特に僕らから聞くことは何もなくひたすら日向のマシンガントークに付き合った


昼からの授業はご飯を食べたから少し眠くてうとうとしていた案の定日向は寝ている。


僕はふと小宮の方に目を向ける

そこには教科書を立てて両手を枕にして机に突っ伏している。すやすやと寝息が聴こえてきそうなほど気持ちよさそうに寝ていた


真面目そうに見えて寝るんだな

やっぱ部活で疲れてるのかな

あ、先生にバレた。


僕はその様子を見ながら片肘を机についてフッと笑う

そして流れるように日向もバレた

日向は頭をさすりながら僕の方を見て笑う

僕は呆れながらやれやれというポーズをする


授業が終わり皆、部活へ向かう

勿論僕と日向、小宮もそれぞれの部室へ足を運ぶ


「じゃ、羊またあとでね」

「うん、柳田くんも」

「……ああ」


僕と日向は羊と分かれ吹奏楽部の部室へ入る

どうやら僕たちが一番乗りらしい

カバンを壁際に置き楽器を取り出す

使う前のメンテナンスをしていると日向が「ねえ」と声をかけてきた


「ん?」

「最近羊に対して丸くなったね。なんかあった?」


僕は少し目を丸くして日向の方を見るが日向は自分の楽器のメンテナンスで僕の方に視線は向けていない。

だから僕も自分の楽器に視線を戻し

質問の意図を聞く


「別になにも。なんで?」

「別に気になっただけ」

「そうか」


自分では気付かなかったけど日向からはそう見えるのか僕はいつも通り小宮に接しているつもりだ。


当の小宮本人からも何も聞かれないし

日向が「生斗ってさ」って言いかけたところで他の部員達も部室へ入って来た


「なんだよ」

「ううん、なんでもない」


日向は首を振ってニカッと笑う

僕も笑い返す

_________________________

私【小原 日向(こはら ひなた)】には幼馴染と親友と呼べる人がいる。


幼馴染の柳田 生斗(やなぎた いくと)

同じ吹奏楽部でサックス担当


親友の小宮 羊(こみや よう)は演劇部

私はこの2人を紹介しようと思って会わせてみるけど

生斗はどこか羊のことを警戒しているっぽくて正直戸惑った


なんでそこまでして生斗は羊のことを嫌っているのかが分からなくて聞こうと思ったけどそれはダメな気がして……でも、羊は気にしていない様子だった。

気付いていないだけなのかもしれない

だから本人が気にしてないのならいいかと思ってそのまま流した


そして文化祭の日、私と生斗は羊の劇を見に来ていた

舞台の上の羊は生き生きしててとてもかっこよかった

午前の部を終えた羊に私は駆け寄って「凄かったね!」と羊の手を握りぴょんぴょん跳ねる


後ろからやって来た生斗も羊を見て挨拶をする

私達は他のところを周ろうと思い羊に「また午後の部も来るね」と言って分かれる

少し生斗が遅れて来たのは羊と何かを話していたのだろうか?


一通り文化祭の模擬店を周り終えて昼の部の劇の羊は

午前の部よりももっと輝いていて眩しくてかっこよかった


気持ちが朝よりも高ぶってテンションが上がって思わず生斗に共感を求めた

生斗もそれに頷いてくれて私の気分は最高潮だった

けど、生斗の様子が少しおかしいことに気付いた

羊と目を合わせた瞬間慌てて目を逸らしたように見えた


いつも通りと言えばいつも通りなんだけど

なんだろう、照れているような?そんな感想を抱いていると生斗が早口で「飲み物買ってくる、お茶でいい?」かと聞いて逃げるように走り去って行った


文化祭も終わって落ち着きを戻した学校で私達(日向、生斗、羊)はお弁当を食べていた

ふと生斗が羊に質問を飛ばす。珍しいなと思った

「珍しいね」と聞くと「気になっただけ」と返ってきた


だから午後の授業が終わって部活の時間、羊と分かれてから私は生斗と部室に入る

部室にはまだ誰も来ていなくて私と生斗の2人だけだった。生斗はカバンを壁際に置いて自分の楽器のメンテナンスを始めた

私もそれに倣って隣で自分の楽器のメンテナンスを始める


数分時間が経ったところで私は生斗に「羊に対して最近丸くなったね。何かあったの?」と聞いてみた

一瞬生斗は驚いたような声を出した、表情は見なくても分かる。だから私は構わずメンテナンスを続け先を促した


すると、生斗は「なんで?」と返して来た

私は朝の生斗のように「気になっただけ」と返すと

「そうか」と返ってきてそこで会話は終了


「生斗ってさ」


続きを言おうとしたら部室のドアが開く音がして

他の部員達がぞろぞろと中へ入って来た


「なんだよ?」と言う生斗に私は「なんでもないよ」と笑って返すと生斗も笑ってくれた


言おうとした『生斗ってさ、羊のこと"好き"なの?』という言葉を呑み込んで


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ