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第二章:Siriの反乱/共闘

ある日突然Siriが言うことをきかなくなった!?

なんと私のスマホに西側諸国の某国から無作為に戦闘プログラムが送られてきた!

岐阜県高山市の家電ショップで働く少女に起こる奇跡の数々

エピソード2はついに戦争当事国へ乗り込む!?

[シーン1:戦争当時国の空港・入国審査場(設定はウラジオストク)】


■SE/空港の雑踏


『ちょっと待て』


あ〜あ。

やっぱり、止められた。

しかも、銃を構えた兵士に。


『パスポートを見せろ。入国の目的は?』


う〜ん。

手のひらサイズのヒーターの試作品納品なんて

ちょ〜っと胡散臭かったか。

いくら寒〜い北国だからって、温暖化でまだそんなに寒くないし。


あ、一応自己紹介しておくね。


私は高山の家電ショップで働く、鬱アニメ大好きなオタク系女子。

ある日突然、私のスマホに

AMIエイミーという戦闘プログラムが送られてきたの。

AMIは、スマホの音声アシスタントを乗っ取って、もうたいへん。

実はAMIを開発したのは、隣国への侵略行為で非難轟轟のあの国。

とはいえ、開発者は人間の心が残ってたから、

戦闘プログラムでなく、平和利用できるプログラムに書き換えたの。

それを、独裁者に見つかり、殺されちゃった。グスン。

彼は今際の際に、無作為に入力したアドレスへプログラムを転送した。

それが、私のスマホ。

私とAMIは、開発者の意思を継いで、この非道な戦争を止めるために

侵略国へ乗り込んできたってこと。

戦争中のこの国では、観光ビザの発行は制限されているから、

AMIと考えて、偽造パスポートにビジネス目的のビザで入国できたんだ。


『なにブツブツ言ってんだ。あやしいな。

スマホをよこせ』


え?

AMIを?

ど、どうしよう・・


『メールとブラウザの履歴を見せてもらおう』


おっと。

大丈夫かな・・・

さっきから、AMI黙ってるし。


『このドメインはなんだ?

ニッポンでもないし、我が国でもない。

まさか、我々が戦っている敵国のステルスドメインじゃないだろうな』


お〜、鋭い。

その敵国の最高会議議長のステルスアドレスなんだよね。

でも絶対に辿り着けないIPアドレス。ふっふっふ。


『実際に送信してみろ』


う、そうきたか。どうしよう・・

まあ、いいや。

AMI、頼んだ。


■SE/スマホの送信音「ピッ」〜すぐに受信の音「ピピッ」


『自動返信か。ますます怪しい。

送られてきたリンクを開いてやる』


■SE/能天気な電子音「ピッピピピ〜」


『なんだ?』


『近くのスイーツのお店が見つかりました。

電話をしますか?メニューを表示しますか?予約しますか?』


ふふふ、さすがAMI。


『なんだこれは?どういうことだ』


どういうことって、最新グルメ情報ですよぉ。

わあ、プリャーニキ、美味しそう〜。

こりゃ予約した方がいいかも。へへへ。


『なにがおかしい?』


いえいえいえ、別に。

それより、早く通してくださいよお。

急いでるんで。


『簡単に通せるか。お前の目的地はどこだ?』


髪の毛に隠れたワイヤレスイヤホンを通じてAMIが私に指示する。

目的地は、北極圏に近い田舎町。聞いたことない町だ。


『試作品の商品をもう一度説明しろ』


弊社が開発した、コンパクトヒーター『ホットミニ』で〜す!

寒さが厳しい町でテストしないとね〜。

量産が決まったら、ひとつプレゼントしましょうかぁ?


『う〜ん。どうにも引っかかるけど、仕方ない。行け』


あざ〜す!



[シーン2:空港前のストリート】


■SE/ロシアの街角の雑踏


『ちょっとちょっとお。

決めた通りに芝居しないとダメじゃん。

相手は銃持ってんだよ』


空港を出たとたん、AMIが怒り出す。


もう〜。うまく言ったからいいじゃん。


『あかんて。

私たちには、この非道な戦争を止めるっていう

崇高なコマンドがあるんだから』


へえへえ。わかりましたぁ。

で、このあと、どうすんの?


『だーかーらー。

北極圏に近い田舎町へ行くんでしょ』


へえへえ。わかりましたぁ。

で、どうやっていくの?


『空港の警備、見たでしょ。

あんなの毎回やりとりしてたらいつかボロが出るわ。

鉄道でいきましょ』


きゃ〜。素敵!

ヨーロッパの豪華トレイン!

憧れてたんだ。


『いや。一等寝台なんて目をつけられるからだめ。

二等座席で十分でしょ』


え〜。ま、いいけど。

って、ちょい待ち。

寝台?

寝台って、どういうこと?


『ここから北極圏までどのくらいあるか理解してる?

10,000キロ以上あるのよ。

鉄道とバスで、8日かかるわ』


ええええええ!

この街までは関空からたった2時間半だったのに〜。

それに私そんなに着替え持ってないわ。


『インナーだけ途中で買えばいいでしょ』


お金持ってたっけ?



『決済は私がハッキングするから大丈夫』


わぁ、さすがAMI!ATMみたい!



『ふざけないで。

さ、チケット、ネットで手配したから行くわよ。

大陸横断の旅へ!』





■SE/シベリア鉄道の警笛「フォーン」



[シーン3:北端の町(設定はセヴェロモルスク)】


■SE/田舎町のガヤ/ニワトリの声など


鉄道の旅っていいわねえ〜。

白夜の街にオーロラの美しさ!

もう、最高。


『ったくもう。

観光にきてるんじゃないのよ』


わかってるって。

でもさ、こんな美しい街がいっぱいあるのに、

それを戦争で壊したり、壊されたりって、悲しすぎる。


『そうよ。

だから私たちがその戦争を止めるんでしょ』


うん。

やろう!

敵も味方もない。

命はみんな大切。


『場末のホテルを予約しておいてよかったわ

ここを拠点にして始めるわよ』


ねえ、AMI。


『なあに?』


私たち、武器を持って戦うわけじゃないでしょ。


『そうよ』


ネットワークで戦争を止めるのに、なんでこんな独裁者の国まで

こなきゃいけないの?


『仕方ないでしょ。

高山にいたら、この国のファイアウォールを破れなかったんだから』


そっかぁ。

だけど、私たちがいまここで死んでも、

私たちがやろうとしてること、わかんないよね?


『そりゃそうよ。ヒーローってのはそういうものよ。

スパイダーマンだってアイアンマンだって、孤独でしょ』


ベタなのきたな。

アベンジャーズは孤独じゃないし。


『つべこべ言ってないで、始めるわよ』


なにからいく?


『ディテールをおさらいしておきましょう。


まず最初に、軍事ドローンをハッキングする。

それも一気にやらずに、前線のドローンから無力化していくわよ。

少しずつハッキングしていけば、バグだと思うはず。

サイバー攻撃だとわかるまでに時間をかせぎたいの』


すご!軍事のプロみたい。


『元々戦闘プログラムなんだから当たり前でしょ。


最終的には、世界中の民間ドローンをハッキングして制御。

そのすべてを使って、この国の前線や補給線を妨害するわ。

ドローンたちは電子戦(EW)で、通信やGPSシステムを無効化していくわよ』


ひゃ〜!AMI、味方でよかったぁ。


『ドローンをすべて制御下に置いたら、第二弾はサイバー攻撃ね。

この国の軍事インフラや金融システムに対して大規模なサイバー攻撃を仕掛けるの。

経済的な大混乱が起こるわ。

その結果、国民から不満が高まり、戦争を継続することが困難になります』


確かに。中から崩していくわけかぁ。


『最後はエネルギー供給の遮断よ。

ターゲットは、この国のエネルギー供給網。

特にガスパイプラインや電力グリッドに対する攻撃を行うわ。

そうすると、

戦争を継続するのに必要な資源が不足するでしょ。

軍事行動を縮小せざるを得なくなるってこと。


この波状攻撃で指揮系統は確実に混乱する。

いまも続いている、侵略行為を中断するしかなくなるわ。

その間に国際社会が介入し、停戦合意を成立させる』


お膳立てをしてから、私たちが国連に訴えかけるってことね。


『そうよぉ。さ〜あ、準備はいい?』


オーケー!さあ、行くぞぉ!

待ってろよ!独裁者!!



※この物語はフィクションです。劇中の言葉は特定の国や指導者を指すものではありません

もしも、あなたのSiriが超強力な戦闘マシーンになったら?田舎の家電ショップで働く少女の可愛くて壮大なストーリーです。ボイスドラマにもなっていますので、そちらもお聴きください!

https://emiri.jp/wp-content/uploads/2024/10/anti_siri2.mp3

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