表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.201~No.300】

学校の人気モノ 【月夜譚No.288】

作者: 夏月七葉

 まるで王子様みたいな人だと思った。誰に対しても笑顔で優しく、頭が良いのをひけらかすこともせず、周囲にはいつも友人がいて賑やかで、容姿端麗。全校生徒の注目を浴び、特に女子からはそれは熱い視線を注がれるのも頷けるというものである。

 しかしながら、どういうわけか同じクラスの私だけは、どうしても彼に興味を示せなかった。少女漫画好きで、所謂イケメンには目がないはずなのだが、食指が動かない。彼が素敵な人物だとは感じるのに、それ以上の感情は起こらないのだ。それは自分でも不思議だった。

(――ああ、成程)

 無感動にそう思ったのは、偶然その場に居合わせたからだ。神に誓って、疑念などは一切なかった。

 振り向いた彼の双眸が、路地の暗がりに光る。私は逃げる間もなくそれと視線が合って、その場から動けなくなってしまった。

「……見たな」

 ゆっくり歩いて陽の中に出てきた彼の姿は、もう人間のそれではなかった。

 昔から、人でないモノを見ることが多かった。私が彼に興味を示せなかったのは、何処かで彼が人でないと判ったからなのだろう。

 私は泣きたい気持ちで彼を見上げ、脳裏に諦念を過らせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ