7話 ギフトと明日のこと
私が冒険者ギルドを出ようとナンシーさんに背を向け、扉に向かって歩き出すと、
「あ、アイリスさん待ってください。お金、お金忘れてますよ。」
と言われた。
「あ、忘れてました。」
私は赤くなりながらナンシーさんのカウンターまで戻った。
「すみません。説明したりする前にお渡ししておくべきでしたね。では、どうぞ。」
ナンシーさんは私にお金を差し出してきた。
「ありがとうございます。今度から気をつけますね。」
私はそう言いながらアイテムボックスに硬貨を収納した。
「え、アイリスさんアイテムボックスのギフト持ちなんですか?」
「そうですけど?」
ナンシーさんが目を丸くしながらそう問いかけ、私がそう答えると周りを見渡し突然真剣な顔をしてこう問いかけてきた。
「それ、どなたか知っている方はいらっしゃいますか?」
「ええ、孤児院の子たちが知ってますよ。」
「本当に他の方は知らないですか?」
「知らないと思いますが…」
「そうですか…それならばよかったです。」
と、ナンシーさんは安堵したような表情をしていた。
私はいまいちナンシーさんの質問の意味がわからなかった。
「あの、なぜそんなことを聞くんですか?」
「アイリスさん、あなたは知らないかもしれませんがギフトとは珍しいものなんです。特にアイテムボックスのギフトは色々と使い道があるから国やギルドとしてもとても貴重な人材なんです。それで高値で売れるからとギフト持ちの人が攫われて奴隷にされるということがあるんです。
だからアイリスさん人前で安易にギフトは使わないようにしてください。」
実は、私が知らなかっただけでとても危険なことだったらしい。
アイテムボックス自体は記憶が戻った時から使えたが容量が少なかったから実験以外で使うことはほとんどなかったが逆に今まではそれに助けられていたようだ。
「っ…」
私が驚きと恐怖から言葉が出なくなっていると、
「別に気づかれたからって絶対に連れ攫われるってことはないから大丈夫ですよ。ただ用心しておいた方がいいってだけで。たとえばポケットから取り出した風に見せるとかすれば使っていても気づかれることはないでしょうし。」
「なるほど…それでも用心するに越したことはないんですよね?」
「まあそうですね。それでもそのギフトはとても有用なので使った方がいいとは思いますよ。ギフトも使わなければ成長しないですし。
それにギフトが成長すれば予備の武器を入れたりしていざという時に備えることもできますよ。」
「それじゃあ気をつけて使うことにします。」
「それがいいと思いますよ。」
「それでは帰りますね。」
私は今度こそ冒険者ギルドを後にした。
ギルドを後にした私は孤児院に帰る途中、大通りにある少し高級なお菓子屋に寄って孤児院のみんなへのお土産としてクッキーなどを買って帰った。
私が孤児院に帰り着くとエミィとフィーが一緒になって魔法の練習をしていた。
「ただいま。めずらしいわねフィーが魔法使ってるなんて。」
「おかえりなさいアイリス。私だって練習ぐらいするわよ。学舎の試験にもあるしね。」
「そうなの?私筆記試験だけだと思ってた。」
「違うわよ。でも魔法は心配なのよね。」
フィーニア
・火魔法 LV.1 (才能LV.2 適正E)
・風魔法 LV.3 (才能LV.6 適正C+)
「え、フィーって風魔法得意よね?」
「そうだけど…それでも魔法は心配なのよ。」
フィーの風魔法のレベルは3これは冒険者としてはE〜Dランクの下位相当だったりする。一般人の平均は1か2だ。
「レベル3あれば心配しなくていいと思うけど。ちなみに試験の内容はどういうのなの?」
「試験は攻撃魔法よ。内容は毎年変わるそうだけど去年は『離れた的にどれだけ傷をつけれた』かだったそうよ。」
「それで魔法を…そうだ明日一緒にスライム倒しに行かない?ギル君も誘って。」
「突然どうしたの?急にスライムって。」
「だって魔法とかって戦闘に使った方が習熟が早いっていうじゃない。」
「確かに言うけど。いくらギルベルトがいると言っても危ないじゃないの。」
「大丈夫、怪我したら私が治すから。」
「確かにアイリスは回復魔法使えるけど…まあそうね。行きましょうか。」
「そうよついでに冒険者登録もしとかない。領都に行ったらお金稼がないといけないでしょ?」
「一応ね、学舎は寮だけどないよりはあった方がいいものね。」
「それじゃ一緒に行きましょうね。」
「だけどその前にギルベルトに頼まないと。」
「ああ、そうだったわ。」
私たちはギル君に明日のことを頼むため孤児院の中へと入っていった。
「ということでギル君頼んでもいい?」
「いいぞ、どうせ明日は休むつもりだったしな。森の中まで入らないのなら二人くらい守れるだろうし。」
「ギル君ありがとう。じゃあ明日は10の鐘が鳴るくらいにギルドで行くのでいいかしら?」
「俺は構わないぞ。」
「私もいいわよ。」
「それじゃ明日はスライム狩りに行きましょう!」
それから私たちは明日に備えて夕食を食べて早めにベットに入った。
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