1話 不幸な転生
転生…憧れがなかったかと言われたらそれはやっぱりあっただろう。だからといってあんな始まりはやはり悲しいし辛いことだろう。運命?天命?神の意思?そんな事は私にとっては関係ない。今でこそこうしているがやはり別れは耐えがたい事だろう。
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痛いイタイ寒い暗い怖い何でこんな暗い怖いとこにみんなどこ?お母さん?お父さん?弟くん?何で私は一人なの?ここはどこ?暗いよ恐いよ痛いよ...
一体どれだけの時間が経ったのだろう。いつしか何も感じなくなっていた意識が温かい光を感じるようになっていた。
「すまない君たちを巻き込んでしまった。」
?誰?私は何がどうなって?
「あぁまず我が何者かという事だが我は人間がいうところの神と言うべき存在だ。次に何が起こったのかと言うことについてだが端的に言うと君は交通事故に巻き込まれ言いにくいが死んでしまった。」
事故?
「戸惑うのも無理もないだろう突然自分が死んだと言われても納得できるような者はとてつもなく少ないだろう。」
死んだ?何を言ってるの?だって私はみんなで旅行に…これから旅館に行って、とても痛くて暗くて恐くて、あれ?
「すまない、その痛みも苦しみも全て我のせいなのだ。」
どういう事ですか?
「すまぬ、我のミスだ。我が運命を書き換え間違えてしまったのだ。少し説明をするとしよう。我は人が上手く生きられるようにさまざまな事を調整しているのだ。しかしどれだけ上手くやったとしても良い事と悪い事の大きさは吊り合ってしまうのだ。だが、いくら吊り合うとしても人は大きな悪い事一つで簡単に滅びてしまう。我はそんなことが起こらないように不運を一身に背負い込む者をつくり出しているのだ。もちろん相手の承諾は得ており、対価も約束はしている。ただそれは巻き込まれる運命であり巻き込む運命ではないのだが彼の最期に君を巻き込んでしまったのだ。」
そうですか…状況は理解できました。そうだ、私の家族はどうなったのですか⁉︎死んだのは私だけですか。
「いや、君たちの家族も含めて皆亡くなっている。」
…そう…ですか
「すまぬ、君だけはまだ死ぬ運命ではなかったのだ。私のミスだ。だからそのお詫びとして3つ君の願いを叶えようと思っている。」
!それじゃあ私たちを生き返らせてください。
「それは難しいのだ。一度死んでしまった以上同じように生き返らせたとしてもそう長くは生きられないのだ。」
そんな…
「それに君たちの家族は君を除いてすぐに死んでしまったため同じ輪廻の輪に組み込むことができたのだ。だから既に転生することが決まっているのだ。ただ君だけは死がずれてしまったため同じようには出来なかったのだ。」
それじゃあみんなはまた同じように出会えるのですね。
「それは保証しよう。」
それでは、私を一度生き返らせてください。
「それは先ほども言ったように...」
わかっています。それでも私はちゃんと私の手で家族のみんなを葬ってあげたいのです。
「そうか、わかった最初の願いはそのようにしよう。ただしいくつかの制約もある生き返らせたとしても死んだ時の怪我で死ななくなるだけでしかない。怪我が治るわけではないのだ。それでも良いか?」
問題ないです。
「わかった。あまり時間を与えられなくてすまない。悔いができるだけ残らぬようにしてくれ。」
「うぅ、一体何が?」
悔いが残らぬようにしてくれ
「ああ、そうかそうだった。」
周囲を見渡すと潰れて横転した車と血の匂い
「悔いが残らぬようにか。」
私はどうして今こんなにも冷静でいるのだろうか。とりあえず警察に連絡を入れようそして…
そんなことを考えていると突然涙が止まらなくなってしまった。
それからの事は現実にあった事だとは思えなかった。まるで映画の中にでも入ったかのようで、両親と弟の葬儀を行い、友人に感謝を伝えた。もう残すような悔いも無いだろう。あるとすればそれは…
「悔いは残さなかったか?」
はい、もうあそこに残すような未練もありません。
私はそれから一月ひたすらにあの世界で思い残すことがないように行動してきた。もう、あの世界に未練はない。
「そうか、では残りの願いは決まったているか?」
はい、決まっています。まず、私の家族と同じ世界、同じ時代に行かせてください。いつかまたその世界で私の大切な人たちと出会いたいのです。
「わかったそのようにしよう。」
ありがとうございます。そして最後の願いですが私の今までの記憶を残してほしいのです。
「それは良いが辛いだけでは無いのか?我とのやりとりは記憶にちゃんと残るぞ?」
はい、良いのです。私は、私にとっての大切なこの記憶を忘れたくはありません。
「そうか、そのようにしよう。それでは少し君が生まれ変わる世界の説明をしよう。その世界ではここで言う魔法と呼ばれるものが存在する。モンスターと呼ばれることも存在する稀に魔王と勇者が戦うというようなこともあるそんな世界だその為この世界より過酷だ。」
そうなのですね。今更ですが私の家族は苦難に晒されたりしませんよね?
「あぁ、無いとは言わないが他者よりはよほど良い人生を送れるだろう。」
それなら良いです。
「そうか、そういえば言い忘れていたことがあった。私は君が自らの権利まで使って家族を重んじたことに感銘を受けてな少し恩恵を与えようと思っている。向こうの世界で言うところのスキルというやつだ。」
そうなんですか?ありがとうごさいます。
「とりあえず記憶とスキルが覚醒するのは少ししてになることだけは伝えておくぞ。子供が持つには大きすぎる。」
わかりました。
「それでは送るぞ。良き人生を」
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