14話 家族
私たちは作戦を立て、あのスライムが待つ盆地へと舞い戻った。
「アイリス5m先に少し強めに撃ち込んで。」
「了解、『ファイヤーボール』」
「次は20度ぐらい右10mの位置。」
私たちは周辺のスライムたちを倒していく。
私がもう数回ほどスライムを燃やした頃、スライムの群れの中から魔法が放たれた。
「任せろ!『パワースラッシュ』」
ギル君の剣は放たれた魔法を掻き消した。
「ナイスよギルベルト。その調子で頼むわね。」
「あいよ。しっかり守ってやるさ。」
「この調子でいきましょう。アイリスさっきの魔法が来た場所はわかるかしら?」
「ええ、分かるわよ。そこに撃てばいいの?」
「そうね。そこに強い魔法を撃ち込んで。」
「分かったわ。炎よ、その大いなる力を持って我が敵を撃ち滅ぼせ、弾けろ『ファイアブラスト』」
私の渾身の魔法はスライムの群れのを飲み込む爆発を巻き起こした。
「やっぱアイリスの魔法は威力おかしくないかしら?」
フィー、正直私もそう思ってるわ。
爆炎が晴れるとそこには大量の魔石と一匹の深紅のゆらめくスライムが残っていた。
「やはり生き残っているわね。見た目的にも炎は効きそうにないわね。」
<スライムフレイマー>
危険度: D −
レベル: 8
・HP : 84/86
・MP : 28/32
・筋力 : 12
・耐久 : 18
・俊敏 : 14
・魔力 : 23
・器用 : 8
・運 : 4
固有スキル: ・分解 LV.2
・再生 LV.3
・火魔法 LV.2
固有能力 : ・火属性吸収
鑑定結果も普通のスライムとは比べ物にならない。
「アイリス、コイツの鑑定をして。ギルベルト防御は任せるわよ。」
「おう、護ってやるぜ。」
「敵はスライムフレイマー、火魔法のレベル2を持ってて、火の攻撃を吸収するわ。ステータスも他のスライムより大幅に高いわ。」
「吸収?それは火で回復するってことかしら?」
「おそらくそうじゃないかな。」
「ならやはり火魔法での攻撃は無理ね。それじゃ作戦通り私は風でアイリスは土魔法で攻撃して。」
「話し合うのは良いがそろそろ攻撃してくれ、防ぐのも辛いぞ。」
「分かったわ。アイリス合わせてね。我が見えざる風の刃よ、渦巻け、切り裂け、『ウィンドスライサー』」
「石の礫よ、穿て...『ストーンバレット』」
ズサッ、ザザザザ
私たちの魔法はフレイマーを切り裂き、その身体に孔を空けた。
「これで倒せたのか?呆気なかったな。」
「そうね、だけど一応警戒はしておきましょう。」
そう言って二人はスライムフレイマーの方に向かって近づいていった。
<スライムフレイマー>
・HP : 7/86
・MP : 11/32
「っ、だめっ、二人とも、まだ倒せていないわ。」
「えっ?」
フィーが私の方に振り向いた。
フレイマーを中心に爆炎が広がり、二人を飲み込む。
「フィー!ギル君!」
爆炎が晴れた砂埃の中で誰かが倒れ込むのが見えた。
「ギルベルト、ギルベルトしっかりして。」
フィーがギル君を必死に呼んでいる。
砂埃が晴れた後には力尽きたスライムフレイマーと座り込んでいるフィー、そしてそれに覆いかぶさるように倒れているギル君の姿が見えた。
「ギル、君?」
私は二人に無意識のうちに近づいていた。
「ギル君?ねぇ、ギル君。ねぇ返事してよ。嫌だよこんなの。こんなの、嫌だよ。嫌、いやぁああぁぁぁぁ。」
私の感情に呼応するかのように魔力が昂り、荒れ狂う。
「アイリス。アイリス!しっかりしなさい。ギルベルトはまだ生きてるわ。けど、アンタが回復してくれないと保たないかもしれないわ。だから、アイリスしっかりしなさい!」
私はその言葉にはっとした。まだ助かる。なら私のやることは一つだろう。
「大いなる大地よ。母なる神よ。輪廻へと導く理よ。私の祈りを聞き届け暖かな光を持ってその死の抱擁から解き放て。『リバースライフ』」
温かな光がギルベルトの身体を包み込むとその時間が巻き戻るかのように彼の傷が塞がっていく。
<ギルベルト> (昏睡)
・HP : 78/92
良かった。間に合った。
「フィー、間に合った、よ。」
「ギルベルトは助かったの?」
「うん。もう、大丈夫よ。」
「そう。よかった。よかっだよギルベルトが死んじゃったらどうしようって私。」
フィーは安心したのか泣き出した。
「フィーもう大丈夫だから。」
「うん。」
「私も、少し疲れたかな。」
私は緊張が解けたのとマナの過度な使用による疲労から崩れ落ちるように座り込んでしまった。
「アイリス?どうしたの大丈夫!」
振り向いたフィーは既にいつも通りに戻っていた。
「大丈夫よ。少し疲れただけだから。少しだけ休ませてね。」
「ごめんけどそうも言ってられないかも。スライム達ががこっちに向かって集まってきてるわ。」
「そう…フィー、ギル君連れて先行っててくれない。私もう少し動けそうにないから。」
「いやよ。ちゃんと皆んなで帰るのよ。ギルベルト少し剣借りるわよ。」
「駄目よ。二人で先に逃げて。ちゃんと追いつくから。意識ないギル君連れてギリギリじゃ逃げれないじゃない。」
「そうね。けどアイリス逃げる気ないじゃない。むしろ戦って時間稼ごうとしてるじゃない。」
「そんな事ないわ。ちゃんと動けるようになったら逃げるわよ。」
「嘘ね。アンタは覚悟を決めたらいつもそんな表情をするもの。それにねアイリス、大切な家族を見捨てられるわけないじゃない。」
家族、家族か。そうだ二人は私にとっても大切な家族だ。だからこそ私は二人がちゃんと逃げれるようにしようと思ったんだ。実際動けないのも事実だし。
「はぁ、仕方ないわね。カッコよく決めようと思ってたのに。そうね、フィー、皆んなで帰りましょうか。私たちの家に。」
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