11話 孤児院の日常
「どう、フィー。魔法の練習になった?」
私は帰り道でフィーにそう話しかける。
「なったわよ。やっぱりただ魔法を撃ち続けるより動く敵を狙う方が鍛錬になるわ。」
「ならよかったわ。それでね、また近いうちにスライム狩りに行かない?」
「いいわよ。なんなら明日でもいいわよ。」
「明日は無理じゃない?今日ほとんど孤児院のことしてないよ。」
「それもそうね。なら三日後くらいにしましょうか。」
「ギル君もそれで大丈夫?」
「あぁ、問題ないぞ。ついでにその日までにパーティ名を各々考えとこうぜ。」
え、パーティ名考えとくの?完全に流せたと思ってたのに。
「そうね。三日もあれば良い案も浮かびそうね。」
どうやら私以外は既にやる気らしい。
「わかったわよ。やってやろうじゃない!」
私は投げやり気味にそう言った。
「お、おぅ。期待してるぞ。」
私たちが孤児院に帰って夕食の準備をしているとエミィがリーンを連れてやって来た。
「私たちも手伝うのです。」
「ありがとう。じゃあこのお芋洗って。」
「わかったのです。」
エミィとリーンは夕食の準備を最後まで手伝ってくれた。
「ありがとう二人とも。そういえばなんで突然手伝ってくれたの?」
「だってもうすぐフィー領都に行くのですよね?」
「アイリスだけだと大変だと思って〜私たちももう少し家事手伝おうと思って〜。」
私はその言葉を聞いて思わず二人を抱きしめてしまった。
「わわ、どうしたのです。」
「アイリス大丈夫〜?」
「大丈夫よ。ちょっと嬉しくてね。うん、ありがとね二人とも。今度料理とか教えてあげるよ。」
「絶対なのですよ。」
「私は味見係でもいいよ〜」
「それはダメなのです。」
「そう言ったってエミィもよくつまみ食いしてるじゃない。」
「それは、あれなのです。美味しそうなのがいけないのです。」
「なら私も不可抗力〜?」
「しまったのです。」
「ふふ、二人ともお皿運んでね。」
「「は〜い」なのです。」
私はスープをよそぎながら二人を見守る。
(あ、エミィがこけた。)
「はぅ〜。ありがとなのです。」
「大丈夫〜」
エミィが転ぶ瞬間リーンがエミィの持っていた分のお皿をキャッチしていた。
「大丈夫?」
「大丈夫なのです。リーのおかげなのですよ。」
「そう。気をつけてね。それじゃあ残りもお願いね。」
「次は気をつけるのです。」
その後、エミィ達は手伝いをちゃんとやり遂げてくれた。
夕食を食べ終わった後私はエミィとリーンになんとなくパーティ名について聞いてみた。
「パーティ名ってなんなのです?」
「えっとパーティ名っていうのは一緒に冒険者として働く仲間たちの名前のことよ。」
「なるほど。悩むのです。」
「リーンはどう思う?」
「木漏れ日とか陽だまりとかどう〜」
「温かなパーティそうで良いわね。」
「むむむ、笑顔なんてどうです!」
「笑顔、それも良いわね。常に笑顔でいられるようにっていうふうに取れるわね。」
二人の意見はとても温かいものだった。
「なるほどね。確かにそういう温かさを名前に組み込むのは良いのかもしれないわね。」
「そうなのです!みんな仲が良しなのがいいのです。」
「あったかいのは気持ちいよ〜」
「そうね。ありがとう二人とも。」
確かに温かいのも仲の良いのも大切なことだろう。そういう気持ちを名前に込めるのもいいのではないかと思った。
私は、二人にアドバイスをもらった後時間も時間だったため、寝室へと向かった。
「あれフィーナにしてるの?」
私の寝室の前でフィーが立っていた。
「あ、アイリス。いや、少し話したいと思ってね。」
そう言ってこっちを見たフィーは少しだけ寂しそうな目をしているように見えた。
「そう。じゃあダイニングまで戻ろうか。」
私がダイニングに行こうとするとフィーが、
「ごめんけど、ダイニングとか寝室じゃなくて書庫でもいい?」
フィーがそう問いかけてくる。
「いいけど...でもどうして?」
「ちょっとね。アイリスと話したいことがあったんだけど、あまり他のみんなには聞かれたくなかったから。」
「そう、分かったわ。」
私はそう言ってフィーとともに書庫へと向かった。
書庫に着くとそこには月明かりが差し込みぼんやりと薄明るかった。
「それでフィー、話って何?」
「それは、」
フィーはなぜかとても話しにくそうにしていた。
「そうね。例えばさアイリスは私がいなくなったら寂しい?」
「そりゃもちろん寂しいに決まってるわよ。」
「そう。でも実際さ、私が領都の学舎に行っちゃったらもうほとんど会うことはできないのよね。」
「まぁ、そうね。フィーは学舎を卒業したらそのまま領都で文官として働くのよね。」
「そうよ。だからほとんどみんなとは会うことができなくなるの。それでねやっぱり私も姉妹同然のあなたたちと会えなくなるのは寂しいの。」
「フィー...でもそれは貴女の夢のために必要なんでしょ?」
「そうね。そうだったわね。うん、アイリスありがとね。それじゃ戻りましょうか。」
そう言って戻っていったフィーの後ろ姿はとても儚く見えた。
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