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暮らしって

作者: タマネギ

犬の鳴き声が

聞こえてくるけれど、

何故鳴いているのかは

わからなかった。


古い石段の上の

小山にある社で、

犬は飼われていて、

その犬だとわかった。


理由のわからない

鳴き声を聞きながら、

誰かがお参りして

いると思ってみた。


犬の声聞こえる?

電話の向こうの人は、

うん、聞こえるよ。

よく鳴いてるねと言った。


いつもの朝の、

声だけの抱擁というか、

お互いの周りの音を

聞いてもらっていた。


今なら蝉の音があって、

油蝉、蜩、お盆が過ぎたら

つくつく法師らの

鳴きっぷりを伝えた。


それ以上に大きな音が、

犬の鳴き声だった。

思ってもみなかった。

人との出逢いのような。


思ってもみない鳴き声、

理由のわからない叫び、

もしも側にいたなら、

後ずさってしまいそうな。


知らないから過ごせる。

知らないから生きられる。

勇気の無い性分を

思い出し、少し憂いた。


適度に離れているから、

めったに会えないから、

良いのだと思うのも、

その程度の愛しさかしらと。


電話の向こうの人に

今日は雨、降りそうって

お天気の話になっても、

いや、愛しさは深い。


それぞれの暮らしの道を

歩いてゆくのなら、

それだって、大切。

伝えたい音なら聞けるはず。


バス通りに出ると、

思ってもみない音は、

遠ざかっていた。

犬の鳴き声、消えたよ。


走る車の音がほとんどの、

日常のざわめきは、

記憶の扉にさえ届かず、

暮らしの道に溢れている。


暮らしってなんだろう。

選んできたはずだから、

この道の途中の声に、

後ずさらないことですか。

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