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嗚呼、私のウィザードさま。02-3

自宅 前


レイとマリアが現れる レイが言う

「はい、到着ー!」

マリアが言う

「わざわざ 有難う御座いました」

レイが言う

「礼には及ばないよ マリア!俺は ”マリアのウィザード様” なんだから いつでも力を貸してやるぞ!」

マリアが苦笑して思う

(”マリアのウィザード様”か… ウィザード様も 相変わらず…)

マリアが微笑する レイが少し考えてから言う

「う~ん けど そうだなぁ?やっぱ 少し足りないよなぁ?」

マリアが疑問して言う

「え?足りないって… 何がですか?ウィザード様」

レイが言う

「俺が マリアと一緒に居られる 時間だよ」

マリアが衝撃を受けて思う

(え?それって…っ)

レイが言う

「今まではさぁ?時間は少なくても マリアとここで仲良くしていられたから 良かったけど… マリアやっぱり ここも外だって言うから…」

マリアが苦笑して思う

(…つまり いつもの マリアーがしたいって事ね?)

マリアが言う

「分かりました それでは とりあえず… 玄関を開けますんで… えっと… こんな時間なので お茶は無いですが …ここじゃ寒いですし お話なら中で」

マリアが思う

(今日はもう時間的に 夕食は食べた後だろうから …後は ウィザード様が眠くなるまで …って事かな?あぁ… 出来れば 本当に 私も 早めに寝たかったんだけど…)

レイが言う

「いや、もうそろそろ マリアのお母さんが 帰って来るから 俺は中には入れないな そうなると… 時間も無いし もう寝る時間だから 俺 やっぱ 帰るよ」

マリアが言う

「あ… そうですか …そうですね 確かに そろそろ9時になるんで」

マリアが思う

(お母さんが 帰って来る時間かな…?)

レイが言う

「なぁ マリア?次の休みは何時だ?あさってか?」

マリアが一瞬疑問した後言う

「…あ、はい その予定です もしかしたら 新しい仕事の影響で 変更があるかもしれませんが」

マリアが思う

(でも、今度は 課長から何も言われて居ないから あさっての休みはそのままで 大丈夫だと思うけど…?)

レイが言う

「そうか それじゃ あさっての午後は 俺とずっと一緒に居られるか?それくらい一緒に居ないと やっぱ 駄目だからな?」

マリアが衝撃を受けて思う

(だ…っ 駄目…って?)

マリアが言う

「あの… ウィザード様 その… 駄目って 何が…」

レイがハッとして言う

「あっ もうすぐそこだっ!それじゃ マリア!お仕事お疲れ様!お休み!また明日な!」

レイが風に消える マリアが一瞬驚いてから言う

「え?あ…っ お… お休みなさい… って」

マリアが思う

(何を そんなに急いで…?)

マリアが言う

「食堂の時間じゃないでしょうに…?」

マリが疑問しつつ玄関へ向かうと 家の門の前にハイヤーが止まる マリアが振り返って言う

「あれ?お母さん?」

ハイヤーからソニアが降りて来て言う

「あら マリア お帰りなさい 同じ時間だったわね?お仕事 忙しかったの?」

ソニアがマリアのもとへ来る マリアが言う

「あ、ううん 今日は 会社の新入社員たちと… まぁ 歓迎会みたいな感じかな?ちょっと外で 食事をしてきたの」

マリアとソニアが家の中へ入る ソニアが言う

「そう 新入社員?それじゃ お仕事なんか教えてるの?マリアが?」

マリアが言う

「そうだよ 私しか 教えられる社員が居ないから リナもマキも 退職しちゃって」

ソニアが言う

「え?そうだったの?それは 残念ね…?大学の時から仲の良かった子達でしょう?」

マリアが言う

「うん… でも 付き合いは続けていくつもりだし あ、それに マキは 奉者になったんだよ!凄いでしょ?それに リナは寿退職だし!」

ソニアが言う

「あらあら いつの間にか 色々変わって行くものね?マリアもいつの間にか奉者になって マキさんも?リナさんは ご結婚したの?」

マリアが言う

「うん、あ~ でも リナは まだ 正式じゃなくて 結婚予定って感じかな?」

ソニアが言う

「そう… なら マリアも その予定かしら?うふふっ」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?わ、私はっ そんなっ!だ、大体っ 相手だって居ないしっ!」

ソニアが言う

「あら?そうなの?てっきり 風の魔法使いさんと…」

マリアが言う

「違いますからっ」

ソニアが笑って言う

「うっふふっ マリアは分かりやすいわね?」

マリアが言う

「だ、だからっ!違うって言ってるのにっ どうしてっ!?」

ソニアが言う

「毎日会って 休日も一緒に居るんだから 誰が見たって そう思うでしょう?」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?毎日って… なんで お母さん 知っているのっ!?」

マリアが思う

(朝は お母さんが出て行った後だし… 帰りは いつも お母さんが 帰って来るより前なのに…)

ソニアが言う

「あら だって…」

マリアが言う

「だって?」

ソニアが言う

「貴方 電車の定期券を 戸棚に置き忘れて そのままだから」

マリアが衝撃を受けて言う

「あっ!」

ソニアが笑って言う

「期限はとっくに過ぎちゃっているけど あの定期券入れは お父さんの形見なのだから 取り替えるにしたって マリアなら ちゃんと保管をするでしょう?それを 忘れたままにしているって事は 定期券を置き忘れた事さえ 忘れてる… 定期券を使わずに 通勤しているのかな~?なんてね?」

マリアが思う

(相変わらず 鋭いわ… お母さん…)

ソニアが言う

「それに 風の魔法使いさんなら 風の移動魔法も お得意なんじゃない?」

マリアが衝撃を受け思う

(う…っ お母さん 凄い…っ)

マリアが苦笑して言う

「もう… お母さんは 何でも お見通しだね?敵いません!」

ソニアが軽く笑って言う

「だから お母さんが お見通し何かじゃなくて 貴方がそれだけ 分かりやすいって事よ?」

マリアが言う

「え… そ、そうなのかな?」

ソニアが言う

「ええ そんな所 お父さんに そっくりね?」

マリアが一瞬驚いてソニアを見る ソニアが微笑する マリアが苦笑して言う

「お父さんも 分かりやすい人… だったんだ?」

マリアが思う

(お母さんから お父さんの 話を聞くのって 何だか久し振り… それに…)

マリアがソニアを見る ソニアが微笑して言う

「ええ、嘘が下手で すぐに 表に出ちゃうの それで 一生懸命誤魔化すんだけど どんどん墓穴を掘ってしまって… うふふっ  可笑しかったわ」

ソニアが軽く笑う マリアが思う

(お母さん… 何だか嬉しそう もう 思い出しても 辛くないんだ?…乗り越えたって事なのかな?)

マリアが微笑して言う

「あ… なんか 自分の事 言われてるみたい… 自分でも分かるもん」

ソニアが言う

「素直な証拠よ 無理に誤魔化したりなんかしないで 自信を持ちなさい?貴方なら きっと大丈夫 助けてくれる人も おのずと集まるわ お父さんと同じ様に…」

マリアが一瞬驚いた後微笑して言う

「…うん」

ソニアが言う

「ただ…」

マリアが疑問する ソニアが悲しい微笑をして言う

「どんな事でも 頼まれると 嫌と言えないから… 何でも引き受けちゃって… 元から持ち合わせている 正義感も強いから 無理をしちゃう事も多いでしょう?そんな時は 周りの人を頼りなさい …きっと力になってくれるわ 一人で無理をする事は 無い様にね?」

マリアが呆気に取られた後言う

「うん… お父さんも 同じだったの?」

ソニアが言う

「ええ…」

マリアが間を置いて 気持ちを切り替えて言う

「…あ、大丈夫だよ お母さんっ 私には マキやリナ エリナも居る それに… ウィザード様も居るからっ 一人で無理する事なんて 絶対に無いよ!」

ソニアが微笑して言う

「そう… それなら良かった …そうね マリアには”マリアのウィザード様”が 付いてるものね?何も心配は無いわ」

マリアが苦笑して言う

「うん… あ… お、お友達っ …だけどね?」

ソニアが軽く笑う マリアが困り苦笑する


翌朝


マリアが家を出て微笑して思う

(よしっ 今日も早く起きられた!また早めに行って プロジェクト企画会議に出る前に 昨日リストアップした企業の資料を用意しておこう …自信を持って 発表出来るかは 分からないけど…)

マリアがバックから定期券入れを取り出し そこに入れられている写真を見て 微笑して言う

「私も 頑張ってみようっ …うん!」

マリアが歩き出すと レイが言う

「マリアー!」

マリアが微笑して振り向く レイが到着して言う

「お早う!マリア!今日も早いな!新しい仕事の為に マリア 頑張ってるんだな!」

マリアが言う

「はいっ 今日は特に もっと積極的に 仕事に挑もうと思って!」

マリアが定期券入れを見る レイが疑問して見て言う

「ん?それは 何だ?」

マリアが微笑して言う

「はい、定期券入れです」

レイが言う

「テイキケンイレ?」

マリアが苦笑して言う

「電車に乗る為の チケットを入れておくケースなんですけど」

レイが言う

「ああ、そうなのか?」

マリアが言う

「でも今は 写真入れ… と言うか 言ってしまうと 亡くなった父の形見なんです」

レイが言う

「そうか マリアの父さんは 死んじゃったって 言ってたもんな?形見って言うと そいつが持ってた物か それを大切にしてやるなんて マリアはやっぱり 優しいんだな!」

マリアが苦笑して言う

「優しいと言うか… 思い出の品ですから …でも 正直言うと あまり父の事は覚えて居ないんです 私が5歳の頃でしたから 顔も覚えているのか 写真で見知っているだけなのか よく分からない感じで」

レイが定期券入れを覗き込んで言う

「それが写真か?」

マリアがレイに見せて言う

「はい」

レイが言う

「お?真ん中の これが マリアだな?こっちに居るのが マリアのお母さんだ じゃぁ こいつが…」

マリアが苦笑して言う

「はい、この人が お父さんです」

レイが疑問した後ハッとする マリアが疑問して言う

「ん?ウィザード様?」

レイが思い出して言う

「あっ!マリアっ!」

マリアが驚いて言う

「は、はいっ!?」

レイが言う

「マリア 今 こうやって ゆっくり話なんかしてたら 駄目なんじゃないか?」

マリアが衝撃を受けて言う

「ああっ!そっ そうでしたっ!」


会社


マリアが出勤して来て言う

「お早う御座います!」

課長が言う

「ああ、お早う 今日も張り切っているな?マリア君」

マリアが苦笑して言う

「はい まだ2日目ですけど」

課長が軽く笑って言う

「まぁ その調子で 頑張ってくれたまえ」

マリアが言う

「はい」

課長が言う

「と、それから また 変更資料が送られてきた それも 同じく ミッシェルリンク社の数値変更だな」

マリアが言う

「え?またですか?」

マリアが課長から資料を受け取る 課長が言う

「うむ… まぁ 新会社と言うものは 最初の頃は多少落ち着かないものなんだが…」

マリアが資料を見て言う

「この数値変更の割合だと 先日のダム事業からの撤廃に近い数字ですね?また 事故でもあったんでしょうか?」

課長が言う

「そんな感じだな?とは言え 今回は そのダムの様な ニュース沙汰にはなっていないから 何らかの事故があったにしても 復旧は可能だろう …従って その数値は一応の現状と言う事で 以前の数値を基準にしておいて 良いだろう」

マリアが言う

「はい 分かりました」


プロジェクト企画会議


社員が言う

「と、言う事で 今回のプロジェクトには やはり ミッシェルリンク社への介入を主たるものとし 可能な限りの…」

マリアが思う

(ああ… やっぱり ミッシェルリンク社か… 確かに)

マリアが資料を見て思う

(水力発電や風力発電なんかの 発電企業かと思っていたら 製造業もやってたんだ… それに 元々はそちらが主体の会社で その為の電力確保の為に 発電産業を始めて それが 公共事業との共同運営を始める切欠になって… それが 上手く行った お陰で この数年間で こんなに大きな会社に…)

社員が言う

「確かに 急成長を遂げる会社と言うのは 相応のリスクを持ち合わせてはいますが 今 このミッシェルリンク社と手を組んでおかなければ 他の企業に先を越されるでしょう 従って 早期の介入を決行し いち早く我が社との提携を結び 今後の…」

マリアが息を吐いて思う

(そうよね… 誰が見ても そう思う きっと うちだけじゃなくて 他の企業も提携を狙っているはずだから 先を越されない内に 早めに手を打たないと…)

マリアが別の資料を見ながら思う

(ああ… 折角 今まで私が商談して 感じの良かった会社の資料を 作ってきたけど… 何処の社も ミッシェルリンク社には遠く及ばない… 今期のプロジェクトは ミッシェルリンク社で決まりだろうなぁ…)

マリアが息を吐いて言う

「ふぅ… 何だか残念…」

社員が言う

「うん?何か?」

マリアが衝撃を受けて言う

「はっ!?い、いえっ!何もっ!」

司会役が言う

「では、これで 昼休憩として 一時解散 次の会議は午後3時から 同じく この場所で」

社員たちが席を立つ マリアがホッとして思う

(危ない危ない… つい 口に出ちゃうのよね… 気を付けなきゃ)

マリアが立ち上がって思う

(さて、気を取り直して お昼だから …マキに会いに行こう!)

マリアが立ち去る


中央公園


マキが言う

「あ~ 私も 知ってるよ~ ミッシェルリンク社」

マリアが言う

「え?そうなんだ?どうして?あ… もしかして マキが会社に居た時に…?」

マキが言う

「そうそう って 言っても 私が直接商談したー とかじゃなくて お爺ちゃんにね?土地を譲って欲しいって うちに来てたの」

マリアが驚いて言う

「え?…って 事は?」

マキが言う

「あ、でもね?うちのお爺ちゃん 家とか会社とか建てる分には構わないけど 工場とか そう言うのを立てるのは 絶対嫌だって 断固 断ったんだ~」

マリアが言う

「へぇ~ そうだったんだ?」

マキが言う

「でも なんか 凄い怖くって 私 お爺ちゃんが心配だったよ~ ホント 何も無くて良かったぁ…」

マリアが疑問して言う

「怖いって 何が?」

マキが言う

「強引って言うのかな?それ以上?なんか 最初のうちは どうしてもお願いしますー みたいな感じだったんだけどさ?その内 怖い人とか家に来て… 凄い強要されてて 私、怖かった…」

マリアが驚きに言葉を失いつつ言う

「え… そんな 強引な会社なんだ?」

マキが言う

「そうみたいだよ?まぁ… 急成長している会社だから 裏とかあるのかもね…?マリアも プロジェクトで関係するようになるなら 本当に気を付けてね?」

マリアが言う

「う、うん… 分かった 心配してくれて 有難う マキ」


会社


マリアが調べ物をしながら思い出す


マキが言う

『そうみたいだよ?まぁ… 急成長している会社だから 裏とかあるのかもね…?マリアも プロジェクトで関係するようになるなら 本当に気を付けてね?』


マリアが思う

(今まで仕事で色んな会社を見てきて 確かに困った会社はあったけど …社長がやらしいとか …そう言うのはあったけど マキが言う様な会社は無かった… ”裏とかある” …裏って どんな感じなんだろう?裏って評されるくらいだから こんな表立った調べ方じゃ 分からないかなぁ?)

マリアがモニターを見て言う

「う~ん… 難しいなぁ?」

マリアが時計を見てから 操作をして思う

(とりあえず ミッシェルリンク社で見つかる範囲の資料を揃えて置こう きっと午後の会議も ミッシェルリンク社の話になる筈だから…)


プロジェクト企画会議


社員1が言う

「と、ミッシェルリンク社には 予てより そう言った話は多く見られますが 元より 工場類の立地には 地元住民の反対と言うものは付き物でして…」

マリアが思う

(う~ん やっぱり 調べる事は皆同じかぁ… そうよね 一企業の推薦が有れば その企業に関する 良い部分と悪い部分を 洗い出すと言うのは 当然の事よね?)

マリアが資料を見て思う

(でも この発電施設や工場なんかの土地購入は やっぱり マキのお爺ちゃんの時と同じ様に 強引な方法で買い取ったのかなぁ?だとしたら ちょっと嫌だなぁ そんな会社とうちの会社が提携を結ぶなんて…)

社員2が言う

「しかし、ミッシェルリンク社は その土地の購入には 表沙汰に出来ない手法を取っていると言う噂もありますが そちらの方の確認は取られているのでしょうか?もし我が社と提携を結ぶとなれば それらの事も 我が社に対する評価ともなります」

マリアが思う

(そう、私もそれが気になって… それで 調べてみたんだけど… …見つからなくて)

社員1が言う

「噂は噂でしょう?急成長を遂げる会社には 同企業などより そう言った 嘘偽りの噂を付けられると言う事は 良くある話です」

マリアが衝撃を受けて思う

(え?嘘?偽り?…違う!…だって マキが言っていたもの マキのお爺ちゃんが 強要されたって…っ マキは怖かったって言ってた…っ 嘘偽りの噂なんかじゃないわっ)

社員1が続けて言う

「では、実際 その様な 噂の確認は取られていますか?私の方でも その辺りは調べましたが その様な事実は 確認されていません」

マリアが言う

「い、いえ…っ 有ります!有りますよっ!」

社員たちがマリアを見る マリアがハッとして思う

(あっ!お、思わず…っ)

社員1が言う

「確認が取られていると?その資料はありますか?」

マリアが困って思う

(ど、どうしようっ!?そんな…っ 資料なんて無い 私は話を聞いただけで…っ)

マリアが慌てて言う

「そ、その… すみませんっ 資料は無いんですけど わ、私の友人がっ その友人のお爺さんが… 土地を持っていて ミッシェルリンク社の方が その土地を欲しがって…っ それで 強要をされたとっ 凄い強要で… 友人は その時の事を 怖かったと…っ」

社員1が言う

「では 具体的に 何処の土地で?結果として その土地は どうなったのですか?」

マリアが言う

「あ…っ す、すみません… 何処の土地と言うのは 聞いていないのですが 恐らく この町の イーストサイドだと思います それで、えっと… 土地は 結果としては 譲らなかったと」

社員1が沈黙する マリアが困りつつ周囲を見る 司会役が言う

「では 資料は無いとは言え そちらの事は 実際にあったと思われる事例として 記録して置きましょう ミッシェルリンク社程の企業ともなれば 自社に不利益な情報を表に出さないよう 手を打つ事も ある程度出来る筈です 今 我々の手に出来る数少ない不の情報としては 大切な情報です …では 他に何かある方は?」

マリアがホッとして身を静めて思う

(はぁ… 良かった… 何か怒られちゃうかと思って 緊張しちゃった …でも 一応 発言出来て良かった 大切な情報だって言ってもらえたし… でも)

マリアが資料を見て思う

(マキに もっと詳しく教えてもらうべきかな?だとしたら ちゃんとお願いして …出来れば マキのお爺さんに 直接聞けたら… あっ)

マリアが気付いて思う

(そっか… 他の場所でも 同じ事が無かったかどうか 直接行って聞いちゃったら 早いかも?詳しくじゃ無くとも 強要があったかどうかなんて 一言聞けば分かる事だし)

司会役が言う

「では、今日の会議はここまでで 次の会議は 明後日 時間は同じく…」

マリアが思う

(よし!それじゃ 早速 立地場所の資料を 探してみよう!)

マリアが微笑して立ち上がる


会社


マリアが衝撃を受け脱力して思う

(だっ 駄目… 何処も 遠過ぎる…)

マリアが資料を見ながら思う

(そうよね… 大掛かりな工場や発電施設なんて そんなの この町の近くになんか 立てられない… そもそも 近くにあったなら 確認に行ってる社員が とっくに居た筈…)

マリアが言う

「甘かったわ… はぁ…」

マリアが気付いて思う

(…あ、でも いくら遠いと言っても ウィザード様の移動魔法なら?)

マリアが考えながら思う

(う~ん …でも いくらなんでも 会社への送り迎えだけじゃなくて 仕事の為にだなんて… 頼めないかなぁ… 大体 ウィザード様は…)

新人1が言う

「あの… マリア先輩…?」

マリアが気付いて振り返って言う

「あ うん?何?どうかした?」

新人1が言う

「その… まだ お仕事中ですか?」

マリアが疑問して時計を確認して思う

(あ、もう こんな時間だったんだ… 帰らなきゃ…)

マリアが言う

「あ、ううん もう退社時間だね 考え事してて気が付かなかった」

新人1が言う

「実は マリア先輩に お願いがあるんですが…」

マリアが疑問して言う

「え?私に?」

マリアが思う

(お願いってなんだろう?仕事に関する事なら…?)

新人1が言う

「でも… 仕事に関する事じゃないんですけど… 良いでしょうか?」

マリアが思う

(仕事に関する事じゃないんだ?それで 私に…?)

マリアが言う

「あ、うん 別に… 私に分かる事なら 構わないけど?」

新人1が言う

「有難う御座います あの 先日 皆でお食事行った時 2次会のお店を マリア先輩が紹介してくれたじゃないですか?あのお店 あの後皆で行ったら とっても美味しくて!」

マリアが微笑して言う

「あ、そうだったんだ?良かった!あのお店は 自信持って お勧め出来るお店だったから 昔良く行ってたし」

新人1が言う

「はいっ それで マリア先輩 もしかして この辺りのお店とか 詳しいのかな~?って思って!」

マリアが思う

(ああ、何だ そんな事ね… それなら)

マリアが言う

「そうだね 少しは分かるかな?大学もこの町だったし 幼馴染の友達とも 色んなお店に行ってて それに 食べ物関係のお店に詳しい友人と ファッション関係に詳しい友人が居たものだから 特に!」

マリアが微笑して思う

(マキとリナがね?)

新人1が言う

「わぁ~ そうなんですか!通りで!凄いっ 羨ましいですぅ!」

マリアが言う

「お店の紹介くらいなら出来るよ?何かお店を 探しているの?」

新人1が言う

「はい!実は ファッション関係のお店を!」

マリアが言う

「そうなんだ それならね!今一番新しいのは イーストエンドストリートの延長線にある マキリンストリートのお店が一番新しいよ?通りが新しいから!ついでに 美味しいイタリアンのお店もあるし!」

マリアが思う

(あぁ… こういう会話 何だか懐かしいな…)

新人1が言う

「わぁ!そうなんですか!じゃぁ そこにしようかなぁ!?」

マリアが言う

「うん、お勧めだよ 後 以前行ってた所としては~」

新人1が言う

「あ、あのっ マリア先輩っ!?」

マリアが言う

「うん?何?」

新人1が言う

「不躾ですけど… もしかして 明日のお休みは ちょっと時間あったりしませんか?」

マリアが言う

「え?明日…?」

マリアが考えてはっと思い出す


レイが言う

『そうか それじゃ あさっての午後は 俺とずっと一緒に居られるか?それくらい一緒に居ないと やっぱり 駄目だからな?』

マリアが衝撃を受けて思う

《だ…っ 駄目…って?》

マリアが言う

『あの… ウィザード様 その… 駄目って 何が…』


マリアが思う

(そ… そう言えば 昨日の夜 ウィザード様から あさっての午後はって… 一緒に居ないと駄目って …結局 何が駄目なのかは 分からず仕舞いだったけど…)

新人1が言う

「その… マリア先輩に …手伝って頂きたくて」

マリアが疑問して言う

「え?手伝うって お店を教えるって事じゃなくて?」

新人1が言う

「それもあるんですけど 出来たら 一緒に選んでもらいたいんです」

マリアが言う

「選ぶって…?」

マリアが思う

(…お洋服かな?)

新人1が言う

「探すのが 自分の服とかなら お店だけでも十分なんですけど… 明日選ぶのは その… 好きな人へのプレゼントなんです …キャァ~ 言っちゃったっ」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?好きな人への… プレゼント… そ、それって…?」

マリアが思う

(まさかっ ”あの魔法使いさん”だったり して…?)

新人1が言う

「実は 先日 初めての商談で 私、すっごく 緊張していて…っ 商談は全然駄目だったんですけど その… その時の 相手方の社員さんが とっても素敵な人で…っ!」

マリアが呆気にとられて言う

「え?…あ、そ、そうなんだ?」

マリアが思う

(ああ… 良かった… いつも 仕事以外の話となると ”あの魔法使いさん”についての 質問ばかりだから てっきり… でも 違うなら… って?)

マリアがハッとして思う

(べ、別にっ 良かったも何も…っ!私は…っ …私は…)

マリアが考える 新人1が言う

「男の人へのプレゼントって 私 買ったこと無くて… どんなのが良いのか 分からなくて それで…」

マリアがハッとして慌てて言う

「え!?そ、それで 私っ!?ご、ごめんっ 私 無理だわ その… 私もっ 買った事 無いから…っ」

新人1が言う

「でも、1人で選ぶより ずっと良いと思うんですっ ですから お願いしますっ マリア先輩っ!」

マリアが言う

「え… えぇ~とっ」

マリアが思う

(ど、どうしようっ!?)

新人1がマリアを見つめる マリアが困って思う

(う… こんな時 リナが居てくれたら… あ… リナ 調子悪いんだよね …大丈夫かなぁ?心配だなぁ …あ、そっ それじゃぁ!?)

マリアが言う

「あ、そ それじゃ… そう言う事に詳しい 友人に聞いてみようか?でも… その… 今ちょっと調子が悪いみたいだから あの…」

マリアが思う

(こう言った事を理由に リナの調子を 聞いてみようかな?)

新人1が言う

「わぁあっ!有難う御座います!でも 本当に!マリア先輩が来てくれるだけでも 十分なんで!是非 お願いします!」

マリアが言う

「え~と~… それじゃ 明日 えっと 少しで良いんだよね?午後はちょっと…」

マリアが思う

(でも… リナに連絡取れなかったら 午前中は難しいな…)

マリアが言う

「あ~ その~… 午後の早い時間とか?」

マリアが思う

(う~ん 仕方が無いよね?それに ウィザード様には ちゃんと返事はしていないし… その… いつものお礼とは言え… 午後の時間ずっと 抱き付かれて お茶してるって言うのも ちょっと辛いし… それなら これくらいで 丁度良いかも?)

新人1が言う

「はいっ!有難う御座います!それじゃ 明日の午後1時に!会社の前で待ち合わせで 良いですかぁ!?」

マリアが言う

「うん、分かった それじゃ それで…」

マリアが苦笑して思う

(…これで 良いよね?)


会社 外


新人1が言う

「それじゃ また明日!お疲れ様でした!マリア先輩!」

マリアが言う

「うん お疲れ様 また明日」

新人1が走ってバスへ向かう マリアが息を吐いて言う

「ふぅ…」

レイが言う

「マリアー!」

マリアが苦笑する レイがマリアの横に降り立って言う

「マリア お疲れ様!迎えに来たぞ!」

マリアが言う

「はい お疲れ様です お迎え 有難う御座います」

レイが言う

「礼なんて要らないよ!マリア!俺が やりたくて やっているだけなんだからさ!」

マリアが思う

(やりたくて やっているだけ… かぁ でも 本当は…)

レイが言う

「それで マリア 今日はこの後 何かあるのか?それとも 早速家に帰るか?」

マリアが言う

「あ、はい それでは 早速 家へお願いします」

レイが言う

「よし!それじゃ!」


自宅前


レイが言う

「はい 到着ー!」

マリアが思い出して言う

「あ、そうでした ウィザード様 実は 明日なんですが…」

レイが言う

「ああ!明日はマリア休みだろ?それとも 仕事になったのか?」

マリアが言う

「あ、いえ… 仕事ではないんですが…」

レイが言う

「そうか!それなら 午後は一日一緒に居られるよな?灯魔儀式もないし やっと ゆっくりお茶が飲めるな!それとも どっか行くか?マリアが行きたい所なら 何処でも連れてってやるぞ!」

マリアが思う

(あ… それなら ミッシェルリンク社の!…じゃなくて!)

マリアが言う

「そうではなくてっ その… 明日の 午後一日は ちょっと 難しくなってしまいまして…」

レイが言う

「うん?そうなのか?」

マリアが苦笑して言う

「はい 会社の後輩に ちょっと頼まれ事をされて… それに 付き合う事になってしまって…」

レイが言う

「う~ん そうなのかぁ それじゃ ちょっと短くなっちゃうか …でも しょうがないな?マリアは優しいから 後輩の面倒も 見てやってるんだったな!それなら… 俺も 何か考えるよ!」

マリアが衝撃を受けて思う

(え?か… 考えるって… ウィザード様が 前回考えた事って言ったら)

レイが言う

「うん!それじゃ やっぱ俺も これからは この家で!」

マリアが言う

「ですから!それは駄目ですからっ!」

レイが言う

「え?そうなのか?マリアと一緒に寝られれば それで足りると思うんだけど?」

マリアが衝撃を受けて言う

「なっ!?そ、そんなの もっと 駄目ですよっ!」

レイが言う

「え?何で?」

マリアが慌てて言う

「何でもっ!」

マリアが思う

(あぁ… でも きっと ウィザード様の事だから 一緒に寝るって言っても 本当に 一緒に寝るだけ なんだろうけど… でも、そうだとしても…)

マリアが言う

「と、とにかくっ それも駄目ですからっ」

レイが言う

「あ、それに 俺… マリアに話があってさ?」

マリアが言う

「え…?」

レイが言う

「その… 俺 軽い話なら 何でも言えるんだけど …こういう話って ちょっと苦手で…」

マリアが衝撃を受けて思う

(えっ!?そ、それって まさか…っ!?で、でも… ウィザード様の事だから きっとまた 神聖な…)

レイが視線を逸らす マリアが衝撃を受けて思う

(し、視線逸らしたっ!?こんな事って あ、あったっけっ!?な、無かったと思うっ だって ウィザード様といえば 自信過剰で いつも 何にでも 怖じける事がなくってっ!?)

レイが困って言う

「あぁ… やっぱ 駄目だ …明日にしよう」

マリアが衝撃を受けて思う

(えっ!?そんなっ!?この家に住みたいとか 一緒に寝たいとか 簡単に言える人がっ 日時を改めるってっ!?)

レイが苦笑して言う

「明日 ゆっくり話すよ その方が 俺 ちゃんと 言えると思うから」

マリアが思う

(それは まさかっ!?)

マリアが呆気に取られたまま言う

「は… はい…」

レイが言う

「それじゃ 俺 帰るな!お仕事お疲れ様!お休み!マリア!」

レイが風に消える マリアが言う

「明日… 私、何を 言われるんだろう…?」

マリアが不安げに玄関へ向かう


翌朝


マリアが玄関を出て 伸びをして言う

「う~ん 良いお天気!ショッピングには持って来いね?」

マリアが微笑して思う

(理由を託けて リナに電話してみて良かった…)

マリアの脳裏に記憶が蘇る


回想


マリアが携帯で電話をしていて言う

『…それじゃ 不調の原因は』

携帯からリナの苦笑した声が聞こえる

『うん… やっぱり ただ信じるって言ってても 辛かったみたい …精神的に参っちゃってて それで 体調不良になってるんだろうって 病院で診断を受けたの それで… 私は彼の事 本当に愛しているけど 彼にとって 私が… そんなに信頼出来ない相手なら… …ここまで来たけど もう、諦めるしかないかなって… 少し気持ちを切り替えてみたら そうしたら 今は その分楽になって… でも…』

マリアが思う

《ああ… 駄目よ…っ そうじゃないのっ 彼は リナの事 本気で…っ でも リナの調子が悪いからって それでなのに…っ!》

マリアが言う

『そ、それならさ!?リナ… 思い切って 言っちゃいなよ!それをっ!』

リナが疑問して言う

『え…?』

マリアが言う

『言葉で言わなきゃ 分からない事だってあるよっ!ちゃんと言って ちゃんと伝えて!…お願いっ!』

リナが呆気に取られて言う

『マリア…』

マリアがハッとして慌てて言う

『あ、あのねっ!その… ”私の両親”がね!?そうだったのっ!お父さんは 何も言わない人で!で、でもっ!お母さんが 思い切って聞いてみたらっ 分かった事があって!…だからっ!そ、そう言う事もっ あるからさっ!?』

リナが言う

『マリアのご両親って… …そう うん 分かった 有難う マリア …私 勇気を出して 言ってみるわ』

マリアがホッとする


回想終了


マリアが苦笑して思う

(あの時は咄嗟に… 嘘って言うか… 思わず あんな風に言っちゃったけど お母さんは兎も角として お父さんは…)

マリアが苦笑して言う

「ちょっと… お借りしちゃいました…」

マリアが思う

(お母さんには言えないな… もちろん ”お母さんのウィザード様”にも… だって 咄嗟とは言え)

マリアが顔を逸らして言う

「”私の両親”って…っ」

レイが言う

「マリアー!」

マリアが驚いて言う

「え?ウィザード様!?」

レイがマリアの横に到着して言う

「こんにちは だなー!マリア!」

マリアが言う

「こ、こんにちは です ウィザード様 …ですが あの 私 これから…」

レイが言う

「分かってるって マリア!マリアはこれから 後輩の手伝いに行くんだろう!?だから 俺は マリアを そこへ送ってやるよ!それで?何処へ連れてったら 良いんだ?」

マリアが呆気に取られた後苦笑して言う

「あ… 有難う御座います えっと… 約束を破ってしまったのに 何だか申し訳ないですが…」

レイが言う

「え?約束?…ああ なんだ そんなの気にするなって マリア!短い時間でも 俺はいつでも マリアに会えるし!マリアは 忙しいし 優しいから 仕事や誰かに 頼りにされて 大変なんだろう?だったら 俺は それを手伝うだけだよ!」

マリアが呆気にとられて言う

「ウィザード様…」

レイが言う

「それで?時間は大丈夫なのか?マリアはいつも 時間に追われているからな?」

マリアが苦笑して言う

「はい 実は今日も 待ち合わせの1時に ギリギリの予定でしたが」

レイが言う

「それなら 俺が今すぐ 連れてってやるから!大丈夫だよ マリア!」

マリアが微笑して言う

「はい そうですね」


会社 前


マリアが立っていると 新人1がバス停から走って来て言う

「マリアセンパーイ」

マリアが顔を向け微笑して言う

「はい こんにちは!」

新人1が言う

「こんにちは!すみません マリア先輩!お願いしておいて 私の方が遅れちゃうなんてっ」

マリアが言う

「ううん 待ち合わせの5分前だもん 謝る事は全然無いよ?」

新人1が言う

「ああ… でも… 何だか悪いです…」

マリアが言う

「ううんっ 本当に それに… 私も 普通に来てたら それこそ 遅刻だったと思うから」

新人1が気付いて言う

「え?あ… それじゃ もしかして?」

マリアが苦笑する 新人1が言う

「あはっ それじゃ それこそ すみませんでした!マリア先輩!折角の ”あの魔法使いの彼氏さん”との デートの予定を!」

マリアが衝撃を受け慌てて言う 

「だ、だからっ!彼氏さん じゃないったらっ!それに デ、デートだなんてっ そんな…」

新人1が苦笑して言う

「冗談ですよ!マリア先輩!」

マリアが苦笑して言う

「もぅ …そんな事言うなら 私 帰っちゃうんだから!?」

新人1が慌てて言う

「あ~ ごめんなさいっ マリア先輩!本当にっ!」

マリアが軽く笑ってから バスを見て言う

「冗談!あ、ほら マキリンストリートに行くバスが来たよ!急ごう?」

新人1が笑って言う

「はい!」

マリアと新人1がバスへ向かう


マキリンストリート


マリアが言う

「それでね?ファッション系に詳しくて… ついでに 男の人にも受けが良かった 友人に聞いてみたんだけど …いくらプレゼントだと言っても やっぱり その人に合うものが良いって その… 彼って どんな感じ?」

新人1が言う

「え~と そうですね お会いしたのは 会社の商談だったんですけど その後 2人で食事に行って~」

マリアが思う

(え?その日の内に…?)

新人1が言う

「すごい アクティブな感じで スポーツマンって訳じゃないんですけど 仕事も恋もバリバリ出来そうな感じで!壁が無くて すぐに打ち解けられる感じなんです!お陰でその日の内に 仲良くなっちゃって!」

マリアが思う

(う、う~ん… なんだか とっても 軟派な感じ… って 思うのは 私だけなのかなぁ?)

新人1が言う

「それで 彼が明日 お休みだって言うので 私も休暇を合わせちゃいました!だから 今日の内に 何か素敵なプレゼントを用意して 明日は 私から思い切って 告白しちゃおうと思ってます!」

マリアが衝撃を受けて思う

(す… すごい…っ 彼も凄いけど この子も… …まぁ 確かに 私も最初から この子には 壁も無く話しかけられたし… もしかして 壁が無いのはこの子の方なんじゃ…?)

新人1が言う

「あのぉ~ マリア先輩?」

マリアがハッとして言う

「あっ ご、ごめんっ えっと… それじゃぁ」

新人1が言う

「やっぱり 今は冬ですし 手ごろな所で マフラーとかが良いかなぁ?って 思ってたんですけど」

マリアが言う

「あ、その… 友人からのアドバイスとしてはね?最初は あんまり 表に見えるものを あげない方が 後に繋がるらしいよ?」

新人1が言う

「え?そうなんですか!?」

マリアが言う

「うん、そうだって …外から見えるものだとね?次に会う時も付けなきゃって 思わせちゃうでしょう?それが 重荷になっちゃう事もあるんだって だから… 出来れば 何か 身に付けるものにしても 日用品にしても 普段使うけど あまり表に見えない物が ベストだって」

新人1が言う

「わぁ~ そうなんですか!びっくりです でも なるほどって感じでっ それじゃ…」

新人1が周囲を見渡す


新人1がプレゼントの入った袋を持っていて 喜んで言う

「本当に有難う御座いました!マリア先輩!これなら 私、明日 自信を持って 告白出来ますぅ!」

マリアが苦笑して言う

「う、うん… それは 良かったね?」

マリアが思う

(でも プレゼントが良いからって 告白が成功するしないって事には 繋がらないと思うけど… まぁ 自分が良いと思っている物が有るなら ちょっと勇気にはなるかな?)

マリアが言う

「それじゃ そろそろ…」

マリアが思う

(時間も 2時間で済んだから これなら 丁度…)

新人1が言う

「あの マリア先輩」

マリアが言う

「は、はい…?」

新人1が言う

「プレゼント選びと アドバイスも頂いたんで 私、何か マリア先輩に 御礼をしたんですが」

マリアが一瞬驚いてから苦笑して言う

「え?あ、良いよ そんな…」

新人1が言う

「駄目ですよぉっ こんなに ご協力を頂いて ただで帰しちゃうなんてしたらっ 神様に怒られちゃいます!」

マリアが思う

(か、神様にって…)

マリアが苦笑して言う

「そんな 大げさな…」

新人1が言う

「大げさじゃないですよぉ 神様はちゃんと見ててくれてるんですっ だから… あっ そうだ!」

新人1がケーキ屋を指差して言う

「ケーキでもおごります!それに ずっと歩き続けて 疲れましたよね!?ですから ちょっと お茶を飲んで行きましょうよ!マリア先輩!」

マリアが思う

(あ… お茶かぁ… 時間的にも きっと ウィザード様が 一緒に飲みたいって言いそうだなぁ… 今日も送ってもらったし… でも…)

新人1が言う

「ね!?そうしましょう!?マリア先輩っ!?お願いですぅ!ちゃんと私に お礼をさせて下さい~」

マリアが苦笑して言う

「…うん 分かった それじゃ」

マリアが思う

(ウィザード様は 今日 あんな風に 言ってくれたし…)

マリアが思い出す


レイが言う

『え?約束?…ああ なんだ そんなの気にするなって マリア!短い時間でも 俺はいつでも マリアに会えるし!マリアは 忙しいし 優しいから 仕事や誰かに 頼りにされて 大変なんだろう?だったら 俺は それを手伝うだけだよ!』


マリアが思う

(もちろん 私もいつか お礼をしなきゃだけど 今日は…)

新人1が言う

「良かった!それじゃ この お店のケーキで良いですかぁ?それとも 別のお勧めのお店とか あったりしますかぁ?」

マリアが苦笑して言う

「ううんっ 大丈夫 特にお勧めって程の お店はないし… このお店のケーキも おいしそうだから 食べてみたいかな?」

新人1が言う

「はいっ!それじゃ 早速入りましょう!」

マリアが言う

「うん そうしよう!」


ケーキ屋


新人が言う

「ありゃ~ すごい 混んじゃってますね~」

マリアが客席を見て言う

「ホントだね… お店も小さいから 余計かなぁ?でも 混んでるって事は…」

新人1が言う

「きっと それだけ 美味しい って事ですよねっ!?」

マリアが苦笑して言う

「うん そうかもね?」

新人1が言う

「あ、それなら!」

マリアが疑問する 新人1が言う

「マリア先輩の お家って 確か リンブルストリートですよね?」

マリアが言う

「うん そうだけど?」

新人1が言う

「私の住んでいるマンション その先の ロンブルストリートなんです!一人暮らしなんで!良かったら 私の部屋で食べませんかぁ!?」

マリアが驚いて言う

「え?そんな 悪いよ…」

新人1が言う

「悪くなんか無いですよぉ!私、会社に入るのに この町に引っ越してきて まだ 友達も会社の同じ新入社員の子しかいなくて でも皆逆方向の ラップルストリートの方だから いつも私が行く方で …だから 部屋に来てくれる人が居なくて いつも寂しいんです!マリア先輩 是非 来て下さい~!」

マリアが困って言う

「う、う~ん そうなんだ?そう言う事なら…」

マリアが思う

(まぁ 良いかな…?そう言う事なら 本当に ご迷惑ではないみたいだし… それに)

新人1が言う

「やったぁ~!それじゃ マリア先輩は どれにしますかぁ!?あっ コレ何の果実だろう?苺?ちょっと違うかな?でも 綺麗だし 何だか 美味しそう!」

マリアが苦笑して思う

(あんなに 嬉しそうにしてくれるんじゃ 断れないわ…)

マリアが言う

「それは ラズベリーよ 甘酸っぱい感じで 私は好きだけど?」

新人1が言う

「わぁっ そうなんだ!?甘酸っぱいって ちょっと 大人っぽい感じですね!?私 挑戦しちゃおうかなぁ~!?」

マリアが軽く笑う


マンション


新人1が言う

「ここが私の部屋ですー!今鍵を開けますんで!」

新人1が鍵を開けドアを開けて言う

「はい どうぞ!入って下さい マリア先輩!」

マリアが苦笑して言う

「あ、有難う…」

マリアが思う

(本当に喜んでくれているみたい… やっぱり 1人暮らしって寂しいのかな…?)

マリアが入ると 新人1が入り道を示して言う

「狭い部屋ですが どうぞ中へ!」

マリアが周囲を見て言う

「可愛いお部屋だね?」

新人1が言う

「有難う御座います!会社からは遠いんですけど 幾つかお部屋を見た中で このお部屋の内装が気に入って 思い切って決めちゃいました!後悔はしてないんですけど やっぱり会社には ちょっと遠いですね~ あはっ」

マリアが苦笑して言う

「良いじゃない?私なんて…」

マリアが思う

(自宅からだから 遠いも何も… って 言っても 今はウィザード様に 送り迎えしてもらってるから 関係ないんだけど…)

新人1が言う

「あ、どうぞ座ってて下さい 今 お茶と お皿 用意しますぅ!」

マリアが言う

「あ、私も 手伝おうか?」

マリアが思う

(引越ししたのが 何時かは知らないけど まだ 荷物のダンボールみたいのが 幾つかあるし…)

新人1が言う

「大丈夫です 一応 荷物の整理は終わってて… きゃぁー」

新人1がダンボールにつまずいて転ぶ マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?だ、大丈夫っ!?」

新人1が言う

「あ、はいっ 大丈夫です!私、結構 そそっかしくてっ」

マリアが苦笑して言う

「あ、そ… そうなんだ?えっと… じゃ、じゃぁ 気を付けてね?」

新人1が言う

「はいっ 有難う御座います!」

マリアが思う

(その動線上に 障害物になるダンボールを 置きっぱなしにしていると言うのは… ちょっと 危険だと思うんだけど… でも 余計なお世話だよね?ここは彼女のお部屋なんだし…)

新人1が戻って来て言う

「マリア先輩は ずっとこの町に住んでるんですかぁ?大学もこの町だって言ってましたよね?」

マリアが言う

「あ、うん… 家があるからね?お母さんが 隣町のウィザードさまに仕える事になった時 一度引っ越そうかって 話になったんだけど 結局…」

マリアがハッとして思う

(あ… つい…)

新人1が言う

「ウィザードさまって… あっ そっか マリア先輩のお母さんは この前TVに出てた あの女性ですもんね!?凄いですよね!?あの村を守った魔法使いさん …あ、えっと ウィザードさんと… 何か関係があるんですか?」

マリアが思う

(ウィザード ”さん” か… 灯魔台や結界の事なんか知らない 普通の子からしたら やっぱり そんな感じなのかな?魔法使い”さん” と大差ないような…)

マリアが苦笑して言う

「あ、うん… まぁ 身の回りのお世話を してるって感じかな?ウィザードさまは 人と神様との間の人だから」

新人1が言う

「人と神様との間…?」

マリアが思う

(しょうがないよね?知ってる人なら 知ってるけど 知らない人は 全く知らない世界だもん… それに)

マリアが気を取り直して言う

「あ… ううんっ 気にしないで?まぁ そんな感じかな~?魔法使いさんの上の もっと凄い人って感じ?」

新人1が言う

「そうですよね~ 何しろ あの洪水から 魔法で村を…」

マリアが言う

「あの… それより その… お湯が 噴いてない?」

新人1が衝撃を受けて言う

「え?あっ ホントだ!」

マリアが言う

「あっ 気を付けっ!」

新人1がダンボールにつまずいて転んで言う

「きゃぁー!」

マリアが頭を押さえて言う

「あぁ… やっぱり…」


新人1が紅茶の入ったティーカップと皿の乗ったトレーを持って来て言う

「おしゃれに レモンティーとかに したかったんですけど 肝心のレモンが無くて… すみません」

マリアが微笑して言う

「ううんっ 良いよ ストレートで ケーキが甘いから お砂糖とかも 無くって 大丈夫だし」

新人1が言う

「わぁ 凄い 大人ですね!マリア先輩!」

マリアが苦笑して言う

「あは… そ、そうかな?あ、それで 失礼かとも思ったんだけど もし、その… 紅茶を持ったまま 躓いたら危ないと思って… そのダンボール ちょっと横にずらしちゃった… ごめんね?」

新人1が気付き 感激して言う

「ああっ!そっかっ!そっちにおいて置けば良かったんですね!?有難う御座います!マリア先輩!やっぱりマリア先輩って 出来る人ですよねー!?」

マリアが苦笑して言う

「いや… そ、そうかな?ありがとう…」

新人1が言う

「これで 躓くことも無くなって 安心… キャッ!?」

マリアが慌てて立ち上がって支えて言う

「えっ!?あっ 危ないっ!」

マリアがホッとして言う

「危なかった… 大丈夫?」

新人1が言う

「す、すみませんっ 本当に私 そそっかしくて…」

マリアが苦笑して言う

「い、いや… だ、大丈夫よ?それじゃ 落ち着いて…」

マリアがチラッと足元のクッションを見て思う

(あぁ… こんな物にも 躓いたり滑ったりするものなんだ… 可愛いけど 危ないかも… まぁ コレはしょうがないよね?きっと自分で その内…)

マリアと新人1が座り 新人1が皿をマリアの前に置いていると マリアが新人1の袖に 少し掛かった紅茶に気付いて言う

「あ、ちょっと ごめん」

新人1が言う

「え?」

マリアがハンカチを出して 新人1の袖に掛かった紅茶を吸い取らせて言う

「紅茶ってすぐ拭かないと 染みになっちゃうって お母さんが昔言ってたから…」

新人1が呆気に取られる マリアが言う

「はい、これで… 大丈夫かな?」

新人1が微笑して言う

「マリア先輩って… お母さんみたいですね!」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?いや… そんな 私なんて 全然 お母さんに及ばないし …結構 おっちょこちょいで 物とか 良く置き忘れちゃったりするし… 遅刻もするし 全然…!」

新人1が言う

「そんな事ないですっ マリア先輩は 私の憧れの女性って感じで!あ、そっかっ TVで見た あの女性が マリア先輩の お母さんですもんね!?なんか分かります!あの大雨の中 村の人たちが 皆 怯えているのに そんな中で 凄い 落ち着いてて… まるで 聖母様みたいでしたぁっ!」

マリアが衝撃を受けて言う

「えぇえっ!?せ、聖母様っ!?」

マリアが思う

(あ… でも ちょっと分かるかも?あの時の映像だと 確かに 村の人もレポーターの人も慌てていたのに そんな中… …って いけない いけないっ!)

マリアが苦笑して言う

「そ、そんな事ないよ?普通… かな?…もぉ 大げさなんだからっ!」

新人1が言う

「えぇ~!?そんな事無いですよぉ ほんとに 素敵でしたぁ!」

マリアが苦笑して思う

(でも 他の子にも 自分のお母さんが 素敵だって言ってもらえるのは 嬉しい… それに すごいなぁ お母さん… 私も… 見習える… かなぁ?)

マリアが気を取り直して言う

「そ、それより ケーキ食べよう!?紅茶も 暖かい内に 頂いて良いかな?」

新人1が言う

「あっ はいっ!そうでした!どうぞ どうぞ!え、え~とぉ~ …そ、粗茶ですが?」

マリアが呆気に取られた後笑い出す 新人1が言う

「あぁっ もぅ 笑わないで下さいよぉ マリア先輩~ 私も ちょっと頑張ろうかなって 思ったんですぅ~っ」


自宅前


マリアが歩いて帰宅して来て思う

(あぁ… ちょっとのつもりが すっかり遅くなっちゃった… 久し振りに 大学とかお店とか 普通の話をしてたら なんだか 止まらなくなっちゃって… それに 彼女何にでも 楽しそうに 喜んでくれるから… 何だかこっちまで嬉しくなっちゃって… あーいう子って 凄く可愛いかも… お部屋も可愛かったし…)

マリアが息を吐いて言う

「はぁ… でも」

マリアが苦笑して思う

(紅茶はやっぱり ウィザード様と飲む 紅茶の方が ずっと美味しかったな… それは 当たり前よね?だって 魔法の紅茶だもん …まぁ ケーキは美味しかったけど)

マリアが玄関の前で鍵を取り出して言う

「本当は もっと早く帰って… 一緒に 美味しい お茶を飲むつもりだったのに… それ所か」

マリアがドアを開けて思う

(折角の休日でも 会っていた時間は いつもより短かったなぁ… ウィザード様… ごめ…)

マリアが家に入ろうとしながら息を吐く レイが言う

「マリアー!」

マリアが一瞬驚いて振り返って言う

「え?ウィザード様!?」

レイがマリアの前に降り立って言う

「お帰り!マリア!良かった 間に合ったよ!」

マリアが言う

「あ… ウィザード様 今日はその… すみませんでした 折角」

レイが言う

「え?だから言っただろ?マリアが俺に 謝る事なんて 何も無いって!後輩の面倒を見てやる事も マリアにとっては 大切な事なんだろ!?だったら 俺は それに協力するよ!」

マリアが思う

(あぁ… そう言ってもらえても 申し訳ないと思うのは… やっぱり 先に 今日はウィザード様と 午後は一緒に居ようって 言われていたから… でも)

マリアが苦笑して言う

「…有難う御座います」

マリアが思う

(ウィザード様が そう言ってくれるなら… 今はその言葉に甘えて 素直にお礼を 言っておいた方が良いかな?)

レイが言う

「礼には及ばないよ!それより …あのさ?今 ちょっと入って良いか?俺、マリアに 話があって… ここだと…」

マリアが思う

(あ… そうだった ウィザード様は 昨日 私に 話があるって… でも 明日にしようって それが…)

マリアが言う

「あ… はい どうぞ」

マリアが玄関を開ける レイが入ると マリアが思う

(時間は 確かに 遅くなっちゃたけど… 今なら…)

マリアが時計を見てから 思う

(いつもより早い… って 事は 話をする時間は いつもよりあるから …でも 流石に 上がってお茶なんかは 出来ない時間だし… それなら ここで?)

レイが言う

「…あ、そうだ その前に」

マリアが疑問する レイがマリアに向いて言う

「これ 渡しとくな?」

マリアが疑問して言う

「え?」

レイがマリアの手に 小さなピンクの宝石にシルバーの飾りが付いたネックレスを置く マリアが驚いて言う

「え?こ、これ…!?」

レイが困り苦笑して言う

「あ… その… 本当は宝石なら何でも 良かったんだけどさ?マリアは魔法使いとかじゃないから 飾りっぽい方が良いかなって …けど、そうなると 俺 どういうのにしたら良いのか 全然分からなくってさ …で、結局 そんなのに なっちゃったんだけど… 気に入らなかったか?ゴメンな?」

マリアが慌てて言う

「い、いえっ!?そんなっ!と、とっても 可愛いと… 思いますっ」

マリアが思う

(ウィザード様が 私の為に…っ!?)

レイが言う

「あ… そっか… なら 良かった …あ、それ お守りなんだ 魔力が込めてあるから 首に付けなくても 持っていて欲しい」

マリアが一瞬呆気に取られてから言う

「そ、そうなんですかっ お守り… 魔力が?」

マリアがネックレスの飾りを見る レイが言う

「ああ… 選んで買った後になって ちょっと後悔したんだけど その宝石小さいし 何より 先に加工されてる宝石って脆いから 魔力を込めるのに すげぇ精神力が必要で… 前に ウィザードの状態で 燭魔台の灯魔作業をしたけど… あれ以上に キツかった…」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?あ、あの時もっ ウィザード様 かなり 疲れてらっしゃいましたよねっ!?だ、大丈夫ですか…?」

レイが苦笑して言う

「正直 疲れたから 渡すのは 明日にしようかと 思ったんだけど …何しろ 一日掛りで仕上げたもんだから… こうなったら 意地でも今日中に届けてやろうって思って…」

マリアが苦笑して思う

(男性のウィザード様が 私の為に… こんな可愛いネックレスを選んで それで お守りにする為にって 苦労して魔力を… それを 今日中にって)

マリアが微笑する レイが言う

「あ… それから… その 話も… 今日の方が 時間が取られるだろうから 良いかと思ってさ?」

マリアが気を取り直して言う

「あ… そ、そうですね?」

マリアが緊張して思う

(そうだった… 話があるって きっと 大切な…)

レイが言う

「それじゃ その… やっぱ 俺 こういう話苦手だから 一度だけ…」

マリアが言う

「は、はい…」

マリアが緊張して思う

(一度だけ… やっぱり… 話って そう言う事?だって… こんなプレゼントまで 用意してくれて …それに)

マリアがレイを見て思う

(ウィザード様 いつもと少し違う… このお守りを作るのに 疲れているって言うのも あるだろうけど… それを押してまで来て …それに時間を取って 伝えようって… 普段は言い馴れないって事は… やっぱり それはっ!?)

レイがマリアを見て言う

「マリア 俺…」

マリアがレイを見て思う

(遂にっ!?)

マリアが息を飲む レイが言葉を発そうとすると インターフォンが鳴る レイとマリアが驚き呆気に取られる マリアが言う

「あ… は、はい?…どちら様で?」

ドアの外で新人1が言う

「あ、あのっ!マリア先輩ですか!?すみません!ご自宅にまで 来てしまいましてっ!」

マリアが驚いて言う

「えっ!?あ、あのっ!?」

マリアがレイを見て思う

(ど、どうしようっ!?)

レイが玄関のドアを見る マリアが思わずレイを ドアのヒンジ側へ押し退けて 小声で言う

「ちょ、ちょっと こっちに…」

レイが言う

「え?うん…?」

マリアが玄関を細く開け 外に出て言う

「ど、どうしたの!?何かっ!?」

新人1が言う

「あっ 良かったっ!バス停から 5件ぐらい先だって聞いていたんで この辺りかな~?って 探してみたんです!そしたら 表札にノーチスさんって書かれていたんで!ここかな~?って… でもっ ちょっと緊張しちゃいましたぁ 違うお宅だったらどうしようって… マリア先輩の声が聞こえて 安心しましたぁ!…良かったぁ~」

マリアが苦笑して言う

「あ… そ、そう… それで その…?」

マリアが意識を玄関の中へ向けて思う

(あぁ… 中には ウィザード様が居るのに… 今 大事なお話が… それに…)

マリアが手に握ったままのネックレスを気にする 新人1が言う

「はいっ その…っ えっと まずは 今日は本当に 有難う御座いましたっ!お店の紹介だけじゃなくて 彼へのプレゼントを 一緒に選んでもらって… 私、嬉しかったですし 何より とっても楽しかったです!」

マリアが衝撃を受けて言う

「あっ う、うん… どう致しましてっ」

マリアが思う

(あぁ… 彼へのプレゼントの事なんて… 私は 買わなかったし…)

マリアがネックレスを握る 新人1が言う

「それに 一緒に食べたケーキも とっても美味しかったです!私、たまに ケーキとか買って 部屋で食べるんですけど 今日はやっぱり いつもと違って マリア先輩と一緒だったんで それに!一緒に飲んだ紅茶も いつもより とっても美味しかったです!」

マリアが衝撃を受け思う

(う…っ そ、それをっ …寄りによって 今… ここには ウィザード様がっ …ホントは前から ウィザード様と その お茶をする 予定だったのに…っ)

新人1が言う

「あの また 是非 私の部屋に来て下さいっ それで 今日みたいに また一緒にお茶を飲みながら マリア先輩の 大学のお話とかっ お友達のお話とか… 楽しくお話したいですぅ あ、でも… もしかして 私だけが楽しんじゃいましたか?私、何だかとっても楽しくって マリア先輩に色々聞いちゃって ご迷惑でしたか?」

マリアが言う

「…そ、そんな事無いよ… わ、私も… …楽しかったよ?」

マリアが思う

(あぁ…っ お茶を飲んで 楽しくおしゃべりしてきたなんて…っ でも ここで否定なんて出来ないし …きっと 聞こえちゃってるよねっ!?)

マリアが苦笑して意識を背に向ける 新人1が言う

「あぁ 本当ですかぁ!?良かったぁ~ 私って いつも 夢中になると 周りが見えなくなっちゃうんで!もしかして マリア先輩を 何時間も ただ お茶だけで お話させちゃって 失礼だったかな~?って 心配になっちゃいまして!でも 私だけじゃなくて マリア先輩も楽しかったなら それなら良かったです!」

マリアが言う

「うん… それで えっと… その… お礼を言いに来てくれたの?」

マリアが思う

(もう… 言い訳の言葉も 思い付かないわ…)

新人1が言う

「あっ!いえっ!違うんですっ これを…」

新人1がハンカチをを出す マリアが言う

「あ… ハンカチ 私の…」

新人1が言う

「はいっ マリア先輩が帰った後で 見つけて… 本当は お洗濯してから返そうとかと 思ったんですけど もしかして その 紅茶の染みにならない お洗濯方法とかあるのかな?って…もし 間違えて染みになっちゃったら 困ると思って 持って来ちゃいました!」

マリアが苦笑して言う

「こ、この為だけだけに?ほ、本当に 有難う…」

新人1が言う

「あ、いえっ!それから マリア先輩に教えて頂いた スーパーにも これから行くんで その途中なんです!…あ、マリア先輩 もしかして これから ス-パーへ行きますか!?もしそうなら 是非っ!」

マリアが言う

「あっ ご、ごめんっ 今日は 行かないかな?家にあるもので 済ませちゃうつもりだから…っ」

新人1が言う

「ああ そうなんですか!それじゃ また次の機会に ご一緒しましょう!マリア先輩!」

マリアが言う

「う、うん… そうだね?」

新人1が言う

「今度はちゃんと レモンも用意しておきますんで!お茶も飲みに来て下さいね!?あ、それなら また ケーキも一緒に買いに 行かないとですよね!?あはっ」

マリアが言う

「う、うん…」

新人1が言う

「それじゃ 私は これで!また明日!…あっ あさってですね!会社でお会いしましょう!それでは 失礼します!」

マリアが言う

「うん… 気を付けてね?」

新人1が言う

「はい!有難う御座います!それでは… キャッ!」

マリアがハッとして言う

「あっ!」

新人1が躓いて転びそうになりながらも 苦笑して立ち去る マリアが苦笑してホッとしてから思う

(あぁ… どうしよう… 後輩の為とは言え 男の人への プレゼント選びに付き合って… お茶を飲んで 楽しくお話していた って事が… 私が…)

マリアがハンカチを見て思う

(うっかり 忘れ物をしちゃったせいで…)

マリアがハンカチを逆手に持っているネックレスと共に持って思う

(でも、こうなったら しっかり 謝るしかない… ごめんなさいって… ウィザード様との約束を 不意にして 私は…っ)

マリアが玄関を開け言う

「あのっ ウィザード様 ごめ…」

レイが言う

「ごめんっ!マリアっ!」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?」

レイが玄関を出て言う

「もう 時間が無い!話はまた明日っ!お疲れ様!お休み!マリア!」

レイが風に消える マリアが呆気に取られてから ハッとして時間を確認して言う

「あ… そっか… 食堂の…」

マリアが肩の力を抜き 思う

(それに… 怒っている様子も 無かったみたい…)

マリアがホッと息を吐いてから 手にある ハンカチとネックレスを見る


洗面所


マリアがハンカチの染みに洗剤を付け 軽く擦り洗いしてから 洗濯機へ入れる マリアがそのまま 洗面所の鏡の前で 首に付けていたネックレスを見て 微笑して言う

「可愛い… それに」

マリアがネックレスの宝石を見る


マリアの部屋


マリアが取り外したネックレスの宝石を見て言う

「やっぱり 魔力が込められているんだ… 以前 見た 目に見える魔力… 強力な魔力が込められているから 私の目でも うっすらと魔力が見える… きっと これって あのウィザード様だから 出来る事なんじゃないかな?普通のウィザードなんかじゃ 出来ないくらい 難しい事… みたいな?」

マリアが微笑してハッとして言う

「あっ 私…」

マリアが思う

(そう言えば お礼を言ってない… お守りの為に 魔力を込めるだけじゃなくて… この ネックレスを買ってくれた それだけでも しっかり お礼を言わなきゃいけないのに…)

マリアが困って言う

「もう… 私ってば…」

マリアが息を吐いて思う

(私 今も きっと… ウィザード様に 甘え過ぎなんだろうな… 相変わらず あの人は ”マリアのウィザード様”だから…)

マリアが苦笑して言う

「でも もしかしたら もうすぐ…」

マリアがネックレスを見つめて思う

(それ以上に… なるのかな?だ、だって…)

マリアが思い出す


レイが言う

『それじゃ その… やっぱ 俺 こういう話苦手だから 一度だけ…』

レイがマリアを見て言う

『マリア 俺…』


マリアが思う

(あれは やっぱり… そう言う 話… よね?だって…)

マリアがネックレスを見る マリアが思う

(それで もし そう… 言われたら?私 …なんて答えたら?それは… もちろん…)

マリアが言う

「もちろん…?」

マリアが苦笑して言う

「でも もしかしたら 違うかもしれないし…?あー!駄目!よし!もう寝ちゃおう!こんなの 私らしくないから!だから…」

マリアがベッドに入って思う

(そうよ 明日もプロジェクト企画の為に 早く起きなきゃいけないんだからっ …それで …また 明日も…)

マリアが眠りに付く


翌朝


マリアが玄関を出て気分良く言う

「うーんっ 今日も良いお天気!これなら」

マリアが思う

(”マキのウィザード様”も 魔力が上がるかな?)

マリアが気付いて言う

「あれ?私…」

マリアが苦笑して 軽くネックレスに触れて思う

(本当は ちゃんと 奉者の時に そう言う事を… ”私のウィザード様”の為に 考えなきゃいけなかったのに… 私は 何も知らなくって… でも)

レイが言う

「マリアー!」

マリアが微笑する レイがマリアの前に降り立って言う

「お早う!マリア!今日も良い天気だな!空気も澄んでて 空は気持ちが良いぞ!?」

マリアが言う

「お早う御座います ウィザード様 確かに 空気は澄んでますね… あ、それで 昨日はこれ… 本当に有難う御座いました 私、お礼を言い忘れちゃって 失礼しました」

レイが言う

「ん?ああ お礼なんて 言わなくて良いよ 本当は 俺がもっと一緒に居られれば 良いんだけどさ マリアは忙しいから その代わりだよ」

マリアが一瞬呆気に取られた後 微笑して言う

「あ… そうなんですか?でも 有難う御座います 私、嬉しかったんで とっても 可愛いですし お守りとしての魔力も いっぱい入ってて」

レイが微笑して言う

「そうか 喜んでもらえたなら 良かった!苦労の甲斐もあったって奴だな!でも、何より そいつを選ぶのが 大変だったからさ?種類も多いから マリアなら どれが良いのかなぁってな?」

マリアが微笑して言う

「それは難しいですよね?異性の物だと 特に… 分からないですよね?」

レイが言う

「そうなんだよな?まだ マリアが 魔法使いとかなら 役に立つものも 分かるんだけどさ?」

マリアが思う

(あ… そっか そう言う意味でも 難しかったんだ… そうよね?確かに私だって 私と同じ 普通の人の 異性へ贈るプレゼントだって あんなに苦労したんだから… 余計…)

レイが言う

「それで、マリアは今日も急いでるんだろ?なら 早速 送ってやるぞ?」

マリアが気付き微笑して言う

「はいっ お願いします!」

レイとマリアが風に消える


会社


マリアが言う

「お早う御座います!」

課長が言う

「ああ、お早う 早速だが マリア君」

マリアが疑問して言う

「え?はい?」

課長が資料を見せて言う

「まただよ… 驚いたな?」

マリアが言う

「え?またって… まさか?」

課長が言う

「ああ、その まさかだ 先日のダムに続き これで2件目だ 数値の変動の理由は ミッシェルリンク社の 製造工場での事故が原因だったらしいんだが それもまた 廃業になった 理由も同じく 地元住民からの強力な再稼動反対によるものだと… とは言え こちらは ダムとは異なり 解せない部分も多い」

マリアが言う

「と、言いますと?」

マリアが資料を受け取って見る 課長が言う

「今回も 事故の内容からして 故障した機械の交換修理等を行えば 再稼動は可能な状態で それを 理由は村民の反対としているが 事故の前までは実質稼動していた工場だ それが 機械の故障で一度稼動を止めたからと言って それを動かすのに 村民が反対したとしてもな?」

マリアが言う

「機械が故障する以前までは 工場は稼動していたんですよね?川に造られたダムとは違って 既に買収されていた その敷地内で 再稼動を反対したとしても それは…」

課長が言う

「こちらは 昨日の時点で分かった事だ 既に 我が社の社員が裏付けを取りに 現地へ向かっているよ きっと その結果を 会議で聞くことになるだろう そして それを踏まえた上で もう1件」

マリアが驚いて言う

「もう1件ですかっ!?」

課長が言う

「そちらの理由が分かれば この数値変更も 後に どうなるかの答えが 明日を待たずに分かるだろう… プロジェクト企画は 今 ミッシェルリンク社との提携を と動いているそうだが これだと 変更になるかもしれない マリア君も その事も考えておくと良い」

マリアが言う

「は、はい 分かりました」

マリアが資料を見比べてから席へ向かう


プロジェクト企画会議


社員1が言う

「と、言う事で ミッシェルリンク社の サプス村工場の廃業に付きましては 地元住民に確認を取りました所 工場からの有害な化学薬品による 用水路の汚染が原因であると 共に 工場の立地場所に付きましても 元々 地主の定められていない サプス村の聖地としていた場所に ミッシェルリンク社の関係者が 強引な土地取引の元に 買収したとの話です」

マリアが思う

(そうだったんだ… 工場からの有害な… それは大変だわ 地元住民… 村民だって それを知ったら 工場の再稼動には当然反対するだろうし …でも)

社員2が言う

「土地の問題は兎も角として 工場の再稼動に付いては その汚染元を何とかすれば 良いと言う話ではないのでしょうか?」

社員1が言う

「その点は ミッシェルリンク社の方へ 確認を取るしかありませんが… 生憎そこまでは …公式なミッシェルリンク社の情報でも 地元住民による工場再稼動への反対を理由としていますので 恐らく 我が社から確認を取ったとしても 同じ言葉を 返されるでしょう」

社員たちが唸る マリアが資料を見ながら思う

(例え住民の反対があったとしても… それだけを理由に こんなに大きな工場を止めて 不利益を蒙る事を 受け入れるものなのかしら?今まで 土地の買収を強引にやって来た企業なら この工場の再稼動だって 強引にやりそうなものだけど…?)

社員3が言う

「では、今朝送られてきた こちらの数値変更は?パクス村工場の一時稼動停止… これも そちらのサプス村工場と同じく 廃業になると言う可能性が?」

社員1が言う

「パクス村工場に関しましても 我が社の社員が既に確認へ向かっていますが… 可能性はありますね 既に 電話で確認されている村人からの聞き取りでは そちらの工場からも 煙突からの黒煙が原因ではないかと… 田畑の土壌汚染が取り立たされています 工場が稼動してから 農作物の成長やその他に 不具合が出たと言われていたそうで」

マリアが思う

(土壌汚染か… こっちも大変ね サプス村ではミッシェルリンク社の工場のせいで 用水路が汚染されちゃって… パクス村では やっぱり同じく その工場のせいで田畑が… あれ?なんか…?)

マリアが疑問する 司会役が言う

「う~ん こう続いて来ると ミッシェルリンク社との提携は 改めて考えなければならないと言う 可能性もありますが… とは言え これ以上続くとも言い切れませんから …他に何か現状で」

マリアが言う

「あ、あの… ちょっと 質問なんですが」

司会役が言う

「はい 何でしょう?」

マリアが言う

「この2つの工場の事は分かりましたが… その前の ポルト村のダムは… あれは どうして廃業になったんでしょうか?確か 村民の反対や ダムの破損と言うのは 聞きましたが… 元々ダムは 何か問題があったのでしょうか?」

社員1が言う

「ああ、それも 一応 確認を取りました所 ダムの決壊と共に破壊活動が あったと言う事へ加えて あの川の上流には 水源があり 元来村にも 水源には手を触れるな… 等と言う言い伝えが有ったとか…?まぁ それ位ですかね?ダムを造ると言う事は その水源を押し止めてしまうと言う事で 地元住民は以前から反対していたそうです」

マリアが言う

「なるほど… 分かりました 有難う御座います」

司会役が言う

「はい… それでは他に?…無い用ですので ここで 一旦 休憩を…」

マリアが思う

(ミッシェルリンク社の この所の廃業理由は 皆…)

マリアが資料を見る


中央公園


マリアが言う

「マキー!」

マキが言う

「あ、お疲れ様 マリア」

マリアが気付いて言う

「あ、あれ?マキ お昼食べる事にしたの?」

マキが苦笑して言う

「うん… その…」

マリアが疑問する


マリアが驚いて言う

「えっ!?ウィザード様が… 風邪を引いちゃった?」

マキが苦笑して言う

「うん… そうなんだ それで 私まで 風邪を引いちゃったら大変だから… 体力を付ける為にも やっぱり ご飯は食べておこうかなって…」

マリアが呆気にとられて言う

「あ… えっと…」

マキが苦笑して言う

「ウィザードなのに 風邪を引いちゃうって 可笑しいよね?人と神様の間の筈なんだけど…」

マリアが苦笑して言う

「う、うん… ちょっと… お、驚いちゃったかな?」

マキが言う

「だよね?しかも彼 火の属性を得意としている ウィザードなのに 風邪を引いちゃうなんて …やっぱり 魔力が負けちゃってるのかなぁ?」

マリアが衝撃を受けて言う

「う… う~ん… あ、あれ… かな?この前の 雨続きが原因とか?」

マキが言う

「ううん… あの時は ずっと部屋の中に居て… 最近天気が良いから 外に出るようにしたんだけど …多分 それで」

マリアが衝撃を受け困って言う

「うっ あ… そ… そうなんだ…?」

マリアが思う

(うぅ… なんだか… 励ます言葉も思い付かない だって 私のウィザード様は 今日も とっても元気で…)

マリアが苦笑する マキが苦笑して言う

「何か… ホントに 彼… ウィザードなのかなぁ…?…なんちゃって?」

マリアが衝撃を受けて思う

(えっ!?そ、それは…っ!)

マリアが言う

「マ、マキ?その言葉は… その… 私の 専売特許… だよ~?使っちゃ… 駄目~ なんちゃって…?」

マリアが思う

(うぅ… フォローさえ 辛いわ…)

マキが苦笑して言う

「うん… マリアの真似… してみちゃった… えへっ…」

マリアが苦笑して言う

「う、うん…」

マキがマリアのネックレスに気付いて言う

「あ、あれ?マリア そのネックレス」

マリアが気付いて言う

「あっ こ、これ?」

マキが言う

「可愛いね?マリアに似合ってるし… それに もしかしてだけど… 宝石の周りが 少し光ってるように見えるのって」

マリアが言う

「うんっ 実は ”私のウィザード様”が お守りにって…」

マキが言う

「わぁ… 凄いね?マリア 私、講習の時 聞いただけだけど… 魔石に魔力を 込められるのって …最上級のウィザードだって」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?」

マキが言う

「…しかもそれ 魔石じゃないし …だから 多分 もっと… かなり高度な…」

マリアがハッとして思う

(そ、そう言えば…)

マリアが思い出す


レイが言う

『ああ… 選んだ後になって ちょっと後悔したんだけど その宝石小さいし 何より 先に加工されてる宝石って脆いから 魔力を込めるのに すげぇ精神力が必要で… 前に ウィザードの状態で 燭魔台の灯魔作業をしたけど… あれ以上に キツかった…』


マリアが思う

(やっぱり 凄い事… だったんだ… それに 小さくて加工されている宝石以前に 魔石って物に魔力を込めるのでも 最上級のウィザードだって… え?あれ?)

マリアが呆気に取られて言う

「あの人… 確か 今 魔法使いなんだけど…?でも、それでも って事は つまり…」

マリアが衝撃を受けて思う

(やっぱり 凄すぎる人なんだっ!!)

マリアが苦笑して言う

「いえ… もう 十分 分かってた つもりなんですけど…」

マキが苦笑して言う

「…あのさ?マリア?”マリアのウィザード様”って もしかして 物凄いウィザード?」

マリアが視線を逸らして言う

「う、う~ん と…」

マリアが思う

(いえ… 物凄い 魔法使いです… なんて 言えない…)

マリアが苦笑する


会社


マリアが資料を作っている 課長が通り掛って言う

「マリア君?午後のプロジェクト企画会議が もう始まっているのではないかね?」

マリアが言う

「あっ はい、すみませんっ 課長っ 急ぎますんで… もう少しっ」

課長がモニターを覗き込んで納得する


プロジェクト企画会議


マリアが入って来て言う

「すみません…っ 遅れました」

司会役が言葉を止めて言う

「…して …はい、どうぞ 席へ」

マリアが言う

「は、はい…」

マリアが席へ向かうと 司会役が話を再開する

「…え~ その様に報告が 先ほど入りましたので ミッシェルリンク社の資料は やはり 本日午前に送られた数値変更資料を 決定数値とする事にします」

マリアが思う

(…あ、やっぱりだ)

マリアが席に座る 社員2が言う

「これほど変動が激しいとなると やはり 今回のプロジェクトからは ミッシェルリンク社を 外すべきではないでしょうか?」

社員1が言う

「しかし この度 偶然にして 3件の事故が続きましたが これからも続くとは限りません そして ミッシェルリンク社の強みと言うのは やはり 公共事業と共に開拓を進めている事でしょう この勢いは 他社が真似しようとして 出来るものではありません 従って」

マリアが言う

「あのっ 宜しいでしょうか?」

社員たちがマリアを見る 司会役が言う

「どうぞ」

マリアが言う

「ミッシェルリンク社の 今回の事故に関連すると思われる 資料を作ってきました 既に事故の起きた3件と 酷似する工場や発電施設が 他にも多く… と言いますか ミッシェルリンク社の建設物は 皆 そう言う所にあるんです ですから 私、この事故は …これからも 続くと思います!」

社員たちがマリアの資料を見る 司会役が言う

「なるほど ミッシェルリンク社の買収した土地は その殆どが 各村の保護区域… 聖地とされていた場所 …であると?」

マリアが言う

「はい、ですから ミッシェルリンク社の土地買収は 言ってしまえば 違法占拠とも言えます 元々 各村が 所有者を定めずに置いた場所を 勝手に使っているんですから!」

社員1が言う

「確かに そうだとしても 村の保護区域は 各村にその使用権限が委託されています 従って 村民や村長の許可さえ得られているのなら 違法占拠とは…」

社員2が言う

「しかし、例の3件の事故があった 各村の村民に話を聞いた限りでは それらの許可は 公認ではないと言うのも事実ですね?」

司会役が言う

「では マリア主任 その3件の 村民の再稼動反対 等に関しては 納得するとしても …これからも 事故が続くと言うのは?」

マリアが一瞬驚いてから困って言う

「そ、それは…」

社員1が言う

「まさか その保護区域や聖地と呼ばれる場所に 工場類を建てると… いわゆる 天罰でも下ると?」

社員たちが失笑する マリアが視線を落として思う

(あぁ… そっか… この人たちに 水の魔力が怒って… とか言ったって 理解なんかしてもらえない… どうしよう…?)

マリアが言う

「そ、その… 天罰とまでは言いませんが 村の人たちだって きっと…」

司会役が言う

「そうですね 天罰の類は兎も角として 違法占拠と言うのはあるかもしれません 少なくとも 村民や村長を 強要した などと言う事実があったとすれば 公共事業として税金を使われている 人々の方も 黙ってはいないでしょう …マリア主任からは 以前 ミッシェルリンク社による 土地買収強要事例の報告も受けていますので」

マリアがハッとする 司会役が言う

「それを考慮して この資料にある各村へ そう言った強要の事実が あったかどうかの確認を して置いた方が良さそうですね?」

社員2が言う

「そうですね 提携を結べば それらも全て 我が社のイメージとも繋がります」

社員1が言う

「確かに…」

マリアがホッとする


会社 外


マリアが出て来て言う

「ふぅ~ 急いで資料を作ったせいで 聖地の説明を考えるのを すっかり忘れてて… あの瞬間はどうなるかと思ったけど …やっぱり 発言して正解だったなぁ」

マリアが思う

(聖地の事はしょうがないけど 村民たちの反対を 押し切って工場類が作られたって事実が 分かれば… それだけでも きっと…)

レイが言う

「マリアー!」

マリアが振り向くとレイが降りて来て言う

「お仕事お疲れ様ー!マリア!」

マリアが微笑して言う

「お疲れ様です ウィザード様 …あ、聞いて下さい ウィザード様!」

レイが言う

「うん?どうしたんだ?マリア 何か良い事か?」

マリアが気付き苦笑して言う

「あ… 良い事かどうか と聞かれれば …元は悪い事なんですけど でも 私 ウィザード様のお陰で その悪い事の理由が 分かったんですよ!?」

レイが言う

「その 悪い事の理由ってのは 何だ?」

マリアが言う

「実は ある会社が 各地の村にある 聖地を侵して 工場などを建てていたんです!それで その工場などで 事故が起きてて 私、その理由は きっと その聖地を侵したせいで そこにある 何らかの魔力が 怒ってるんじゃないかな?って 思ったんです!」

レイが衝撃を受けて言う

「おお!そいつに気付くとは凄いな!流石 マリアだっ!」

マリアが軽く笑って言う

「有難う御座います」

レイが言う

「それじゃ そのお陰かもな!?今朝 風の魔力が言ってたぜ!おかげで気分が良くなったって!嫌な空気を出す 人の機械が止まったってさ!?」

マリアが気付いて思う

(嫌な空気を出す 人の機械が止まった… きっと ミッシェルリンク社 パクス村工場の煙突から黒煙が出ていたって …その工場が止まったからって事だわ!)

マリアが微笑して言う

「それじゃ ポルト村のダムに続き バクス村の工場の機械を壊したのは 今度は その風の魔力でしょうか?」

レイが言う

「ん?…いや 違うんじゃないか?あいつらは 感謝してたぜ?…って事は 別の誰かが その機械を壊したんだろ?」

マリアが気付いて言う

「え?あ… そうですね?それじゃ…」

マリアが思う

(やっぱり 工場に反対していた 村民か誰かかしら…?)

マリアが言う

「ウィザード様は 風の魔力さんと お話が出来るんですか?だとしたら それが 誰だったかって… 聞けたりしますか?」

レイが言う

「いや、俺が聞いたのは 噂だからな?」

マリアが言う

「え?噂って?」

レイが笑顔で言う

「”風の噂”って奴さ!」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?か、風の噂…!?」

レイが言う

「そうそう!」

マリアが思う

(え?…それって …ことわざか何かじゃ なかったっけ…?)

レイが言う

「あいつらは そこら辺に吹いてるからさ?誰かが見て それを誰かに言って そいつがまた 誰かに言って その内 俺が聞いたんだよ」

マリアが呆気にとられて言う

「あ… はぁ…?そ、そうですね?」

マリアが思う

(確かに ”風の噂”って そう言う事…)

レイが言う

「んで また、俺がマリアに言ったから マリアも 今度は誰かに言うか?そうやって 風の噂が やっぱり飛んで行くんだよな?でも うっかりすると その内 誰かが間違えるからさ?風の噂は そう言う所で 少し気を付けないとだな!」

マリアが呆れて言う

「そ、そうですね…」

マリアが言う

(…そうよね?その間違った噂を 信じたり また それを誰かに 言っちゃったりしたら 大変だし… って …いや、そうじゃなくて?)

レイが言う

「所で マリア マリアは これから家に帰るのか?」

マリアが気を取り直して言う

「あ、はい そのつもりです 今日も 宜しくお願いします」

レイが言う

「ああ!それは任せとけ!けど 今日は マリアの家の前に 人が待ってるってさ?」

マリアが驚いて言う

「え?人が…?」

レイが言う

「そいつも さっき 風の噂が 教えてくれたんだけどな?」

マリアが衝撃を受けて言う

「え?そ、…そうなんですか?」

マリアが思う

(そ、そんなので 大丈夫かな…?って言うか)

マリアが言う

「家の前で 待っているだなんて… 一体誰が…?」

レイが風の声を聞いて言う

「ああ、そいつは 昨日 マリアが玄関の前で 話していた女だってさ あの時のあいつか?」

マリアが新人1の姿を思い出して言う

「あ… 後輩の子」

レイが言う

「どうする マリア?そいつの前に連れてくか?それとも 少し離れた所の方が良いか?」

マリアが反応してから微笑して言う

「…あ、それでは 彼女を驚かせない為にも 少し離れた所の方へ お願い出来ますか?」

レイが言う

「ああ!マリアが言うなら そうしてやるよ!それじゃ 行くぞ?マリア?」

マリアが言う

「はいっ」

レイとマリアが風に消える


自宅前


マリアが道路から歩いて来る 玄関前に居た新人1が気付き喜んで言う

「マリア先輩!お疲れ様です!」

マリアが微笑して言う

「お疲れ様!あれ?どうしたの?今日は 休暇だったよね?何か…?」

新人1が言う

「あ、仕事には関係ないんですけどっ 昨日マリア先輩に お手伝いしてもらった プレゼント …彼、とっても喜んでくれました!それで そのお礼を改めて!それから ご報告と言いますかっ 私… 彼と付き合う事になったんです!」

マリアが驚いて言う

「え?あ… そうなんだ?おめでとう 良かったね?」

新人1が言う

「はいっ!有難う御座います!それも 昨日マリア先輩から 色々お話聞いた事なんかを 話してて …そうしたら 彼が 俺たち合いそうだねって 付き合ってみようかって 言われたんです だから 本当に マリア先輩のお陰で!本当に本当に!有難う御座いましたぁっ!」

新人1が頭を下げる マリアが微笑して言う

「あぁ 良いよ そんな… 私のお陰なんかじゃないよ きっと 一生懸命な その誠意が伝わったんだよ」

新人1が喜んで言う

「わぁっ そうでしょうかっ!?そうだと良いなぁ… あ、それから これ その… 作り過ぎちゃった物で 手作りのお料理で 恥ずかしいんですけど 良かったら お夕食にでも 食べて下さい!」

新人1がタッパーの入った袋を渡す マリアが一瞬驚いた後言う

「え…?あ、ありがとう それじゃ 頂くね?わざわざ届けてもらって」

新人1が言う

「いえっ お口に合うと良いんですけど!それでは 私は これで!また明日 会社でお会いしましょう!では 失礼しましたぁ!」

新人1が軽くお辞儀をしてから小走りに走って行く マリアが苦笑して言う

「ホントに 良い子なんだなぁ… わざわざ お礼と報告をしに こんな寒い中待っててくれて …お料理まで用意してくれて」

マリアが玄関へ向かいながら言う

「私とは違って 素直で可愛いし… きっと 彼とも上手く行くよね?」

マリアが玄関の鍵を開け中へ入ろうとして立ち止まり 振り返って思う

(…今日も ウィザード様からの お話は聞けなかったなぁ 明日こそ …かな?)

マリアが苦笑して玄関を閉めながら言う

「ただいまー」

マリアが家に入って行く


翌朝 マリアの部屋


マリアが鏡の前でネックレスを付け微笑する バックを持って玄関へ向かおうとして ハッと気付いて言う

「あ、そうだ 彼女へお返しする タッパーを 持って行かないと」

マリアがキッチンへ向かい 洗い干してあるタッパーを袋に入れ 考えて言う

「何かお礼を… あ、そう言えば」

マリアが棚からクッキーの入った袋を取り出して言う

「これで良いかな?このクッキー 美味しかったし…」

マリアがタッパーの袋にクッキーを入れて言う

「よし…」

マリアが玄関の前で鏡を見て ふと気付いて言う

「あ、そう言えば…」

マリアが鏡を見ながら ネックレスに触れる


マリアが玄関を出て鍵を閉め数歩歩くと レイが言う

「マリアー!」

マリアが振り向くと レイが降り立って言う

「お早う!マリア!今日も良い天気だな!空気も澄んでるお陰で 火の魔力がご機嫌だぞ!って言っても あいつらがご機嫌だと 空は暑っ苦しいけどな?」

マリアが軽く笑って言う

「お早う御座います ウィザード様 確かに 冬は空気は冷たくても 日差しは強いですから お空の上は 大変そうですね?」

レイが言う

「そうなんだよな!やっぱ 夏は涼しく 冬は適度に乾燥を防いでくれる 水辺が一番良いけど この町には 湖とか無くて 川も道路の下だからさ?」

マリアが言う

「そう言えばそうですね 湖も川も無くて… それでは この町には 水の魔力さんは 少ないのでしょうか?」

レイが言う

「いや、大丈夫だよ マリア!町の中心に 水の灯魔をした あの噴水があるだろ?あれは そんなこの町の為に 作られた 特別な形の灯魔台だぞ!」

マリアが言う

「あ… なるほど… そう言う事だったですね あれが 灯魔台だって知ったのは 奉者になってからでしたが それまでは ただの噴水だと」

レイが言う

「まぁ 分からないよな?灯魔作業だって あんな公園の真ん中にあるんじゃ 無評価の灯魔作業になるし あの噴水に灯魔作業をしてたのは 先輩くらいだよ」

マリアが一瞬呆気に取られて言う

「え…?」

レイが言う

「俺はマリアの為にやったけどな?先輩は 本物のウィザードだから ちゃんと自然の力の為に やってたんじゃないか?」

マリアが言う

「自然の力の為に…?」

レイが言う

「ウィザードの役目は 森羅万象の異変を収める事だからさ?」

マリアが考えてから言う

「それでは… 今 その 本物のウィザードである ”先輩”以外の ウィザードたちはどうなんでしょうか?彼らが もし、その 森羅万象の異変を収めなくても 大丈夫なんですか?」

レイが言う

「良いんじゃないか?別に?」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?そんな簡単にっ!?」

レイが言う

「あいつらはあいつらで 一応役には立ってるしな?それに 偽物だって いつか本物になるかもしれないだろ?それこそ 修行のお陰でさ?」

マリアが思う

(それじゃ つまり ウィザード様の言う 本物 偽物 って言うのは…)

マリアが苦笑して言う

「それでは 今は 風邪を引いちゃっている この町の ウィザードも いつかは立派な ”本物のウィザード”になるかもしれない って事ですよね?」

レイが疑問して言う

「え?風を弾くって… どうやって 弾くんだ?風を楽器にするのか?…どうやって?」

マリアが呆気に取られた後苦笑して言う

「あ、あの… ウィザード様?風邪を引くっていうのは… その… 風を楽器みたいに弾くと言うのではなくて 風邪と言う総称の 病気になってしまうと言う 意味ですよ?」

レイが言う

「あ、なんだ 病気の名前か?…うん、そう言えば そんなのもあったな?…え?そいつ 病気になったのか?ウィザードが…?」

マリアが言う

「はい そうらしいです でも、その様子だと もしかして ウィザード様は風邪を引いたり… 病気になった事は無いとか?…言われてみれば 確かに 人と神様との間と言われる ウィザードも 病気になるんですね?ちょっと 意外でしたけど」

レイが言う

「俺は病気になった事なんて無いよ マリア 大体 ウィザードは自然界の力を会得するんだから 病気になんか ならないよ」

マリアが驚いて言う

「え…?」

レイが言う

「そりゃ 無理してなろうとすれば なれるだろうけど… それこそ 大昔は 生まれながらの病気を持った奴ほど ウィザードになって その自然界の治癒力で病気を解除したって程だからな?」

マリアが呆気に取られて言う

「そ、そうなんですか!?」

レイが言う

「そうだぞ?しかも そいつ 確か 火の魔法を得意とするウィザードだったろ?って事は 体温だって他の奴より 1~2度高くなるんだ 体温が高いって事は 免疫だって高まるんだから それだけ病気への抵抗力が高くなる」

マリアが表情を落として思う

(…って事は ”マキのウィザード様”は 相当能力が低いって事なのかな?…でも)

マリアが言う

「…でも 今は”本物のウィザード”である ”先輩”も… それこそ ウィザードになったばかりの頃は きっと…」

レイが言う

「うん 先輩や その出来の悪いウィザードの事は どうでも良いけどさ?マリアは 今日は 急がなくて良いのか?」

マリアが衝撃を受けて言う

「はっ!」


会社


マリアが言う

「お、お早う御座いますっ!」

課長が咳払いをして言う

「うんっ …少し遅れて来たかね?マリア君?」

マリアが言う

「す、すみません…」

課長が苦笑して言う

「とは言え 君をプロジェクト企画へ 推薦したのは 当りだったな?昨日 君が用意した資料が 今 大いに注目を浴びている所だよ」

マリアが言う

「え?昨日 私が…?」

課長がマリアの作った資料を見せる マリアがそれを見て言う

「あ、はい これは 私が昨日…」

課長がもう一枚の資料を見せて言う

「そして これが今日入った ミッシェルリンク社の 数値変更… 君の資料を基として計算された所 アスト村の風力発電所が 恐らく停止したものと推測されている」

マリアが驚いて言う

「え!?それでは!?またですか!?」

課長が言う

「この事は 今日 我が社の 緊急重役会議で 話し合われる事になった マリア君 お手柄だったな?プロジェクト企画会議所か お陰で 我が社と拮抗する企業からも 一歩先を越した形だ」

マリアが言う

「え?それはどう言う?」

課長が言う

「既に ミッシェルリンク社と取引を行っている企業へ 話を持ちかけ ミッシェルリンク社にもしもの事があった際は 我が社の方で それらを補う事が出来るよう 手筈を整えていると」

マリアが驚いて言う

「え!?そ、そんなっ!?まだ ミッシェルリンク社の それらの工場などに 何か起きるとは…っ!」

課長が言う

「いや、起きてから動くと言うのは遅いものだよ 既に 話を持ちかけたそれらの企業の一部は 我が社の方へ流れている この状況なら 今もミッシェルリンク社と繋がっている企業が 我が社へ方向転換するのも 時間の問題かもしれないな?工場への心配はもちろんだが 土地の違法占拠 違法取引などの証拠は 既に取られている 何処の企業も 自社の企業イメージと言うものは 大切にするものだ」

マリアが呆気にとられて言う

「そ、そうですか…」

課長が言う

「君を推薦した私も お陰で鼻が高いよ この調子で これからも頑張ってくれたまえ マリア君!」

マリアが慌てて言う

「は、はいっ 課長っ!」


マリアが席に着いて 息を吐いて言う

「はぁ~… 驚いちゃった…」

マリアが資料を見て思う

(まさか こんな大きな事になるだなんて…)

マリアが資料をめくりながら思う

(それに いくら ダムの切欠があったにしても そこから立て続けに… それに それらの工場などの施設が 建設されたのは 短期間とは言え それでも1年から3年のスパンがあるのに それらが順不同に… やっぱり 何らかの魔力のせいなのかな?でも、ウィザード様は 風の魔力じゃなかったって… それじゃ?)


プロジェクト企画会議


社員1が言う

「それら施設にあります 機械の故障原因を確認したい所ですが 生憎 他社の工場ですので 直接 我が社が確認するなどと言う事は 出来ません …そこで 設計建設業者の方を確認した所 それらの施設は 設計業者共に 建設業者 更には部品製造会社の方も バラバラで 共通する物はありませんでした」

社員2が言う

「それはそうでしょうね 元々それらの工場の場所は 村単位で離れていますから 同じそれらの業者で 工場を建設しろと言うほうが 難しいでしょう」

社員3が言う

「では この時期に重なったその原因は?まだ確認中とは言え 恐らく今日のこちらの資料元も 廃業になるでしょう これで4件目ですよ?」

マリアが思う

(やっぱり 分からないなぁ… これじゃ この時期に一斉にミッシェルリンク社の工場なんかへ天罰が下ったって 言っちゃった方が納得出来ちゃう位…)

社員4が言う

「まぁ それらの原因は何にしろ 土地取引に関する違法性があると言う事は 確かであると言って良いだろう 従って 我が社の今プロジェクト企画からは ミッシェルリンク社を削除する」

マリアが驚くいて思う

(えっ!?それじゃ もしかしてっ!?)

マリアが資料を見る 司会役が言う

「では これからのプロジェクト企画は 少々急いで執り行いましょう この1週間 ほぼミッシェルリンク社との提携で 時間を取られてしまいました 最も それにより得られた 我が社の利益も大きいですが あくまで プロジェクト企画は 新規提携会社との新規事業契約を企画するものですから ここからは 気を切り替えまして 今プロジェクトへ 推薦したい企業がある方は 挙手を 共に出来れば 資料の提供をお願いします」

マリアがはっとして言う

「は、はいっ 他の企業で 推薦したい企業が2社ほど 資料も用意してあります!」

マリアが資料を渡しながら思う

(課長に言われていて良かった… あの一言が無かったら この資料も 破棄しちゃっていたかも しれなかったもの)

マリアが密かに微笑して思う

(課長はやっぱり 凄いなぁ…)

マリアが顔を上げて言う

「それでは そちらの企業の 紹介をさせて頂きます」


会社


マリアが席に着いて言う

「ふぅ~ 緊張したけど ちょっと 慣れて来たみたい」

マリアが思う

(…とは言っても 私が推薦した企業は それこそミッシェルリンク社とは かけ離れた業績で 後から発表された 別の企業の方が有力だったなぁ… やっぱり 何もかも いっぺんに上手く行くなんて ないよね?)

マリアが苦笑してから 資料を整理をして 思う

(さて… あ、明日は プロジェクト企画会議は休みだけど 私も また休んじゃって良いのかな?絶対休暇禁止の月曜日だけど…)

マリアが新人たちを一望して 微笑して思う

(もう 十分 3人でやって行けるんだよね?)

マリアが視線を戻して思う

(よし、それじゃ 仕事の区切りも良いし 今日はこれで…)

マリアが荷物を取ろうとして 袋に気付いて言う

「あ、そうだった…」

マリアが荷物と共に袋を取り 新人1のもとへ行って言う

「お疲れ様 調子はどう?もう時間だけど まだ皆帰らないの?」

新人1が言う

「あ、お疲れ様です マリア先輩!はいっ 今は 明日の多忙に向けて 私たち その準備中なんです!先週はバタバタしちゃったんで 今回は上手くやろうって 皆で張り切っている所ですよ!」

マリアが思う

(これなら きっと明日は 3人で乗り越えられるわ!)

マリアが微笑して言う

「そうなんだ!うん 確かに 今日のうちに準備しておくと 明日は凄く楽になるから 頑張ってね?」

新人1が言う

「はいっ 有難う御座います!頑張ります!」

マリアが頷いてから思い出して言う

「あ、後これ 昨日、有難う とっても美味しかったよ お料理上手なんだね?」

新人1が言う

「わぁ ホントですかぁ?そう言ってもらえて 嬉しいですっ」

マリアが袋を渡して言う

「それじゃ 今日は私 先に上がるね?お先に」

新人1が言う

「あ、マリア先輩っ」

マリアが疑問し手足を止めて言う

「うん?何?」

新人1が言う

「あのっ ちょっと1つだけ 教えてもらえませんかぁ!?」

マリアが言う

「うん 良いよ 何か分からない所があった?」

新人1がこっそり言う

「あ、いえ… お仕事の事じゃなくて…」

マリアが一瞬呆気に取られた後苦笑して小声で言う

「え…?ああ… 良いよ 何?また お店の紹介?」

新人1が小声で言う

「それもあるんですけど… それよりも あの… お勧めの デートスポットみたいな?」

マリアが衝撃を受けて言う

「デ…っ そ、それは…」

新人1が言う

「彼が この前のプレゼントのお礼に 私にお洋服を買ってくれるって言うんですぅ そう言う時って… どんな所がお勧めですかぁ?」

マリアが苦笑して言う

「う、う~ん 難しいね… プリトストリートとかリントストリートなんか 女の子のお洋服は一杯あるんだけど… 男の人は歩き辛いかも…」

新人1が言う

「あ、それじゃ その… マリア先輩は 普段何処へ行ってますかぁ?」

マリアが言う

「う~ん 私は 最近は行ってないから… ちょっと前までは ライトストリートだったけど 今行くのなら マキリンストリートに行きたいよ?やっぱり 新しいからね?お陰で ちょっと人は多いけど」

新人1が言う

「それじゃ やっぱり マキリンストリートですかね?お店も 大体分かってますし!」

マリアが言う

「うん そうかもね?ライトストリートは 悪くないんだけど 今頃は マキリンストリートの人気に 負けちゃってるんじゃないかなぁ?」

新人1が言う

「分かりましたぁ!有難う御座います!マリア先輩!」

マリアが苦笑して言う

「いえ どう致しまして それじゃ お先に お疲れ様!」

新人たちが言う

「お疲れ様でーす!」


会社 外


マリアが会社を出て来て思う

(あのプレゼント… そんなに高い物じゃなかったのに… きっと とっても嬉しかったんだろうな… お礼に洋服を買ってくれるだなんて 優しい人みたい… どんな人なんだろう?…そう言えば 私)

レイが言う

「マリアー!」

マリアが思う

(いつの間にか 周りはウィザードや 魔法使いの人ばっかりで 普通の男の人と 仕事以外で会ったり 話したりした事って… 無いかも… 増して デートをして 洋服を… だなんて…)

レイがマリアの顔を覗き込んで言う

「マリア?」

マリアがハッとして言う

「あっ!?ウィザード様っ!?」

レイが微笑して言う

「うん、お仕事お疲れ様!マリア!何か考え事か?」

マリアがドキッとして言う

「あっ!い、いえっ!何もっ!?」

マリアが思う

(あぁっ いけない いけない…っ 寄りによって その ウィザード様を前に ”普通の男の人って どんな人だろう” なんて 考えていただなんて…っ!)

レイが疑問して言う

「そうか?なら良いや マリア 明日は休みなのか?」

マリアが言う

「あ、はい」

レイが言う

「うん それなら どっかに行くなら 連れてってやるぞ?明日は また 誰かと何処かへ行く 予定なのか?」

マリアが一瞬呆気に取られた後 改めて言う

「あ、いえ 明日は…」

レイが言う

「それとも また 大灯魔台の灯魔儀式を見に行くのか?けど… 今度は 先輩も出ないし 退屈そうだけどな?」

マリアが思う

(あ… そうだった 明日は 大灯魔台の灯魔儀式の日で…)

レイが言う

「けど マリアが行きたいって言うなら 俺はどこでも連れてってやるぞ?」

マリアが思う

(う~ん 確かに気にはなるけど… でも そうすると また 午前中から行って 戻ってきた頃には お昼寝の時間になっちゃったりして…?それに…)

マリアが言う

「あ、あの… 明日は 止めておきます それで…」

マリアが思う

(それより今は ウィザード様に ネックレスのお礼をしないと えっと でも… どうしよう?ウィザード様に 何かプレゼントなんて… 何も思い浮かばないな… だって リナに教えてもらった物は どれも 普通の… だから やっぱり)

マリアが微笑して言う

「ウィザード様 明日の午後は 一緒にお茶を 飲みませんか?」

レイが喜んで言う

「え!?本当かっ マリア!?そいつは嬉しいな!」

マリアが苦笑して思う

(ウィザード様は やっぱり これが一番嬉しいのかな?それで…)

レイが言う

「なら 話も 明日で良いな?丁度 良かったよ!この後 話すとしたら やっぱり 食堂の時間が 気になっちゃうからさ?」

マリアが苦笑して思う

(あ、そう言えば それもあったんだった…)

マリアが言う

「はい、では その 食堂の時間 の為にも」

レイが言う

「うん!今日も 家に送れば良いのか?マリア?」

マリアが言う

「はい お願いします」

レイとマリアが風に消える


翌日 昼


マリアがリビングでTVを見ている TVからキャスターが言う

『…と言う事で これらM社が所有する2つの工場からは どちらも基準を超える 汚染物質が検出されたとの事で』

マリアが飲み物を飲みつつ思う

(これって… きっと ミッシェルリンク社の事よね…?社名は伏せられているけど)

キャスターが言う

『尚、現在 工場の方は どちらも稼動を停止しており 地元住民からの 再稼動反対の声を理由に 再稼動予定や故障している機器の修理などは 行われて居ないとの事です』

マリアが思う

(遂に ニュースで言われるようになった… こうなるとやっぱり ミッシェルリンク社と関わりのある企業なんかは 当然 取引を中止するだろうから… 今頃は 先手を打って話を持ちかけていた うちの社に 仕事が舞い込んでいるかもしれない…)

マリアが心配して言う

「大丈夫かな… 新人3人だけで… でも…」

マリアが思う

(一応 帰り掛けに 課長に聞いてみたら 新人の3人が居るから 休んで構わないって言われたし)

キャスターが言う

『更に このM社と共同で出資して建設運営されていた 2つの発電施設でも 施設の破損などを理由に 稼動を停止 片方は既に施設の撤廃を終えておりますが これら M社の関わった4つの工場 発電施設は どれも 地元住民の反対を押し切って 建設稼動された施設であるとの情報も有り 現在 警察が捜索に当っていると…』

マリアが言う

「警察が…?」

マリアが思う

(あぁ… これじゃ もう ミッシェルリンク社は発展所か 衰退しちゃうかも… とりあえず プロジェクト企画から外したのは 正解だった… 一歩間違えば うちも 巻き込まれて 損害を受けていた かもしれなかったし…)

マリアが軽く息を吐いて言う

「ふぅ~ 危なかった… さて?」

マリアが時計を見上げてからTVを消して立ち上がる


マリアが玄関へ向かいながら思う

(昨日は家に戻ってから 食材の買出しに行きたいって言うのもあったし 今日の時間が一杯有るから ”また明日”って…)

マリアが玄関ドアを開けながら言う

「時間の約束は しなかったけど きっと こうすれば…」

マリアが玄関を出て数歩行くと レイが言う

「マリアー!」

マリアが思う

(やっぱり…)

マリア微笑する レイが降り立って言う

「こんにちは だな!マリア!」

マリアが言う

「はい、こんにちはです ウィザード様 時間は この位で丁度良かったですか?」

レイが言う

「そうだな!マリアに会えるなら 俺はいつでも良いけど そんな感じかもな?」

マリアが微笑して思う

(きっと この時間なら 10時のお茶を飲んで 1時間お昼寝して 丁度良い頃かな~って… 私もお昼を食べて ゆっくり出来たし …あ、でも?)

マリアが言う

「今から また お茶を飲むと言うのも ちょっと… 早過ぎますかね?」

マリアが思う

(3時のお茶には 早過ぎるし… 灯魔儀式にも行かないって言うと…?)

レイが言う

「ん?そうかもな?なら マリアは 何処か行きたいか?連れてってやるぞ?」

マリアが思う

(何処か行きたい… か それなら 何処が良いかな?ちょっと前なら それこそ ミッシェルリンク社の工場なんかがある 村へ連れて行ってもらいたかったけど もう 警察が動いているって言うし… そもそも 休日にまで仕事の事で ウィザード様に移動を お願いしちゃうなんて …あ、そうだ)

マリアが言う

「それなら ウィザード様 何処かへ一緒に お買物に行きませんか?」

レイが言う

「一緒にお買物?」

マリアが言う

「はい」

マリアが思う

(って 言っても 何処に行ったら良いかな?お礼のプレゼントって 言ったら… えっと…?)

レイが言う

「そうか マリアがそうしたいって言うなら それで良いぞ?…で、何処へ 連れて行ったら良いんだ?」

マリアが言う

「えっと… それでは そうですね とりあえず…」

マリアが思う

(ショッピングモールなら 何処でも良いかな?でも ウィザード様と行くんだから あんまり 女の子で賑わっている所とかじゃなくて… うん、それなら)

マリアが言う

「ウィザード様 ライトストリートって通りを ご存知ですか?中央公園の近くにある ショッピングモールなんですけど」

レイが言う

「ああ、それなら 分かるよ 夜になると 色々な明かりが付いていて 空から見ると 綺麗だからな?」

マリアが思う

(あ、そっか… 今なら時期的に イルミネーションが…)

レイが言う

「マリアも見たいなら いつでも連れてってやるぞ?昼間じゃ 見られないけどな?でも、買物なら 昼間行くものか?」

マリアが微笑して言う

「そうですね では 今はお買物に」

マリアが思う

(夜景を空から見られるなんて 凄いかも …今度 連れて行ってもらおうかな?)

レイが言う

「よし、それじゃ 行くぞ?マリア?」

マリアが言う

「はい お願いします」

レイとマリアが風に消える


ライトストリート


レイとマリアが現れる レイが言う

「この通りで あってるだろ?」

マリアが言う

「はい そうです …わぁ~」

マリアが周囲の飾り付けを見て思う

(やっぱり この時期は 昼間に見ても 飾りが素敵… それに)

マリアが言う

「久し振りに来たんですが ちょっと 雰囲気が 変わったみたいです」

レイが言う

「それじゃ 行く予定だった店が 無かったりしたら困るな?」

マリアが苦笑して言う

「あ、いえ 大丈夫ですよ 特に 何処のお店に行きたいと 決めていた訳ではないので」

レイが言う

「ん?そうなのか?それじゃ 何を買うんだ?」

マリアが言う

「あ… えっと…」

マリアが思う

(ここで ハッキリ 貴方へのプレゼントです …なんて 言っちゃうのも… どうかな?それより 少し歩きながら ウィザード様に それとなく 何か欲しい物でもないかって…?)

マリアが言う

「えっと… 特に何か とは決めていないので 少し歩いて お店を見てみませんか?」

レイが言う

「歩いて 店を?そうか… 分かった マリアがそうするって言うなら それで良いや 少し歩くか」

マリアが言う

「はい」

レイとマリアが歩く マリアが思う

(あれ?でも 今 ウィザード様 何となく…?気のせい?でも もしかして…?)

マリアが言う

「あの… ウィザード様は 何か物を買う時は どうするんですか?確か 初めて行く場所には 直接 飛べないんですよね?」

レイが言う

「うん そうだな だから この通りで 何か探そうと思ったら まずは 魔法で 一度 通り抜けて 見るよ」

マリアが驚いて言う

「え!?」

レイが言う

「それで 何処に何の関係の店があるか 分かるだろ?それから移動するな …けど その移動も 魔法でしちゃうぞ?歩くのは店内位だよ」

マリアが言う

「そうなんですか… 流石 と言いますか…」

マリアが思う

(通りで 魔法使いとかって 街中で見ないかも…?あ、でもそれって 風の魔法使いである ウィザード様だから 出来るんじゃ?)

マリアが言う

「でも 普通の魔法使いさんたちは そんな魔法は 出来ないんじゃないですか?」

レイが言う

「うん、そうだろうな?」

マリアが苦笑して言う

「それじゃ ウィザード様以外の魔法使いさんは やっぱり こうして歩いて探してるんでしょうね?」

レイが言う

「う~ん… そうかもしれないけど ウィザードも魔法使いも 体力と力は無いからさ?この通りを 全部歩けって言われたら 結構 大変だな?」

マリアが気付いて言う

「あ…」

マリアが思う

(そっか… そう言えば ウィザードも それになろうとしている 魔法使いも 朝とお昼のご飯は食べないんだから 体力や力は付かないのかも…?それじゃ あんまり 歩かせたりしたら 悪いかな…?)

レイが微笑して言う

「けど マリアと一緒に歩くなら 楽しいかもしれないな?」

マリアが一瞬呆気に取られた後微笑して思う

(あ、そっか… 確かに 一人で歩くんじゃなくて こうして2人で デートなら… えっ!?)

マリアがハッとして思う

(あっ!そ、そう言えばっ この状態ってっ!?)

マリアが視線を泳がせて思う

(うっかりしてた… プレゼントをどうしようって それしか考えていなかったから…っ そ、それに この時期なんて特にっ)

マリアが周囲を見る 周囲にはカップルが沢山居る マリアが思う

(何処を見ても 男女のカップル… それはそうよね?それに きっと 私たちだって そう言う風に…っ)

マリアがちらっとレイを見る レイが周囲を見言う

「う~ん でも 歩きながら 何か探すって言うのも 難しいな?マリア?」

マリアがハッとして言う

「えっ!?あ、はいっ!?」

レイがマリアを見て言う

「うん、それなら マリアは 今 何か欲しい物は 無いのか?」

マリアが言う

「えっ!?」

マリアが思う

(あ…っ それはっ …私が 聞く予定だったのに… 思わず他の事を考えちゃってて…)

マリアが言う

「え、えっと…」

レイが言う

「この辺りは 洋服の店ばっかりだな?マリアは服が欲しいのか?それとも…?」

レイが通りの先を見る マリアが思う

(あぁ… どうしよう?このタイミングで そうじゃなくて …なんて言えないかも?それに良く考えたら やっぱり 私が考えて選ぶべきなのかな?このネックレスだって ウィザード様が そうしてくれたものだし…)

マリアが視線を巡らせつつ気付いて思う

(ん?あれ?何だろう?…周りのカップルたちが 何んだか こっちを見てる?どうして?私たちだって 貴方たちと同じ 普通のカップルに…)

マリアが疑問すると 周囲の声が聞こえる

「本物?初めて見たっ」 「本物っぽいね?」 「…魔法使い?」

マリアがハッとして思う

(そ、そっか… そう言う事ねっ!?)

マリアがレイを見て思う

(そうだった…っ 普通のカップルなんかじゃなくて ウィザード様の姿は 何処からどう見ても 魔法使いだから!…確か あの子だって 最初の時)


新人1が言う

『あの… マリア先輩 昨日… 退社時に 魔法使いの男性の方と 一緒に居ましたよね?』

新人1が言う

『わぁ すごいっ マリア先輩!もしかして あの魔法使いさんが マリア先輩の… 彼氏さんなんですかぁ!?』

マリアが困りつつ言う

『う… うぅ~ん… えっとぉ~ お、お友達… かなぁ?』

新人1が言う

『あぁ そうなんですかぁ 私、魔法使いさんも 魔法も …どちらも 見たのは初めてで 昨日は凄いビックリしちゃいましたぁ!』


マリアが思う

(そうなのよね… 珍しいんだよね… 私はすっかり 慣れちゃってたものだから 何も考えずに連れて来ちゃったけど…っ)

マリアが周囲を見る 周囲の人たちが レイとマリアを見てこそこそ言う

「魔法使わないかな?」 「見て見たいね?」 「隣に居るのは… 彼女?」

マリアが衝撃を受ける 周囲の人たちが言う

「彼氏が魔法使い?」 「彼女は魔法使いじゃないのかな?」 「くすくす…」

マリアが表情を困らせて思う

(う…っ 仕方が無いよね?魔法も 魔法使いも 珍しくて 魔法使いの彼氏や その彼女も 珍しいのよ… だから 人目を引いちゃって…)

レイが言う

「ん?どうかしたのか?マリア?」

マリアがハッとして思う

(あっ!そっかっ!それならっ!)

マリアが言う

「あの!ウィザード様はっ 普段は その… 魔法使いの格好をしてますが …普通の服とかは着ないんですか?もし…」

マリアが思う

(それこそ 普通の服を買って プレゼントすれば… 人目だって引かないで済むのだし!…た、たまには そんな服装をするて言うのも 良いんじゃないかな?…だって 私たちも 衣装として 魔法使いの格好をする事だって あるのだから その逆って事でっ!?)

レイが言う

「ああ 普通の服は着ないぞ?だって 俺は魔法使いだからさ?魔法使いの格好をしていないと いけないんだよ?」

マリアが言う

「え?魔法使いだから 魔法使いの…?」

マリアが思う

(いけないって…?それは… どうして…?)

レイが言う

「うん ウィザードも魔法使いも 魔法を使える奴は 周囲にその事を分からせる為に そう言う格好をしていないといけないんだ 法律で決まってる」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?法律でっ!?そんなっ …な、何でですか!?」

レイが言う

「だって 普通の奴と同じ格好で 魔法を使ったら 誰がその魔法を使ったか 分からないだろ?」

マリアが言う

「え?あ… はい それは…」

マリアが思う

(確かに そうだろうけど…?)

レイが言う

「もちろん 魔法で人に危害を加える事は禁止されてるから 隠れて魔法を使うような事は しちゃいけないけど だから 格好で知らせるのと一緒に 杖も 他者に魔法を放つ時には 光るんだよ 魔法を誰かに 使ってるぞ~!ってな?」

マリアが言う

「そ… そうだったんですか… でも、確かに そうですよね?魔法は とても強い力ですし?それこそ 一歩間違えば…」

レイが言う

「うん それに もし本当に魔法で人を傷付けるような事をすればさ?その魔法使いやウィザードは 一発で 死刑なんだぜ?」

マリアが衝撃を受けて言う

「し、死刑っ!?」

レイが言う

「そうそう!それこそ ちょっとした魔法でもな!だから あの清掃員の格好してた時は 結構 スリリングだったよ!だけど 俺は マリアの為なら 何時だって…っ!」

マリアが慌てて言う

「そんな危険なスリルを 味合わないで下さいっ!」


レイとマリアが歩いている マリアが視線を落として思う

(あぁ… どうしよう?魔法使いは 魔法使いの格好を していなきゃいけないなんて 知らなかったし…)

道行くカップルたちがレイとマリアを見る マリアが思う

(その格好のお陰で どうしても人目を引いちゃうのよね… だったらせめて 何処かのお店に 入ろうとも思うんだけど…)

マリアが店を見て思う

(やっぱり 難しいなぁ… それこそ お洋服の店なら 入りやすい所もあるんだけど 他って言うと…?う~ん 時計は… 付けなそうだし 携帯も …そもそも 機械が嫌いだって 言ってたし 使わないよね…?と、言うか そんなのそもそも買えないし… これは困っちゃったかも?)

レイが言う

「なぁ?マリア?そろそろ 通りの半分ぐらいまで 来たみたいだが 何か決まったか?」

マリアが衝撃を受けて思う

(いいえ まったく何も…)

レイが言う

「俺はよく分からないから ずっと 風の噂なんかを 聞いてたんだけど マリアは 特に 欲しいものが決まらないんならさ?皆が噂をしている店を見に行くか?」

マリアが言う

「え?皆が噂を…?」

レイが言う

「ああ!色んな噂が聞こえてくるけど 良い店があるって 言ってるぞ?ここからだと もう少し先なんだけど その店を見に行くか?」

マリアが思う

(あぁ… どうしよう?そのお店が どんなお店か?なんて聞くべきかな?…でも このままじゃ 何も始まらないし それなら)

マリアが言う

「…そうですね?皆がそう言うのなら それじゃ ちょっと 行ってみましょうか?何番ですか?」

レイが言う

「256だって だから ここからだと ちょっと遠いだろ?一度 魔法で行っちゃおうぜ?それで また 魔法で戻ってくれば良いだろ?」

マリアが微笑して言う

「はい、そうですね それでは そうしましょう」

レイが言う

「うん それじゃ 行くぞ?」

レイがマリアを包み 杖が光ると 2人が風に消える 通行人たちが驚く


ライトストリート256


レイとマリアが現れる レイが言う

「お?ここが256だな?」

マリアが見て言う

「はい 256番地の… わぁ こんなお店が…」

マリアが思う

(私が通ってた頃には 無かったお店だ)

マリアが言う

「新しい お店みたいです 私が この辺りで お買物していた頃には 無かったお店で」

レイが言う

「そうか 新しい店なのか それじゃ この店はどうなんだ?マリアも良いと思うのか?」

マリアがショーウィンドウを見て言う

「そうですね お店の概観も 展示されている物も… わぁ 可愛いっ!」

マリアが思う

(唯可愛いだけじゃなくて 何所と無く上品と言うか 大人っぽいと言うか… 皆が噂をするのも無理は無いって位 とっても素敵っ …だけど ここは 完全に女性のお洋服だけみたい それに もし店内に男性物があったとしても  そもそも お洋服は駄目なんだし…)

マリアが言う

「だから やっぱり…」

レイが言う

「気に入ったんなら入ったら良いんじゃないか?それに アレが可愛いって言うなら中に入ったら もっと色々あるんだろうからさ?それに 皆が 良いって言ってるし マリアなら何を着ても似合うと思うけど?」

マリアが言う

「え?あ… えっと…っ」

マリアが思う

(あぁ… どうしようかな?確かに 新しいお店だし このショーウィンドウにある お洋服も可愛いから 見てみたいけど…)

レイが言う

「悩む位なら 入って見た方が 早いだろ?ちょっと見て 嫌なら すぐに出れば良いよ」

マリアが苦笑して言う

「は、はい… えっと そうですね?」

マリアが思う

(まぁ 良いよね…?何処にも入らないより 何か見た方が ウィザード様の反応も 確認出来るし… …何より)

マリアが周囲を見る 周囲で人々が言う

「急に出てきたっ!?」 「魔法使いじゃないっ!?」 「魔法で出てきたっ!?」 「本物だっ!」

マリアが溜息を吐いて思う

(この視線と声から 逃れたい…)

レイが言う

「じゃ 行くぞ?マリア?」

マリアが言う

「はい ウィザード様」

レイとマリアが店に入る


店内


マリアが店内を見て言う

「わぁ…」

マリアが思う

(お店の概観はもちろん 店内も とっても綺麗で… それで居て高級そう ここって ひょっとして 有名ブランドの お店だったりして?えっと…)

マリアが周囲を見ていると 店員が来て言う

「いらっしゃいませ シャネールへ ようこそ」

マリアが衝撃を受けて思う

(えっ!?シャネールって 今一番人気の 新しいブランドのっ!?)

マリアがハッとして思う

(あっ そっか!ウィザード様が 皆が噂しているって言ったのは こう言う事だわっ!人気ブランド店の新店が このライトストリートに出来たってっ!それは 皆 噂もする…っ)

レイが言う

「それで マリアはどんな服が欲しいんだ?」

マリアがハッとして言う

「えっ!?えっと…っ いえ… その…っ」

マリアが思う

(どうしよう!?初めてだけどっ 見なくても分かる このお店のお洋服は きっと とっても高い…っ 例えば この可愛いブラウスだって)

マリアが値札を見て思う

(う…っ やっぱり…)

店員が言う

「そちらの棚にございますのは このライトストリート店のみの 特別色です 限定品でして 数も限られている物ですが 如何ですか?」

マリアが言う

「あ… そ、そうですね… とても 可愛いと思いますが…」

マリアが思う

(とても 買えませんっ!!)

レイが言う

「マリアはさ?どんなのが好きなんだ?」

マリアが思う

(え…?えっと どうしようっ!?う~ん… こんな時 リナやマキが居たら?…もし 一緒に来たのが ウィザード様じゃなくて… それこそ いつもの あの2人と来ていたら… きっと 3人で 可愛い可愛いって さわぎながら 試着とかして 楽しんじゃったりして?それで ちょっと 店員さんたちの目が怖くなって 追い出されちゃったりしてたっけ…?でも…?)

店員が言う

「宜しかったら ご試着をどうぞ?こちらなど如何でしょうか?お客様に とてもお似合いになられるのではと 思いますが?」

マリアが衝撃を受けて思う

(どうして 店員さんが優しいんだろう!?…私なんて 正直この お洋服を1着も買ったら 帰りの電車賃すらないって程なのに… それこそ ジャケットやコートなんて とても買えない程度の予算しか持ち合わせてないのに…)

レイがマリアを見てから周囲の客を見て 服を探してから言う

「それなら こっちの方が 良いんじゃないか?他の奴らが 皆 欲しいって言ってるが?」

レイがマリアに服を見せる マリアが言う

「わぁ… 可愛い…」

店員が微笑して言う

「はい、そちらは 当ブランドの人気商品です こちらのスカートを合わせますと 特に」

マリアが思う

(あ… ホント 可愛いだけじゃなくて ちょっとシックな感じで 素敵かも…?)

店員が言う

「こちらも どうぞ ご試着を なさってみて下さい」

マリアが苦笑して言う

「あ、そ… それじゃ… ちょっとだけ…?」

店員が言う

「はい、試着室は こちらです」

店員に連れられ マリアが向かう マリアが思う

(ここまで来たら ちょっと 試着するくらい… 良いかな?ウィザード様も 嫌そうじゃないし… それになにより… ―やっぱり着てみたいっ!…もう 怖くて 値札の確認すら出来ないけど …きっと 金額的に 絶対買えないけど …それならせめて 試着だけ…)


店員が言う

「如何でしょうか?」

試着室からマリアが言う

「は、はい…」

マリアが試着室を開ける 店員が言う

「わぁ… とってもお似合いですよ!お客様!」

マリアが苦笑して言う

「あ、有難う御座います…」

マリアが思う

(あぁ… 本当に こんな服が買えたら…)

レイが言う

「うん!良い感じだな!凄く似合ってるよ マリア!」

マリアが微笑して言う

「そう言って貰えるだけで嬉しいです」

レイが言う

「でも 今は冬だから もう少し暖かい方が 良いんじゃないか?だから そうだな?これとか付けたら?」

レイがマリアの肩にスカーフを巻く マリアが言う

「わぁ… とっても綺麗な色の…」

店員が言う

「はい とても綺麗な組み合わせだと思います 室内やオフィスでは 丁度宜しいのではないでしょうか?更に 外へお出になる際は こちらなど…」

店員が厚手のコートを見せる マリアが衝撃を受けて思う

(う…っ いかにも高そう…)

レイが言う

「なら こっちの方が 良いんじゃないか?マリアには こっちの方が合いそうだ」

レイがコートを見せる マリアが思う

(うん 確かに そっちの方が 気軽に着られそう…)

レイが言う

「だって マリアはそんなに長い間 外を移動する事はないからさ?そんなに 重そうなのじゃくても きっと平気だよ」

マリアが衝撃を受けて思う

(あ、なるほど そう言う事…)

店員が言う

「左様に御座いますね お車での移動が主であられるのでしたら そちらのコートで十分ですね」

店員がレイからコートを受け取り マリアへコートを向ける マリアが苦笑して言う

「あ… ど、どうも それじゃ」

マリアが思う

(試着だけ…)

マリアがコートを着て鏡を見る 店員が微笑して言う

「ええ とてもお似合いです!お客様!」

マリアが思わず微笑する レイが微笑して言う

「うん!やっぱ それで良いな?どうだ?マリア?」

マリアが言う

「あ、はい 凄く良いと思います… が」

マリアが苦笑して思う

(またの機会に…)

レイが言う

「それとも もっと他のを試したいか?」

マリアが思う

(う、う~んと… このお店で これ以上って言うのは ハッキリ言って ないんじゃないかな…?だって今着ているのは どれもとても良い生地だし デザインも素敵… きっと 値段を見れば一目…)

マリアが値段を見て衝撃を受ける

(う…っ!や… やっぱり…)

マリアが言う

「い、いえ …これ以上良いのは 多分無いと思うので とりあえず」

マリアが思う

(一度 考える …って言えば 良いよね?それで 考えるフリして 店を出るしか…)

レイが言う

「そうか マリアは気に入ったのか?それなら」

マリアがホッとして言う

「はい ですので…」

マリアが思う

(とりあえず 考えるって事で…)

レイが店員へ向いて言う

「じゃ これ全部で いくらだ?」

マリアが衝撃を受けて思う

(いくらだ?ってっ!!)

店員が言う

「はい、ありがとうございます それでは只今」

マリアが慌てて言う

「あ、いえっ その…っ!」

マリアが思う

(そんなっ 待ってっ!お金なんて無いからっ!それこそ このコート1着だってっ!?)

マリアがコートの値段を見て衝撃を受けて思う

(きゃぁあ!無理無理っ!絶対無理!しかも これを ”全部で” だなんてっ!)

店員が精算所へ向かう マリアが慌てて思う

(あっ!行っちゃう!?どうしようっ!? …と、とりあえず!すぐに脱いで 急いで 止めないとっ!)

マリアが更衣室を閉める


マリアが更衣室を開けて言う

「あ、あのっ!」

店員が言う

「ご試着 お疲れ様で御座いました ただいま お品物をお包み致しますので 少々お待ち下さい」

マリアが言う

「いえっ その 清算なんですけどっ」

店員が言う

「はい、只今お連れの方が」

マリアが驚いて言う

「えっ!?」

マリアが視線を向けると 視線の先で別の店員がレイに言う

「お会計は締めて24万6千…」

マリアが衝撃を受けて思う

(にっ…24万6千っ!?)

マリアが慌てて言う

「あ、あのっ!」

店員がレイに言う

「お支払いは 現金で宜しいでしょうか」

レイが言う

「ああ」

マリアの前で レイの手から魔法で25万円が現れる マリアが衝撃を受ける レイが金を店員へ渡す 店員が受け皿に受け取って言う

「はい それでは…」

マリアがレイへ言う

「あ、あのっ ウィザード様っ!?」

レイがマリアへ向いて言う

「ん?なんだ マリア?まだ 何か 欲しいんなら」

マリアが言う

「い、いえっ そうではなくてっ こんな高い物 買って頂く訳にはっ」

レイが言う

「高いのか?こんなので良いなら いくらでも買ってやるぞ?」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?」

店員が戻って来て言う

「4千円のお返しとなります」

荷物を持った店員が着て言う

「お待たせ致しました お品物で御座います お客様」

マリアが言う

「あ…っ いえ…!?でも…っ」

店員が微笑して言う

「本日お求め頂きました お洋服にも そちらの ピンクダイヤのネックレスは とてもお似合いでした どうぞこれからも当店を…」

マリアが衝撃を受けて思う

(ピンクダイヤっ!?そ、そうだったんだ!?このネックレス…っ!)

レイが言う

「後は一度 この店は出て 他の店に行っても良いし どうするんだ?マリア?」

マリアが言う

「あ、あの… 本当に良いんでしょうか?私… 買って頂くつもりじゃ…」

マリアが思う

(むしろ 私が…)

レイが言う

「え?別に良じゃないか?欲しいなら買ったら良いよ 丁度 2億のローンも この前終わって 今はのんびり 次は2,3億くらい貯めておこうかと 始めている所だからさ?数百万位なら 全然 構わないぞ?」

マリアが衝撃を受けて思う

(うっ… そうだった ウィザード様は 実は お金に困らない人なんだった… 見た目はそんな お金持ちになんか 見えないんだけど…)

マリアがレイの杖を見て思う

(一見そんな風には見えない あの杖だって1億だし… って?あっ!?もしかして!?)

マリアが店員たちを見る 店員が微笑して言う

「素敵な恋人様ですね?噂にだけ伺っておりました 魔法使い様を お見かけしたのは 初めてです」

マリアが衝撃を受け 苦笑して思う

(そっか… 高級ブランド店の店員さんともなれば 一目でピンクダイヤを見抜き… 一目で 1億の杖を持つ 魔法使い様も 見抜くのね…)

マリアが苦笑して言う

「ど、どうも…」

レイとマリアが店を出て行く 店員たちが見送りをして言う

「有難う御座いました またのお越しを」


レイとマリアが店を出て歩く レイが言う

「マリア?それで どうするんだ?さっきの 通りの真ん中辺りまで 戻るのか?」

マリアが苦笑して言う

「え?あ… えっとぉ…」

マリアが思う

(あぁ… どうしよう?…駄目だ 知らなかったとは言え ピンクダイヤのネックレスに続いて 25万円近い お洋服を買って貰っちゃった所に… その10分の1程度しか 持ち合わせのない 私じゃ… 何も… そのウィザード様へのプレゼントなんて…)

マリアがネックレスを見て思う

(確かに とってもキラキラしてると思ってたけど… それは 込められている 魔力の影響だと思ってた… でも よくよく見てみれば… ダイヤモンド… しかも ピンクの…)

マリアが苦笑溜息を吐く レイが言う

「なぁ?マリア?」

マリアが気付いて言う

「あ… はい、すみませんっ えっとぉ… それじゃ…」

レイが言う

「さっきの場所へ 魔法で戻るにしても このまま 歩いて戻るのでも 良いんだけどさ?その… …お茶の時間には ちょっと早いけど 一応買い物もしたし… マリア …少し休まないか?」

マリアが疑問して言う

「え?」

レイが苦笑する マリアが気付いて思う

(あ… そうだった 魔法使いやウィザードは…)

マリアが微笑して言う

「そうですね?お買物も 済ませた所ですし お店に入って ちょっと休憩しましょう」

レイが言う

「ごめんな… マリア」

マリアが微笑して言う

「いいえ こちらこそ 私に付き合わせて 一杯歩かせてしまって」

マリアが思う

(ウィザード様は 疲れちゃったのね?…しょうがないよね?元々男の人を 女の子のお買物に付き合わせるのは 疲れさせちゃうものだって言うし)

マリアが周囲を見て言う

「あ、それでは すぐそこに!3件隣にケーキ屋さんがあって そのお店は店内で休めるので …お茶もありますから」

レイが言う

「うん それじゃ その店へ行こう」

レイが歩き出しマリアが続きながら思う

(あ… でも 荷物もあるし やっぱり 家へ帰った方が良いかな?ウィザード様の魔法なら 電車やバスで40分以上掛かる このライトストリートからだって 一瞬だし…)

レイが言う

「そう言えば マリアは ケーキが好きなのか?この前 そんな話をしてたよな?俺たちは お茶しか飲まないけど 茶菓子って言葉があるくらいだから 普通は 何かを 一緒に食べるものなのか?それがケーキか?」

マリアが反応し軽く笑って言う

「あ、そうですね?私たちは 通常 お茶と言えば 何かを一緒に食べますね …ケーキだったり 他のちょっとした お菓子だったり」

レイが微笑して言う

「そうなのか それなら マリアはそうしたら良いよ 俺はマリアと一緒に お茶が飲めれば それで良いんだからさ?」

マリアが思う

(そうなんだ…?てっきり 一緒に居ながら 私だけ食べたりなんかしたら 悪いかと思ったけど…?)

マリアが言う

「でも、食事制限の修行をされている目の前で 食事… と言いますか 他の人が何か食べているのを見るのは 辛くはないですか?」

レイが言う

「ん?辛くなんて無いぞ?マリアは ”食事制限の修行”って言うけどさ?俺は別に 食べたいと思わないから 食べないだけだし」

マリアが思う

(え?そうなの?…それじゃ)

マリアが言う

「そうなんですか?では 苦行の1つでは ないんですか?」

レイが苦笑して言う

「苦行なんかじゃないよ 大体 自分が苦しい状態じゃ 自然の力を取り入れる余裕なんて無いだろ?あいつらは繊細だから こっちが 何でも受け入れてやるくらいの 余裕がないと 感じられないんだよ」

マリアが思う

(何でも受け入れるくらいの… あ… そうだ… そんな感じ ウィザード様も …そう、あの”お母さんのウィザード様”も 2人共 そんな感じがする)

レイが立ち止まり 店を見て言う

「ここか?マリア?」

マリアが気を取り直して言う

「あ、はい そうです では…」

マリアが思う

(そっか… だから 2人と接する時って 何となく…)

マリアが微笑する 新人1の声がする

「…マリア先輩?」

マリアが一瞬驚き声の方へ顔を向け驚いて言う

「え?あっ ど、どうしてっ!?」

新人1が言う

「やっぱりっ!」

マリアが驚いたまま居ると 新人1が駆け寄って来て言う

「すごーいっ!偶然ですぅ!マリア先輩っ!」

マリアが驚いて言う

「え?ど、どうして!?今日は… エミリィちゃんは お休みじゃないよね!?」

マリアが思う

(だってっ つい先日2日間も 続けてお休みを…っ!?)

新人1が言う

「はいっ 今日は 臨時で休暇を 頂いちゃいましたぁ!」

マリアが言う

「臨時って…っ」

マリアが思う

(そんな 本当に?だって…っ 今日は 絶対休暇禁止の月曜日…っ!?しかも お昼に見たTVニュースで ミッシェルリンク社の事が 取り立たされていて…っ きっと 今頃っ!?)

マリアが不審そうに言う

「…課長は 良いって…?」

新人1が言う

「実は!昨夜!急に彼が お休みを取れたって言うもので!約束していた デートに行かないかって 連絡をくれたんです!それで!」

マリアが心配して言う

「でも…っ」

マリアが思う

(あ… でも もちろん会社へは 連絡してあるんだよね?それに 課長は 必要なら連絡をしてくれる人だし… なら 大丈夫って事かな…?)

新人1が言う

「もしかして… マリア先輩たちも デートですかぁ!?」

マリアが一瞬呆気に取られて言う

「え?…あっ!」

マリアがレイを見てから新人1を見て言う

「いや… そんなっ!」

新人1の横にフランツが来て言う

「彼女が マリア先輩?君が良く話している」

マリアがフランツを見る 新人1が言う

「あ、マリア先輩 紹介します!私の彼… フランツ・ハービットです!」

フランツが微笑して言う

「初めまして マリアさん」

マリアが慌てて言う

「は、初めましてっ マリア・ノーチスです」

フランツが言う

「お話は良く伺ってます 後輩の彼女の面倒を よく見て下さる 素敵な先輩であると」

マリアが言う

「あ、いえ… そんな… 同じ部署の先輩として 仕事を教えているだけで」

フランツが微笑して言う

「いえ、それだけに留まらず 彼女の我が侭に付き合って 仕事以外の 買物にアドバイスを下さったり この町の事を知らない彼女に 店の案内などもして下さったそうで?」

マリアが苦笑して言う

「はい… でも そんな 大した事では」

フランツが言う

「とても 良い先輩だと …私も 今 お会いして お話通り 素敵な女性だと 感じました」

マリアが呆気に取られ慌てて言う

「えっ!?いえっ そんな…っ」

マリアが困って思う

(褒めてもらってる… って言うのは 分かるけど… でも… 恋人の彼女の前で そこまで他の女性を 褒めるものなの…?なんだか 悪いみたいだけど…?)

マリアが新人1を見る 新人1が言う

「そうでしょぉ!?マリア先輩は ホントに 素敵な先輩なのぉ!仕事も凄い出来る人で!細かい事にも 良く気が付いてくれて!」

マリアが苦笑して思う

(あぁ… あんな風に 普段も話してるのかな…?だから 余計… その話を聞いていた彼が…)

フランツが言う

「ちなみに、そちらの彼は…?」

マリアがハッとしてレイを見る レイがマリアを見る フランツが言う

「そんなマリアさんの …恋人でしょうか?」

マリアが衝撃を受けて言う

「えっ!?」

フランツが言う

「見た所… 魔法使いか何かの様な お姿ですが 本当に?」

マリアが言う

「あ、はい…っ」

新人1が言う

「フランツ!彼は 本物の 魔法使いさんなのよっ!私 初めて見た時 ビックリしちゃったぁ!マリア先輩と一緒に 目の前から パッて 消えちゃってぇ!」

フランツが言う

「それは凄いですね 私も 初めて目にしました」

マリアが言う

「あ、そ… そうですね 余り 見掛けないですからね」

フランツがマリアへ言う

「それで 彼の お名前は?」

マリアが呆気にとられて言う

「えっ!?あ…っ」

マリアが思う

(名前…っ そ、そっか こう言う時は お互い紹介し合うって言うのが… でも 私は…っ)

マリアが困ると レイが言う

「魔法使いの名前は お前たちには 教えられないんだよ」

フランツが言う

「え?」

マリアが一瞬驚いた後 言う

「あ… そ、そうなんですっ すみませんが そう言う… …決まりなのでっ」

マリアが思う

(ウィザードだけじゃなくて それになろうと言う 魔法使いもそうなんだ?…し、知らなかった でも、そうよね?そうじゃなきゃ…)

フランツが言う

「あぁ そうなんですか… それでは こちらこそ 失礼しました マリアさん」

マリアが慌てて言う

「あっ い、いえっ!」

フランツが微笑して言う

「それで、本日は お2人で デートの途中ですか?」

マリアが衝撃を受け言う

「いえ… その… 私が お買物に誘っただけで」

フランツが疑問して言う

「お買物に…?こういった場所で 恋人と2人で お買物をしながら 過ごすと言うのなら…」

マリアが困って言う

「えっと… その…」

マリアが思う

(あぁ… どうしよう?恋人じゃないけど 異性の友人と こういう所に お買物に来るって言うのも デートって言うの?…でも)

新人1が言う

「マリア先輩と 魔法使いさんは 恋人ではなくて~ ”お友達”!なんですよねぇ?マリア先輩?」

マリアが衝撃を受け困って言う

「えっ!?あ… う…」

マリアが思う

(で、でも… どうなんだろう!?私はそう思っては居ても でも… ウィザード様は 私に 高価なネックレスやお洋服を買ってくれて… それに 毎日会って 休日だって… それに 私の為にって 色々 …そ、それから ”大好きだよ”って… それなのに 私が ここで 恋人って言葉を 否定してしまっても…っ?…だけど やっぱり)

マリアが苦笑して言う

「”お友達” …ですから」

マリアが思う

(…しょうがないよね?だって… 私 ハッキリ そう… 告白… されてないし…)

マリアがレイを見る レイが微笑する マリアが思う

(あ… だ、大丈夫… だったみたい?)

マリアがホッとする フランツが言う

「お友達でしたか… そうですよね?分かります」

マリアが疑問して思う

(え?分かるって?)

フランツが

「では こんな所で 立ち話もなんですから 宜しかったら 店にでも入って お話をしませんか?」

マリアが驚いて言う

「えっ!?いえっ そんな…っ」

新人1が呆気に取られる マリアが苦笑して言う

「そちらこそ デートの途中ですよね?折角の時間を お邪魔しては 失礼ですから」

新人1が微笑してフランツを見ると フランツがマリアへ微笑して言う

「いえ、お気になさらずに 是非」

新人1とマリアが呆気にとられて言う

「「え…っ?」」

新人1とマリアが思わず顔を見合わせる フランツが言う

「今日は朝からずっと2人で話をしていて そろそろ 一息入れようと思っていた所です ちょっとした気分転換にもなりますので …それに 彼女も マリアさんを交えて お話している時の方が 私と2人きりの時より 気が安らいでいる様です やはり まだ緊張しているのでしょう …ですので どうか こちらこそ お願いを致します」

マリアが新人1を見てから思う

(え?そ、そうなのかな…?そんなに 緊張しているようには見えないけど…?でも 今は確かに4人だから …それに 慣れない2人きりは ちょっと気まずくなっちゃうっていうのも… 分からなくは無いし… どうしよう?…あ、それより むしろ ウィザード様は?人が多いのは…?)

マリアがレイを見る レイが言う

「俺は マリアが良いなら それで良いぞ?」

マリアが思う

(こういう時も… やっぱり そうなのね?)

マリアが苦笑する フランツが新人1へ向いて言う

「君も その方が 良いだろう?」

新人1が慌てて言う

「え?あ… う、うんっ!私もっ!フランツと同じよっ?」

マリアが苦笑して思う

(あ… でも きっと 彼女は本当は…)

フランツが言う

「では そう言う事で …お店は こちらで宜しいですか?少しこちらへ戻った場所に もう少々 上質なお店が有りましたが?そちらへ参りましょうか?マリアさん?」

マリアが一瞬呆気に取られて思う

(少しセンターへ戻った所に… って言うと…?あっ!ひょっとして!?あの高級スウィーツのお店っ!?)

マリアがハッとして思う

(でも 今なら…?マキやリナと一緒に居た 昔とは違って ウィザード様と一緒の今なら 高級店でも… って)

マリアがレイへ向けていた視線をはっと戻して思う

(だ、駄目駄目っ!な、何考えているの私…っ!?今度はちゃんと 自分で払わなきゃっ それに… そうだっ ウィザード様は 今、休憩したいって…っ)

マリアが微笑して言う

「い、いえ… こちらで良いと思います …近くですし?」

フランツが微笑して言う

「そうですか では こちらへ入りましょう …さ、どうぞ?」

フランツがドアを開けてマリアへ向く マリアが呆気に取られつつ言う

「え?あ… 有難う御座います…」

マリアが入ると フランツが新人1を見る 新人1がフランツの視線に微笑を返してからマリアへ続く レイがフランツを見る フランツが笑む レイが疑心してから店に入る


店内


4人が席に座る 新人1が言う

「このお店 可愛いですね!マリア先輩!?」

マリアが言う

「うん そうだね」

新人1がメニューを見て言う

「わぁ スウィーツの種類も 一杯あるみたい!」

フランツが言う

「好きな物を 頼むと良いよ ご馳走するから」

新人1が言う

「え?ホントぉ?嬉しい!」

マリアが苦笑する フランツがマリアへ向いて言う

「マリアさんもどうぞ?ご馳走しますよ 飲み物だけではなく お好きな物を」

マリアが言う

「あ、いえ そんな 申し訳ないですから」

フランツが言う

「こちらが無理を言って 誘ったのですから これ位 ご馳走をさせて下さい」

マリアが思う

(あぁ… どうしようかな?元々休憩する予定だったし それに 初めて会った人に…)

フランツがレイへ言う

「魔法使いさんも 折角ですから?」

マリアが反応する レイが言う

「俺は良いよ 別に お前たちに 付き合っている訳じゃないからな」

フランツが苦笑して言う

「…そうですか では 無理にとは言いません」

マリアが微笑して言う

「あ、私も…っ 誘って頂いたのですから!…それに 私、こう見えても 彼女の先輩ですからね?こう言う時は 支払う側であるべきだと思いますので!ですので… 今は その分は 彼女の方へ」

マリアが新人1を見て微笑する 新人1が呆気に取られた状態から微笑して言う

「やっぱり マリア先輩って 大人ですよねぇ!」

フランツが微笑して言う

「そうだね 本当に 素敵な先輩を持ったね?君は」

マリアが微笑して思う

(あ… 良かった 上手く断れたわ …言い方はキツイけど ウィザード様のお陰で…)

マリアがレイを見る レイがメニューを軽く見てから椅子に身を静める マリアがその様子に微笑してから ホッとしてメニューを見て思う

(そう言えば このお店 前には良く 3人で来たんだっけ?それで… そう言えば ケーキの種類は多いけど お茶は2種類しかなくて)

店員が来て言う

「ご注文はお決まりでしょうか?」

フランツが言う

「ホットコーヒーを」

店員が言う

「はい」

新人1が言う

「あ~ん 迷っちゃう どうしようかなぁ?マリア先輩 決まりましたかぁ?」

マリアが言う

「あ、うん …えっと ガトーショコラを1つと…」

マリアがレイを見て言う

「紅茶で良いですか?」

レイが言う

「うん」

マリアが店員へ向いて言う

「紅茶を2つ お願いします」

店員が言う

「はい」

マリアが新人1へ向いて言う

「決まった?」

新人1が言う

「えっとぉ それじゃ 思い切って プリンアラモードと …メロンソーダで!」

店員が言う

「はい 畏まりました」

店員が立ち去る マリアが思う

(プリンアラモード… 懐かしいなぁ マキが大喜びで注文したっけ…?プリンが2つも付いてておっ得~!なんて はしゃいでたっけ?懐かしいなぁ…)

マリアが微笑する フランツが言う

「マリアさんは」

マリアがハッとして言う

「は、はい?」

フランツが言う

「この町の大学を 出ていらっしゃるそうですね?専攻の方は?」

マリアが言う

「あ、はい 経営経済学部です」

フランツが言う

「ほう… それは凄いですね?そう言った事に ご興味が?」

マリアが言う

「はい… 少し …でも 今の仕事では 余り生かされていませんが それでも 今の仕事は とても遣り甲斐を感じているので」

フランツが言う

「お仕事は あちらの会社ですと 企業の仲介業務がメインですよね?製造業も多少はしているようですが」

マリアが言う

「はい そうですね」

フランツが言う

「他の会社同士を 結び合わせる と言うお仕事が…?」

マリアが言う

「はい、双方の会社が上手く行くようにって 様々な資料を集めたり 時には少しお説教したり… ただの仲介業と言っても 遣り甲斐があるんですよ?」

マリアが微笑する フランツが微笑して言う

「そうですか なるほど 実は奥の深い 職種なんですね?考えを改めさせられます」

マリアが苦笑して言う

「…と言っても 本当に頑張って 良い物を作ったり それを必要とする人へ渡すのは それらの各企業ですから 私たちは それを ちょっと お手伝いしているだけだと 思ってます」

フランツが言う

「いや、そんなことはありませんよ 良い会社へ 相応の会社を結びつける …とても 大切な職種だと 痛感しました マリアさんのお陰です」

マリアが苦笑して言う

「え…?いえ、そんな…」

フランツが言う

「と、なりますと… やはり 今 御社のライバル社と言うのは ミッシェルリンク社ですかね?」

マリアが思う

(ミッシェルリンク社ね… 確かにそうだったけど)

マリアが苦笑して言う

「いえ、もう あちらの会社は…」

マリアが思う

(…ん?あれ?)

マリアがふと 新人1の表情に気付き言う

「あ、いけない つい…」

フランツが気付き苦笑して言う

「…ああ、失礼しました まるで 商談の様でしたね?」

マリアが苦笑して言う

「いえ、私も…」

フランツが言う

「マリアさんがそれだけ 今の会社を大切にされている と言う事は よく分かりました」

マリアが言う

「そうですね 大切にしています」

マリアがふとレイを見る レイが微笑する マリアが微笑する フランツが2人を見る 店員が来て言う

「お待たせ致しました」

店員が配膳する 新人1が自分の前に置かれたプリンアラモードに喜んで言う

「わぁ 美味しそう!」

マリアが新人1を見て微笑し 自分の前に置かれたガトーショコラを見て思う

(ああ… 懐かしいな… あの時リナが食べていて なんだか 大人っぽく見えたのよね …あの時の私は まだ 苺ケーキだったから)

マリアが苦笑して紅茶を見て思う

(このお店の飲み物は 皆カップやグラスに入れられた状態で 出されちゃうから 今日は ウィザード様の 魔法の紅茶は お預けになっちゃった… ちょっと残念だけど)

マリアがレイを見る レイが紅茶を飲んでいる マリアが思う

(…たまには しょうがないよね?)

マリアが紅茶を一口飲み苦笑してから ガトーショコラにフォークを当てる マリアがガトーショコラを食べて思う

(あ… やっぱり チョコレートケーキとは違って 少しカカオの苦味が… でも そんなにキツくないかな?紅茶を一緒に飲んだら 丁度良いって 感じで…)

マリアが紅茶を一口飲んでホッとして思う

(リナはホットコーヒーを飲んでたけど… 私にはやっぱり 紅茶の方が良いみたい …それに 魔法の紅茶じゃなくても …2人きりじゃなくても …ウィザード様と一緒に 同じ紅茶を…)

フランツが言う

「それにしても」

マリアがレイへ向けようとしていた視線をフランツへ向ける フランツが微笑して言う

「何故 本日は 魔法使いさんと お買物を?」

マリアが呆気にとられて言う

「え?」

フランツが苦笑して言う

「ああ… そう言えば 今日は月曜日でしたね?別の会社に勤めている お友達とは 休日が合わなかったのですか?」

マリアが言う

「あ… いえ… 特にそう言う訳では…」

フランツが苦笑して言う

「折角 シャネールの新店へ 向かわれたのでしたら 他の方の方が お連れとしては 宜しかったのでは?」

マリアが疑問して思う

(え?それは 一体どう言う意味?…あ、女性服専門店だから 女友達と行くべきだって事かな…?)

マリアが言う

「えっと… 確かに女性服の専門店ですが 店内には その女性客の連れとして 男性の方も 同数いらっしゃいましたよ?」

マリアが思う

(そうそう むしろ 女性同士で来ている人の方が 見当たらない位だった…)

フランツが言う

「確かに 店内はその様な様子でしたね?先に行った マキリンストリートの同店には 女性同士のお客が多かった様ですが… ストリートの特色と言った所でしょうか?落ち着きのある こちらのライトストリートの方は」

新人1が言う

「あ、マリア先輩!フランツは ファッション関係の お仕事をしてるんですぅ!」

マリアが納得して思う

(あぁ… そう言う事?だから ファッション店の事にも詳しくて… でも それとこれとで なにか…?)

フランツが言う

「ええ、そんな訳で 今日は 午前中はマキリンストリートのファッション店を 彼女の希望で …午後は 私の希望で こちらのライトストリートのファッション店 特に シャネールの新店を 確認しておきたかったのです」

マリアが言う

「あ、それじゃ 店内はもう ご覧になったのですよね?」

フランツが言う

「はい、このストリートに到着して 最初に向かいましたから …しかし もう少し待ってから向かえば 良かったですね?そうすれば マリアさんが ご来店した時と重なって 直接 シャネールの洋服を マリアさんが 身に纏っていらした姿を 目に出来ましたでしょうに 残念です」

マリアが思う

(あぁ… なるほど 展示してある状態じゃなくて 実際に人が着ているのを見たかったって事ね?…ん?それなら…?)

マリアが言う

「それでしたら 彼女にモデル役を お願いしたら良かったのでは?」

新人1が言う

「あっ!私も モデルって言うか… ちょっと 着てみたんですけどぉ」

フランツが苦笑して言う

「シャネールは… 丁度 マリアさんの様な 大人の魅力がある方ではないと」

マリアが驚いて言う

「え?いえ…っ そんなっ!?」

マリアが視線を泳がせる フランツが微笑して言う

「ご購入をされているのですから きっと とてもお似合いだったのでしょう?」

マリアが思う

(あ… そ、そっか… 似合わない物を 買うなんて事… 増して 高級ブランドなんだから…)

レイが紅茶を飲み干して言う

「ああ、すげぇ 似合ってたよ 服の仕事をしてるって言うなら お前にも 見せてやりたい位だったな?店内に居た どの女よりも 似合ってたよ」

マリアがレイへ慌てて言う

「そ、そんなっ 褒めすぎですよっ」

マリアが思う

(ウィザード様っ!)

レイがマリアを見て言う

「俺は そう思ったよ?マリアに どれが良いかな?ってさ 周りを見てたから 良く知ってるんだ」

マリアが言葉に詰まり頬を染めつつ思う

(そ、そんな 素直に言われたら…っ もう誤魔化せないし…っ ど、どうしよう?ウィザード様に そう言ってもらえたのは 嬉しいけど…っ 人前で…っ)

フランツが苦笑して言う

「どうやら 相当 素敵だった様ですね?惜しい物のを 見逃しました」

マリアが言う

「いえっ そんな… それよりその…っ」

マリアが思う

(何か話題を…っ)

マリアが視線をめぐらせると フランツが言う

「マリアさんは とても謙虚ですね?その様な女性は 実に好感が持てます」

マリアが苦笑して言う

「あ…」

マリアが思う

(謙虚だと思うなら もうそれ以上 褒め言葉とかは… 私、人にそう言う事を言われるのが 実は苦手で…)

マリアが言う

「ふ、普通だと…」

フランツが苦笑して言う

「では 尚更 分かりませんね?何故… それこそ 普通の男性ではなく 魔法使いさんと?」

マリアが言う

「え?」

マリアが思う

(今度は… どう言う意味?)

フランツが言う

「普段も彼と デートを… いえ、お買物などを されているのですか?他にも… 例えば何処かへ遊びに行ったり なども?」

マリアが言う

「え、えっと… お買物は 初めてですね 遊びに… は 行った事が…」

マリアが思う

(あ、もしかして 今度は 私じゃなくて ウィザード様の事を 知りたいとか…?)

フランツが言う

「あぁ… では 付き合いは短いのですか?最近お知り合いに?」

マリアが言う

「い、いえ… それ程 長くはないですが… 最近と言う訳では 無いですね 遊びではないですが 一緒に…」

マリアが思う

(あぁ… でも 灯魔儀式とか言っても 分からないだろうし… どう言ったら?)

新人1が言う

「あれ?でも 休日はいつも 魔法使いさんと 一緒に 何処かへ行った って言ってましたよね?えっとぉ… なんだっけ?何とか~儀式?」

フランツが言う

「儀式?」

マリアが苦笑して言う

「あ… はい…」

マリアが思う

(あぁ… 色々聞かれていた時に 思わず口を滑らせた事を… 良く覚えているなぁ…)

フランツが苦笑して言う

「儀式… ですか… なるほど 魔法使いさんらしいですね?それは… 何か 悪魔祓い 的な?…フッ クック…」

フランツが失笑を堪える マリアが苦笑して言う

「え、えっと… 悪魔祓い… ではないですけど…」

マリアが思う

(あぁ… これじゃ きっと 説明しても無理かな…?アウターとかって言葉までは 普通かもしれないけど 結界を張ってるとか 灯魔台なんて言葉は 私だって…)

フランツが言う

「いえ、失礼しました 魔法使いさんにとっては きっと 何か 大切な事… なのでしょうね?それで マリアさんは その… 儀式 を一緒に見て 面白いのですか?」

マリアが言う

「え?あ… 面白いと言うか… …遊びではないので 真剣に 無事を お祈りしてます」

フランツが言う

「ああ… なるほど しかし、魔法使いではない マリアさんが それでも 魔法使いさんたちに付き合って その儀式の無事を お祈りすると言うのは… やはり マリアさんらしいですね?とても お優しくて」

マリアが言う

「…え?」

マリアが思う

(どうなんだろう…?確かに 私は魔法使いやウィザードじゃないけど でも 灯魔儀式で作られる結界は そんな 私たちの事だって 守ってくれている大切な物なんだから… そのための 儀式の成功を祈るのは 当然なんじゃ…?)

フランツが言う

「しかし、たまには そう言った事への お祈りの他にも 休暇を楽しんでみては如何ですか?今日の様に お買物も 良いかもしれませんが それ以上に… もっと普通の …そうですね 例えば 映画を見たり ドライブをしたり …そう言った事をなさってみては?」

マリアが言う

「あ… はい… そ、そうですね…?」

マリアが思う

(確かに デートって言ったら 普通 そう言う事よね…?でも 私とウィザード様だと なんだか 全然 現実味が… …って そもそも 私とウィザード様は!?)

マリアが苦笑する フランツが苦笑して言う

「そう言う普通の事をする と言うのは… やはり 魔法使いさんには 難しいのでしょうかね?」

マリアが驚く フランツがレイを見る レイが言う

「車の運転なんかは 俺は出来ないけど 映画なら ただ見れば良いだけだろ?マリアが そうしたいって言うなら 俺は一緒に行くよ」

マリアが思う

(あ… そうなんだ?ドライブは分かるけど ウィザード様が 一緒に映画を見てくれるなんて 考えた事も無かったかも… でも 確かに ”ただ見れば良いだけ”よね?一緒に…)

フランツが言う

「ああ そうですか?では これから 向かいましょうか?マリアさん?」

マリアが驚いて言う

「へ?」

フランツが言う

「お茶も飲み終わりましたし お買物も終わっている様でしたら 今度はそちらへ ご一緒をしましょう?」

マリアが言う

「え?いえっ!?だって そちらは デートの途中では?」

マリアが新人1を見る 新人1が呆然としていた様子からハッとする マリアが思う

(ほら… 私とばかり 話していたから 彼女だって…)

マリアが微笑して言う

「お茶の休憩も終わりましたし そちらは その… デ、デートの続きを…」

フランツが言う

「はい、デートの続きと言う事で これから映画にでも と 思っていたのですよ ですから 折角ですし そちらまで ご一緒しましょう?」

マリアが言う

「え、え~と…」

マリアが思う

(ど、どうしよう…?)

マリアが新人1を見る 新人1が呆然としていると フランツが言う

「君もそうしたいだろう?折角 ここでマリア先輩と 会えたのだから 次の映画まで ご一緒したいと?」

新人1が呆気に取られた後喜んで言う

「あ、う、うん!そうね!私もそう!フランツと同じよ!?マリア先輩!一緒に!映画を見に行きましょうよぉ?」

マリアが表情を困らせて思う

(あぁ… あんな風に言われたら そう言うしかないよね?それに 私も これじゃ 断れなくなっちゃったなぁ… ウィザード様は 私次第だろうし… 私は…)

マリアがちょっと考えてから思う

(確かに 男の人と映画に行く… その… デ、デート みたいな事に 憧れが無かった訳じゃないけど… でも、ウィザード様と 映画に行くなんて 考えた事は無かった …だけど 確かに これは …ちょっとだけ 嬉しい…かな?あ、でも?ウィザード様は 機械が嫌いで TVだって分からない人で… 大丈夫かな…?)

マリアがレイを見る レイがマリアを見て言う

「俺は 話だけで 実際に 見た事は無いんだけどさ?そんなに 面白いものなのか?」

マリアが苦笑して言う

「あ… は、はい!面白いかどうかは 作品次第かもしれませんが… 映画館って言うのは ちょっと独特ですから?そう言う意味でも 少し面白いかもしれませんね?」

マリアが思う

(もしかしたら ウィザード様は そんなに嫌ではないかな?)

フランツが言う

「真っ暗な部屋の中で 椅子に座って スクリーンに映される映像を 見ているだけですよ?」

レイが言う

「そうか なんだか退屈そうだけど マリアが居るなら 俺は それで良いぞ?」

マリアが苦笑して言う

「はい では… 折角の お誘いですし そちらまで ご一緒しましょうか?」

マリアが思う

(大体 映画なら 元々2人きりのデートも 何もないものね?それなら …そこまでなら ご一緒しても良いかな?)

フランツが微笑して言う

「では 参りましょう マリアさん」

マリアが言う

「は、はい…」


映画館


映画が上映されている 椅子に座っているマリアが周囲を軽く見て思う

(やっぱり 平日の昼間の映画館なんて言うと こんな感じなのね… なんて言うか…)

マリアの視線の先 少ない観客たちが 映画をそっちのけで カップルでイチャ付いている マリアが苦笑して思う

(まぁ… しょうがないのかな?あれもデートならではの 映画の楽しみ方って言うか… 周りが暗いから 皆 恥かしげもなく そんな事…)

マリアがスクリーンを見る スクリーンの中主人公が言う

『ここで 僕が行かなければ 君を守る事が出来ない 分かってくれ』

ヒロインが言う

『嫌よっ!ここで分かれたらっ 私たち もうっ…!』

主人公が言う

『どうか 僕の分も幸せに… 君は生きるんだ!』

ヒロインが言う

『そんなの無理よ!貴方が居ない この世界で 私は幸せになんか なれないわっ!』

マリアが思う

(そうよね そんなの勝手よね?私もそう思う… きっと リナも…)

マリアが一度視線を落とす 隣の方で咽び泣く声が聞こえ マリアが顔を向ける マリアの視線の先 新人1が泣きながらスクリーンを見ている マリアの隣ではフランツが 普通に見ている マリアが思う

(彼女が泣いているんだから… 何か… 優しくしてあげたら良いのに…)

マリアが軽く息を吐きスクリーンを見る スクリーンの中 主人公とヒロインが抱き合っている所に 大量の怪物が押し寄せる 主人公が言う

『さあっ!ここは 僕に任せてっ!君は行ってくれっ!』

ヒロインが言う

『必ず帰って来てっ!私、待ってるわ!貴方が帰ってくるまでっ!絶対に待っているからっ!』

主人公がヒロインへ振り向いた状態から 正面へ向き言う

『ありがとう そして… さようなら』

新人1が声を漏らしてなく

「うっうっ…ぐすん ひっく…」

マリアが苦笑して思う

(確かに 彼女の為に… 世界の為にって あの怪物の中へ 1人で立ち向う主人公は 素敵かもしれない けど… 何だろう?なんて言うか… もちろん 私も ストーリーは良いと思うんだけど… その…)

マリアがスクリーンを見る スクリーンでは主人公の前に沢山の怪物が居る 主人公が必死に逃げる マリアが思う

(うん… そうなのよ… あの怪物なんだけど… その… …それこそ ウィザード様が居れば …魔法で 一撃なんだけどなぁ… なんて…?)

マリアが苦笑する マリアの左肩に何か当たり マリアが疑問して顔を向けると レイがマリアの肩を枕に寝ている マリアが苦笑して思う

(…そうですよね?詰まんないですよね?眠くなっちゃいますよね?ここまでの間に 主人公の仲間たちが 一杯死んじゃいましたけど…)

マリアが思う

(ウィザード様が居れば… ―それこそ 誰1人 死ななかった ですからっ!!)

マリアが苦笑してスクリーンを見る スクリーンでは主人公が怪物に囲まれピンチな状態が映されている マリアが思う

(この状態だって… ウィザード様が居れば この主人公を連れて 彼女のもとへ お得意の風の移動魔法で すぐに連れて行ってあげられるのに…)

マリアが欠伸を噛み殺して思う

(あぁ… なんだか そんな風に考えると 私まで 眠くなって来ちゃった… …でも 折角 映画に誘ってもらったのに その 彼の隣の席で 寝ちゃう訳には…)

マリアが視線を泳がせると 視線の先 カップルたちが皆イチャイチャしている マリアが苦笑して思う

(う~ん… やっぱり そう言う事が目的の人たちにとっては この状況って… 丁度 良いのかなぁ?音も大きいし… 暗いし…)

マリアが眠そうな目で 視線落とし軽く息を吐いて思う

(はぁ~… 駄目… もう スクリーンへ向く事も…)

マリアが眠りそうになると マリアの身体が両腕に抱かれる マリアが一瞬驚いて顔を向けると レイがマリアに抱き付いて来る マリアが驚いて思う

(ヴィ、ウィザード様っ!?うそっ!?まさか ウィザード様までっ!?って …あ、あれ?)

マリアが疑問してレイを見ると レイが眠っていて言う

「… ん… マリア…」

マリアが呆気に取られてから思う

(ね、寝てる…?なんだ びっくりした… えっと…っ)

マリアが困って視線をめぐらせる 視線の先には カップルたちの状態が映る マリアが気を落ち着かせて思う

(…でも これなら… この状態なら?人前ではあるけど …大丈夫 かな?だって 皆 同じ様な感じで… それに…)

マリアがレイを見てから苦笑して思う

(何だか この腕の中に居るのって 凄く久し振りな気がする… 何でだろう?ちょっと前までは 会う度に いつも こんな感じで マリアー!って?…あ、そっか… 私が…)

マリアが微笑して思う

(私が いつも 人前では 恥ずかしいからって… 会社の前も お家の玄関の前も… だから 玄関の中にしようとしたんだけど… なんだか それも いつの間にか…)

マリアがレイの感触へ意識を向けつつ思う

(そうだった… 今日だって 本当は ちょっとだけ お買物へ行って その後は 3時のお茶を お家で… また こうやって ”仲良く” 一緒に お茶を飲もう って… そう思っていたのに…)

マリアが微笑して思う

(そっか… 私… 人前では恥ずかしいけど… それこそ 抱き付いてくる ウィザード様の前でさえ 恥ずかしいと思っちゃうけど… 私は 本当は… ウィザード様に こうしてもらえるのが …好き …なのかもしれない だって… とっても…)

マリアが微笑し右手でレイの腕に触れようとすると フランツがレイの腕を叩く マリアが驚くと レイが目を覚ましマリアを見てから言う

「うん…?あ… ごめん… マリア…」

マリアが思わず言う

「あ…」

レイが自分の席に落ち着き 一人で眠りに付く マリアがレイを見たまま思う

(え…?どうして?周りでは 他の人も 同じ様にしてるんだから… あのままでも…)

フランツが小声で言う

「大丈夫ですか?マリアさん?」

マリアがハッとして振り向く フランツが微笑して言う

「絡まれてしまいましたね?」

マリアが言う

「あ… いえ…」

フランツが微笑して軽く頷いて見せてから スクリーンへ向く マリアが思う

(あ… そっか… 恋人でもない人に 抱き付かれて 困ってるって… 気を使ってくれたんだ… お礼… 言わなきゃ だったかな?…でも)

マリアがレイを見る

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