君の手
『仙道企画その1』応募作品です。
仙道アリマサ様。企画ありがとうございます。
音楽が背景に流れていて、詩を朗読するイメージです。
初めて握った君の手
小さくて驚いた
私の手にすっぽりとつつまれて
こんなに脆いものをどうやって守るのか
途方にくれたっけ
3年たった君の手
ギュッと私の手を握る
汗ばんでいつもしめっているね
リュックには紐をつけるよ
紐と右手を同時に握った
駆け出して車に轢かれないように
6年たって小学校
送っていくと言ったのにいらないという
1人で走ってっちゃった
揺れるランドセルを
2階のベランダから眺めたの
「いってらっしゃい」
小さく手を振ったけど
一度も振り返らなかった
10年たてばもう
握ってくれと言っても無理だよ
たまに頭をわしゃわしゃすれば照れ笑い
私の知らない世界へ行った
20年たつと君の手は
好きな子の手を握るためにある
だからそろそろ目を離して
1人の幸せをみつけにいかないと
40年たったよ ずいぶん年をとった
危なかっしいと手をつないでくれる
いつのまにか大きな手が
私の手をすっぽりと覆う
違うかな 私が小さくなったのかも
50年たって 両手で強く握ってくれた
でももう握り返せないの
温かさがゆっくり消えていく
冷たくなるまでそのままで
愛そうと思って産んだのに、愛されるばかりでした
君が辛いとき 見えない手で君の手を握るし
君が嬉しいとき 見えない手で肩をだくよ
気付かないだろうけど 君が笑っているときは
一緒に前を向いて笑っているから
生まれたときの爪の小ささ
忘れはしない
愛しい子
バナー提供：K・t様
お読みいただきありがとうございました。
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【2021年8月23日初稿】
日間１位。週間２位。月間3位。4半期16位。年間22位☆☆感謝です☆☆
