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男児支援者制度

一応こっから新章ということにします。

ダントク編!それではスタート!

 学校への道を

 今日から新しい学校か~!どんな毎日になるんだろう!

 この市は安全保護区に指定されているため、周りの歩いている人達も半分くらいが男性である。この人たちと一緒に学校に通うんだ!そんなことを思うと嬉しくなる。

 秋風が僕の頬を撫でる。風が気持ち良い…。すれ違う猫さんにも声をかけてみる。


「猫さんこんにちは、今日はどちらに向かうの?」

 

 猫さんは「にゃー」とひと鳴き、すすすっと路地裏に消えて行ってしまう。

 肌寒くなってくる季節だが日差しは温かい。

 

 こんな日は…いや、こんな日に不釣り合いなものが一つだけある…

 <<僕の後ろにずっと立っている女の子は誰だろう?>>


 家から出た時には間違いなく居なかった。パン屋を過ぎたあたりでも…まだいなかったな…。

 いつから僕の後ろにいるか分からない。

 

 わざわざ猫に挨拶したり風を楽しんだりする素振りをして立ち止まってみても、彼女は僕と一緒に立ち止まるだけ…。いったい何が目的なんだ。

 背丈は…170センチくらい?真っ黒な美しい髪の毛を後ろで小さくまとめている。ぱっちりとした二重にキリっとした眉。薄い桜色の唇は横に引き結んで怖い顔をしている。武士って感じだな…。

 こんな屈強な少女に襲われたら、押さえつけられるまでに10秒とかからないだろう。そんな娘がずっと後ろについてくるのだ。怖さを感じずには居られない。


 一歩進めば、それにつられるように一歩進む。一歩下がれば、当然のように一歩下がる。

 僕につかず離れずの距離を維持してくる。

 二歩進んで!?ッススゥ、ちょっと走っても!?タッタッタ、こやつ!?できる!?

 

 それならば!!僕のボックスステップをくらええええぇ!!

 右足、左足、右足、左足と四角形を作るようにステップを踏んでみる。

 シュシュシュシュ!前後左右、縦横無尽に僕の体が移動する。

 どうだ?ついてこれまい!どや顔で後ろを見ると。


 シュバ!シュバ!!!シュバアアアシュバアアアアア!!!!

 黒髪を揺らしながら僕の倍のスピードでボックスステップを踏んでいた。

 ステップしておいてなんだが、まさか真似してくるとは思わなかった。さすがにここまでして来ているなら彼女のストーキングも僕の勘違いではなかろう…


「あの…もうやめていいですよ、それでさっきから着いてきてますよね?何の用ですか?」

 

 意を決して彼女に近付いて声をかける。

 すると彼女はややその頬を薄く赤く染めて、小さな声で答える。


「!?…気付いているなら、私で遊ぶのはやめてください…」

「いや~ごめんね、気付いていたんだけど、確証に欠けてね…」

「まあ、そういう事なら…」

「まあ、僕の方はそんな感じなんだけど君は何なの?」

「私は支援者です」

「へえそうなんだ」

「そうです」

「……」

「……」

「……」

「え!?それで終わり!?」

「…?それで終わりとは?」


 彼女との会話がいまいち噛み合わない。支援者?どういうこと?ピンとくるものが何もない。これは僕のせいなのか、彼女のせいなのか全く分からない。でも、とりあえず何の情報も得られていないことは確かだ。


「ええと、君の名前とか?何で着いてきてるのとかを知りたいな?って」


 そういうと彼女はまたすぐ頬を赤くして、慌てて小さな声で答える。


「…!?ごめんなさい!私、忘れてて!!ええと…その…ええと!あの…」

「ちょっとどうしたの?」

「わたつぃ…イタァ!!舌噛んだ!…えっと、その私、緊張しいで…その」

「えっと、とりあえず一旦落ち着いて!はい!深呼吸!!吸って――――!!」

「スゥゥッゥウウウウウ!!」

「吸って―――!!」

「スゥゥッゥウウウ!!、ゲホォゲホ!!」


 彼女はかなり素直なようだった。今まであってきた人とは明らかに毛色が違う。

 こんなに強そうなのに、なんか意地悪したくなっちゃう小動物みたいな感じがする。

 

「も…もう!やめてください!」

「あはは…ごめんね?」

「もう…ほんとに!!夕希さまは…」

「あはは…ごめんね?」

「……」

「それで…ええと…君の名前は?それでなんで僕の名前を知ってるの?」

「わわ!?わわあ!?ごめんなさい!!私ったら!!」


 以下無限ループ…

 ではないけど聞きだすまでかなりの時間がかかった。


 彼女の名前は五条八兵衛という、かっこいい名前だった。かなりの名家の出身で僕の通うダントクに通う同学年らしい。かつては武士の家柄だったらしく、僕の見立ては間違っていなかった。

 ダントクは男児の教育保障のため優秀な女子学生を入学させ、一人の男子生徒に対して一人以上のそういった女子学生をあてがい勉強を促進させるという制度をとっている。

 例にもれず、八兵衛は僕に着くことになった女生徒らしい。


「それじゃ、かなり優秀なんだ?」

「…分かりませんが…テストは満点以外とったことはありません」

「じゃあ、勉強分からなくなったら教えてくれるってことだね!」

「まあ…そういう事になりますね」

「ええと…運動とかも」

「まあ…」

「じゃあ、えっと…学校に向かおうか?」

「ええ…」


 八兵衛はすぐに会話終わらせ、仏頂面に戻って僕の後ろに付いてくるド〇ラクエモードに戻る。

 さっきまであんなに照れていたのにすごい変わり身だ。

 まあ、おいおい仲良くなればいいか!!そう深く考えずに学校に向かう。

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