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14年間のペナルティ

 

<<ゆうさ…起…きなさい……起きてください>>


 僕はゆっくりとその瞼を持ち上げ、仰向けのままぼんやりとあたりを見渡す。

 周りには何もない―完全な無の空間。

 右を見ても、左を見てもあるのは白色のみで得られる情報は一つもない。

 しかし…

 

「なんか見覚えがある…そういえば」


 そういえば…そういえば何だったかな?

 そうだ!ここは!?

 気付いた時にはもう遅い。

 

<<ゆうさま!やっと起きましたか…>>


 仰向けに寝ているのに後ろから声が聞こえる。そして、その声に気付くや否や僕の足にすべすべとした柔らかいものが絡みつく。

 

「ぬうぉ、ムグゥ…ウ!!?」


 驚きに声をあげようとしても、すらりと長い指で口を抑え込まれる。


<<どうですかぁー?これが女神しきぶとんです!どうです?もう雁字搦めでしょう?>>


 普通こういうことする場合、掛け布団になる方が一般的だろう!というツッコミが浮かんでくるが声を出すことができない。

 女神様は後ろからその両手で夕希の胸と口を抑えおり、ムチムチした女神様の太ももを僕の太ももにこすり付けている。僅かに見えるその足は完全に肌色…何も纏ってはいない。

 

 夕希は何とか塞がれた口を開放し声を上げる。

 

「め!?女神様!?裸ぁ!?ってかどうして!?」


 まとまっていない考えを何とか言葉にする。そんな僕に対して、女神様は常に少し怒りながら言葉を返してくれる。

 

<<はい!あなたの女神です…が、先ほどの言葉はいただけません。私は裸ではありません、失礼ですよ!>>


「ご…ごめんなさい、足に何も纏ってなかったもので…勘違いしました」


<<そうですとも!そんな簡単に裸になるわけないじゃないですか!!もうっ!ゆうさまってば早とちりなんですから!!>>


「す…すみません、女神様なら裸になりかねないって思っちゃいまして…」


 本当に申し訳なく思う。いくらセクハラ悪戯が大好きな女神様だろうと決めつけは良くない。ただ平謝りをする。

 

<<本当に失礼しちゃいます!!ほら見てください!ちゃんと、う・で・わ!!付けてるでしょ!!>>


 そう言って女神様は右腕についているキラキラしたブレスレットを見せつけてくる。…ん?腕輪?

 

「あの…下着とか…は?」


<<え?そんなものいらないでしょ?>>


「裸じゃないかあああぁあああああぁああ!!???」


 真っ白な空間に僕の声が響き渡る。そういえば、さっきからこの背中に当たっている柔らかいもの…意識したら…え?これって?駄目だ!!

 首をブンブン振って誘惑を振り切る。

 

「もう!!なんで裸なんですか!?しかも、またこうや…ムグウゥ!!」


 喚く僕を女神様は力づくで抑え込む。今度は先ほどまでの力とは違う。振り払おうと思っても絶対に不可能だ。

 そして、そのまま女神様は僕の耳元で囁く。

 

<<まあ静かにしてください…怒ってるのは私の方なんですよ…>>


 するどくドスの効いた声に体が縮こまるのを感じる。

 

<<そうなんですよ…私はあなたに怒ってるんです…。なんで!なんであなたは現地妻を作らないんですか!!???>>


 女神様の力は強くなり痛いほど僕を抱きしめる。

 そして、今度は女神様が喚き散らす!

 

<<この14年間ずうぅぅぅぅっとあなたを見て来ました!!危なげもなく!!ただ、漫然と過ごしてきましたよね!!そしてえっちもせずに、ダラダラと周りの少女たちと戯れて!!さっさと大乱交シッポリシスターズをしていけよ!!!>>


 女神は僕の動きを封じたまま怒り続ける。

 いや、どうすればいいの…

 

<<あなたはずっと少女たちの首輪を握って、たまに餌をちらつかせてみたり!!少女たちが可哀そうだと思いませんか!??ええ、ごるぁあ!!周りは必死に我慢してるんだからちょっとぐらい性欲処理係してあげたらどうなんですか?少しぐらいハメさせてあげましょうよ!!先っちょだけでも!!…ぜぇぜぇ>>

 

 そして息切れを起こした女神様は最後の宣告を付け加える。

 

<<だから…ペナルティを与えます。これは女神が使える呪いみたいなものです…覚悟するように…>>


 その瞬間、女神様の両手が僕の胸元に当てられ光り輝く。

 なんか、胸がじんじんしてきて…。熱い!!あああっつぅうう!!!

 痛みは瞬間的だった。そして胸には…

 

「は…ハートマーク?なんですかこれ?」


 質問をするが、女神様は答えてくれない。

 

<<それでは!またあの男女比1:100の世界へ!レッツごおおおお!!>>


 その瞬間僕の体はまた光へと消える。

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