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破綻少女は死に想う  作者: 七天 伝
第一章 求めるもの
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固有魔法

いやあ、最近暖かくなってきましたね。

お陰で3割増しで眠気が……ZZzz…

「座り込んでるけど大丈夫か?ケガとかしてない?」


「…」


 返事はしない。無言でこくりとうなずいた。


「そうか、ならよかったよ」


「うん、何事もなくってよかったぁ」


 話しかける声が煩わしい。私は一人でゆっくりしたいんだ。表面上だけの心配をやめろ。余計に気持ち悪くなってくる。


「何かあったのか?」


「…とくに、なにも」


「…そう、か」


 話していても私に益はない。むしろ害にしかならない。この存在らが視界の中にいるだけで嫌悪感しか感じられない。


「なあ、せっかくだからここから一緒に行かないか?」


「そうだよ、一人じゃ危ないよ?」


「…」


 無視して言葉の意味を考える。なぜ、私を誘う?理由は想像に難くない。こいつらは私を利用したいだけだ。一緒に行動していたら何をされるかわかったもんじゃない。肉壁にされるか、囮にされるか。


「…どうしたんだ?」


「私たちが戦えるのか心配なんじゃない?」


「ああ、なるほど」


 私の反応をどう解釈したのか男は剣を、女は杖を出す。


「…」


「まあ見てろって、いくぞ…《付与(エンチャント)》、《雷撃(我が剣は雷)》!」


 男がそう発すると剣青く発光して閃光を放ち始める。


「はああっ!」 


 振られた剣は一本の木をあっさりと斬る。倒れ伏した木はその断面を黒く焼き焦がしていた。


「次はわたしね、《火球(フレイム)》!」


 女が杖を木に向けて詠唱すると杖の先端に魔法陣が浮かびそこから火の球が放たれる。10メートルほどの大きさの木はあっという間に燃え広がり、その姿を炭化していく。辺りの木に火が燃え移ることなくその木だけを燃やしつくした。


「どうだい?俺たちも戦えるよ。これなら信用してもらえる?」


「…」


 こいつはなにをいっているんだ?いきなり武器を取り出して自分の力を誇示してきて。私を脅しているのだろうか。


「(そういえば…)」


 私は自分の固有魔法が分かっていない。システム上最初は武器か魔法どちらかしか選択できない。選ばなかった方はランダムで決まる。私の場合、最初に大鎌を選んだから魔法はランダムに決まっているはずだ。確か端末から確認できたはずだが。


「…」


「いきなり端末なんて出してどうしたんだ?」


 《自己情報》と表示されているアイコンに触れると私についての情報が表示される。使用武器、変身時の姿、所属国、魔法。見つけた、これだ。


 魂魄魔法。


 それが私の固有魔法だ。


 固有魔法を認識したと同時に軽い頭痛がする。数秒して頭痛が治まると固有魔法の使い方、それと私が回収していた光の正体が脳裏にうかぶ。

 

 あの光の正体は魂だった。殺したモノから回収した光は総じて生き物に宿ると言われている魂だったのだ。


「おい、大丈夫か?」


「…うん」


「…体調も悪いみたいだし一緒にこいよ。しっかりサポートするから」


「一人は危ないよ!」


「…そう」 


 固有魔法とその使い方はわかった、心の、魂のざわつきを鎮めるためにも、こいつらにはさっそく実験台になってもらおう。


 体に流れるもの、魔力の流れがさっきの呪塊と戦った時と違ってはっきりわかる。今思えば大鎌を振り回す怪力も驚異的な跳躍力もこの魔力を使っていたのだろう。右手に魔力が集まるようにイメージすると体の中心、魂から魔力が流れてくるのを感じる。


「国に着くまででいいからさ、暗くなる前にいこう!」


「いきましょ!」

 

 お前らなんかについていくもんか。今、ここで、死ね。


 急激に体が冷え切っていく感覚がする。立ち上がって大鎌を拾い上げ、同時に左手の指先を男の方へと向け、脳裏に浮かんだ詠唱を流れるよう口から発する。


「《衝魂(魂よ、打ち震えよ)》」


「え?あ…」


 鈴のような音とともに指先から放たれた不可視の衝撃が男の魂を揺さぶる。男は一瞬ビクリと体を震わせて意識を失い崩れ落ちていった。


 これが魔法か。便利なものだ。 


「あなた、いま何をしたの!?」


 女は即座にバックステップで後ろに下がり杖を私に向けて睨みつける。女の周りに5つの火の球が浮かび上がり私へと狙いを定めた。女の様子を見つつ大鎌をで倒れたモノの首を掻っ切る。


「…え?なに、が、え、いや、どういう、こと…?」


 驚愕の声。女は目を大きく見開き私と地面にある頭を交互に何度も見て、動揺で杖をブルブルと震わせる。


 私はというとに一人殺せたことに安心していた。心のざわつきも少し収まった。


「(もう一人…)」


 女を見据え一気に距離を詰め始める。一拍遅れて女が震えた声で詠唱し火の球を打ち出す。一つ目、二つ目は私の横を抜けていく。残った3つの火の球を大鎌で切り裂いてかき消しながら女へ迫る。


「ゃ…いや!いやぁ!《火球》!《火球》!」《火球》!」


 何が起きたのか理解したのか、女は錯乱して火の球をマシンガンのように打ち出し続ける。魔力の流れがはっきりとわかる今、どう使えばいいのかも手に取るようにわかる。足に魔力を集中して加速する。雨のように打ち出される魔法を避け、かき消して9メートル、8メートルと迫っていく。


「《付与》、《魂奪(我が鎌は魂を奪う)》」


 さっき殺したやつが使っていた魔法の付与は難なく発動する。だがこれだけでは終わらない。魔力から大鎌を幾百と作り出す。作られた大鎌は女の方へ橋のように架けられていく。そこへ飛び乗り重力を無視した回避行動をとりつつ一気に駆ける。私が踏んだ大鎌はそこで役目を終えず、向きを変え女の方へと穿たれる。

 女は撃ち落とそうと大鎌を狙って魔法を放つもやがて間に合わずに右足を失い、バランスを崩して倒れ込む。追い打ちとばかりに左足、右腕、左腕も持っていく。


「これで、終わり…!」


 飛び降りて大鎌を無防備な女へと突き刺す。女は体をビクリと震わせて動かなくなった。魂は体から出ず、そのまま大鎌の中へと吸収されていく。心のざわつきは収まった。


「ふう…行こう」


 後ろを振り向くと外れた火の球が原因で小規模な火災が起きていた。本当は取り忘れた魂を回収したかったのだがここにあまり長居するわけにはいかない。諦めて国に向かうことにした。



アドバイス等があればよろしくお願いします


ペコリ((・ω・)_ _))


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