31 鍛冶師シロガネ
「あ!、光夜さん、探しましたよ!!」
アリシアテラ大聖堂から出て「そういえばアシェットどこにいるか知らねぇじゃん」と思い、どうしようかと途方に暮れて歩いていたら目的からこっちに走ってきた。
「アシェット、よかった。俺も探してたんだよ」
「びっくりしましたよ、まさか〈強奪者〉討伐の任務に一緒につけられるなんて」
もう聞いてたんだ。情報伝達はえぇな
「嫌だった?」
「嫌とかではないんですが、驚きと不安です。私たち医療衛生班って基本的に大規の集団任務以外駆り出されることはないんです。そんなわけで、私も初任務だったりするんですよ」
苦笑いを浮かべて彼女はそう言った。
「だから選ばれたんじゃないの?」
後ろから突然声が飛んできて俺はそちらへ振り返る。
「アザレアさん・・・」
見たことある顔だった。ちなみに第一印象は最悪である。
「やっほー、アシェットちゃんも光夜くんも元気ー・・・って光夜くん、そんな警戒した目をしないでよ。殺そうとしたのは謝るからさぁ」
「え!?、ころっ・・・!?」
軽い雰囲気で頭を下げるアザレア先輩と動揺してるアシェット。
仕方がないので俺はアシェットに事情を説明する。
「・・・もうっ、そういう先走った行動をするとマスターから処分を食らいますよ!」
「いやぁ、アシェットちゃんにまで怒られちゃった」
全く反省してる素振りがない。
「にしても、あのシニカ様にしごかれたんでしょ?、見てたよー。すごく強くなったんだね!」
「え?、あ、ありがとうございます・・・?」
自分ではよくわからないが強くなっているらしい。まあ、確かに、最初よりは捌ける攻撃の数が増えたけれど・・・
「あ、そうそう。シロガネさんも一緒なんだよね!、あいさつしに行こっか」
「そうですね。これから武器や道具に関してお世話になる方ですし、行きましょうか光夜さん」
そう言って歩き出す二人に俺はついていく。
宿舎とは反対方向、別の意味で大きめの煙突が何本も生えた建物に入る。
中に入ると熱気や鉄を打つ音などで全身が揺れた。
「ここがぁ!技術開発班のぉ!専用作業場ですぅ!!」
音にかき消されないようにかアシェットが頑張って説明してくれる。かわいい
アザレア先輩は慣れたように中に進み、近くの作業をしていた人を捕まえる。
「ねえ君、シロガネさんっている?」
「あぁ、シロガネさんならいつもの専用鍜治場で作業してると思いますよ」
「あざーす!・・・専用場いるって。行こっか!」
再び進み始めるアザレア先輩にはぐれないようについていく。
周りを見ると、ここにいる人たちは鍛冶仕事を中心に革細工など、いろいろなものを作っている。
中には魔法の光や陣が見える。技術開発班は魔具とやらも作っているようだ。
「ここだねぇ・・・あっ、いた。おーい!、シロガネさーん!、シロガネのおじさーん!!」
「ぅるっっせぇぇぇ!!!、鍜治場で騒ぐな小娘ぇ!!!」
まさか罵声が帰ってくるとは思ってなかった。隣にいたアシェットはすっかり怯えている。
やっぱり年相応なんだなぁと思いながら頭に手を置いておいた。
そんなアシェットとは正反対に全く動じてないアザレア先輩は続ける。
「今回の任務でパーティーになったんだけどー!!、聞いてるー!?」
「初耳だ小娘ぇ!!」
「ならそれ終わってからでいいから話聞いてぇ!!」
「邪魔すんじゃねぇぞぉ!!!」
そんなわけで鉄を打ったり削ったりする音の中で待たされること約三十分。作業がひと段落したのかゴーグルを外した初老の男性がこちらに歩いてきた。
先程までアザレア先輩が話してた人だ。
「よぉ、待たせたな。ついてこい」
またもついていくことになり、だいぶ落ち着いたがまだ若干怯えているアシェットと並びながら奥の部屋へ向かう。
部屋の内装を見るに客間のような場所のようだ。
「まあ座れや」
「は、はい」
ソファに座る。・・・なんかアシェットとも似たような対面したな
「そこのひょろひょろした兄ちゃんは初対面だな・・・俺はコウザン・シロガネ、ここ技術開発班で鍛冶師を取り仕切ってる」
「ど、どうも・・・如月光夜って言います」
「なんだてめぇ、ルロイ総括のお気に入りの新人じゃねぇか。こんなひょろひょろがねぇ・・・」
シロガネおじさんは俺のことを見定めるように睨んだ。
こえぇなこの人・・・顔がめっちゃ怖い。近所に一人はいる気難しい人だわ。
「俺と同じ日帝出身とは思えねぇなぁ・・・使えんのか?こいつ」
「腕は確かだねー。シニカ様に叩き上げられてるし」
アザレア先輩が答え、それにシロガネは目を丸くする。
「な、なに?、あのシニカ様が?・・・なんかの間違いじゃねぇの?」
「いやぁ、信じれないかもしれないけど本当さ。宿舎の方の広場でずっとボコスカやってたし」
俺とアザレア先輩をシロガネは交互に見て信じられないと態度で訴える。なんかすごく失礼な気がする。
「と、とりあえず、今回の任務のことなんですけど・・・」
このままでは話が進まなさそうだったので俺は仕方なく自分から説明を始める。
まあ、説明するといってもマスター・ウェニズマから聞いた内容をそのまま復唱したようなものだが。
ある程度話し終えると腕を組んでどこか考える表情でシロガネは天井を見ていた。
「なるほどなぁ、それでお前の物品的なサポートのために俺が挙げられたと・・・」
「お、おそらくは・・・」
曖昧な肯定を返すとシロガネはキッとどちゃくそ怖い顔を俺に向けた。
「・・・見せろ」
「・・・はい?」
「見せろつってんだろ」
「・・・な、ナニヲデスカ?」
「お前の得物だよ」




