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17 まず、一番近い目標を

俺は少し遠くに聞こえる鳥の声で目を覚ました。


窓からは青白い光が漏れている。どうやらあれから朝まで眠ってしまっていたようだ。


ゆっくりと体を起こしグッと背伸びをする。


同時に鮮明になっていく意識を働かせて今日は何をしようか考えることにした。


とりあえず急いでしなくちゃいけないようなことは何もない。


正直もう少し俺に力があれば猛ダッシュで王国に乗り込んで奴らをぶっ殺したいが絶対に全員殺す前に俺が殺される。


相手は俺と同じ転生者でチート能力を三つずつ持ってる。寄ってたかってボコられたら間違いなく死ぬ。


ならば暗殺者よろしく正当的な理由をでっちあげてうまい具合に死よりも苦しい人生かおぞましい死をプレゼントするのが正解だろう。


というわけでそっちはもう少し先になりそうだ。少なくとも理由をでっちあげれるほどのこの世界に関する知識と地位が必要になる。


逆に考えればそれさえあればいつでも殺せる。


そう考えれば少しだけ頑張れる気がしてきた。よし、頑張ろう。


そんなこんなで何気なく開始した荷物整理と並行しながら俺はまた今日することに関しての思考に浸る。


だが、結局そんなにいい案も浮かばず荷物がまとめ終わる。


仕方がないのでとりあえず部屋から出てみることにした。


俺が外に出ると偶然に一緒に出たのかシャーネが丁度隣の部屋から出てきたところだった。


「あ、おはようございます。大丈夫でしたか?、あれから一度も出てこなかったので・・・」


「あぁ、ごめん。結構疲れてて、寝ちゃってたんだ」


シャーネは俺の説明に「そうなんですか」と言いながら微笑む。


どうやら何度か呼びに来たらしい。まさか呼ばれても起きなかったとは・・・随分深い眠りだったんだな。


「シャーネ、今日って何か予定あったかな?」


「いえ・・・光夜さんには特になかったと思います。私も二日ぐらいお休みがあるので何も予定はありませんよ」


とりあえず教団としての予定はない。


となれば本当に困った。何をしよう・・・


「・・・あ、光夜さん。オウキ商会がどうのこうのって村で言ってませんでしたか?」


・・・あっ


「それだっ!!!」


俺は大声を出してそう言った。超恥ずかしい。


にしてもすっかり忘れてた。なんかここに来るまでにいろいろありすぎてさらっとした会話だったからすっかり忘れてた。


「ど、どうしたんですか?」


しまった、シャーネが若干引いている。


「ごめん、驚きすぎた。そうだった忘れてたよ」


黄木春吉、あまり目立って何か言ってきたことはないがあの中にいて平然と生きていたのは事実。


結局は奴らと同類だ。できるならば早めに始末しておくべきだろうか。


とりあえず相手のことを知ることも踏まえて会いに行くのが得策だろう。


「シャーネ、もし予定がないなら俺をオウキ商会まで連れて行ってくれないかな」


「もちろんいいですよ。ほかに行きたいところはありますか?」


「いや、今は特に。オウキ商会での用事が済んだらでいいかな」


殺すにしろ生かして利用するにしろ会って話しておかなきゃどうしようもできない。


まあ、今のところは殺すつもりが八割ほどを占めているが。


幸い黄木は戦闘系の恩恵を取っていないらしい。ならば抵抗はされるだろうが返り討ちにはならないだろう。


それも、奴の隣にいるであろうガーディアンをどかせればの話だが。


「準備してくるので待っててくれますか?


「ああ、俺も準備したいからここに集合しようか」


「わかりました」


そう言ってパタパタと部屋の中に駆け込むシャーネを見送って俺も一旦自分の部屋に戻る。


ライトアーマーはもう着ていたから上からこの部屋にずっと置いてあった緑のローブを羽織った。


おそらくこれも前にここに住んでいたローズの置き土産なのだろう。


だとするならありがたく使わせてもらおう・・・あ、ちょっといい匂いがする。


さらにそこから腰に短剣と背中に長剣を背負い短剣の反対側の腰に付いているバッグに金貨と銀貨を適当に入れた革袋を放り込んだ。


なんかコマ○ドーの武装シーンみたいだ。第三次世界大戦かな?


そんなアホなことを考えながら扉に手をかけて外に出る。シャーネはまだ来てないようだ。


壁にもたれかかってボーっとしているとシャーネの部屋の扉が開かれる。


「すまん、待たせたな如月光夜」


声が若干低くなって仮面とフードのフル武装をキメたシャーネが出てきた。


ちょっとびっくりして固まってしまっていたが何とか思考に鞭を打って我に返る。


「・・・どうしてお仕事モードに?」


「あぁ、その、外に出るときはあまり素顔でいたくないんだ・・・」


少し小さくなった声で理由を述べるシャーネに少しだけ同情する。


確かにあんな姿で外に出たら視線集めまくりだろうし、実際に昨日酒場で食事した時も本人はあまり気にしていなかったが結構視線が痛かった。


いくら異世界と言っても緑の髪の人はなかなかいないだろう。


「じゃあ、俺もこの時は敬語に戻しますね。そっちのほうがしっくりきませんか?」


「そ、そうだな。だ、だがお前がどうしても敬語が面倒だというなら別に普通の時と変えなくてもいいぞ?」


どっちなの・・・?


とりあえず察するに「めんどくさいからやっぱり変えんな」と遠まわしに言ってるのだろうか。


「・・・いや、やっぱりずっとこの喋り方にする。シャーネはシャーネだしな」


「そ、そうか!、まあ、私もいちいち変わると面倒だしな。何か言われたら私から説明しておこう」


やっぱそういうことだったのか。なるほど、こっちのシャーネ思ったよりめんどくさいな。


「よしいくぞ。とりあえずはオウキ商会でいいんだな?」


「あぁ、よろしく頼む」


そうして時と場所をわきまえてという昨日の話は無しになった。

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