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9 入団試験

町の中を歩きながら見回してみる。


見た感じは普通に中世の西洋的な町並みだった。


「ここは王国ではなく私たち教団と商業組合の共同管轄の町なんだ。教団の真の姿を知っているのはごく少数で、一般認識としては宗教系の傭兵ギルドとなっている。なんか聞かれたらそうやって答えろ」


「は、はい」


シャーネの話を聞いて相槌を打つ。


宗教かぁ・・・やっぱりアサシンってどの世界でも宗教が絡んでいるんだな。


まあ、シャーネは最初から教団って言ってたし当たり前か。


さすがに裏の仕事だけあってクリアな環境というわけでもなさそうだ。


できることならそれも小さいといいのだがそういうわけにもいかないだろうなぁ。


「・・・ここが教団本部、アリシアテラ大聖堂だ」


町の中でも異様に目立っていたこの建物が目的地らしい。その大きさは見上げてると首が痛くなるぐらい・・・だろうか。


「ご苦労様ですシャーネ様。その者が例の新人ですか?」


聖堂の正面の大扉の前に立っていた紅色のフードの男がシャーネに頭を下げた後そう言った。


「ああ、話はすべてマスターに通してある」


「わかりました。どうぞ」


そういって男は先ほどまでたっていた持ち場へと戻っていった。


俺は若干の気まずさから彼に会釈をしながら聖堂の中へと入った。


そこは過去に写真か何かで見たことがあるような立派な装飾が広がっていた。


絨毯がまっすぐと先に伸び、ロウソクの立ててある台も一つ一つがしっかりと装飾されている。


前には立派なステンドグラスと大きな椅子が置いてある台がある。


そこには白いローブを着た老人が座り、周りを緑や黒などのフード付きローブを着た人たちが守るように立っている。


俺は歩みを止めないシャーネに少し小走りで追いつき横に並んだ。


「マスター・ウェニズマ。任務達成報告と例のものを連れてきました」


シャーネは台の前にある広い空間で跪いて頭を下げながらそう言った。俺もシャーネに続くように慌てて跪き頭を下げる。


さすがにこの空気と状況が読めないほど俺は馬鹿じゃなかった。


「ご苦労、同志たちよ頭を上げよ」


その言葉と共にその場にいた全員が顔を上げた。もちろん俺も例外ではない。


「名を聞こう若いの」


「はい、如月光夜と申します」


出来る限りの敬語で言ってみるがあってるかわからない。


というかこんな状況になることがなかったから不安で心臓が止まりそうだ。・・・当たり前か。


「そうか・・・私はマスター・ウェニズマ。教団の第八十四代目マスターだ。今からお前に入団試験を行う」


マスター・ウェニズマがそう言うと先ほどまで横で頭を下げていたシャーネが立ち上がり俺から離れた。


「お前は自らの力についてどこまで知っている」


力・・・というと《プランダー》のことだろうか。しかし、それだけではなさそうだ。この質問とシャーネが離れたことに関係があるならばもっと別の意味があるはずだ。


ならば恩恵のこととして所々はぐらかしながら話すことにしよう。


ここで警戒されては後々響いてきそうだ。


「身に余る力だと思っております。知識も経験もなく授かったものですから、使いこなしているとは言い難いかと」


「ならば、こんどはお前の固有魔法はについて問おう」


こっちは隠すこともあまりないと思うからある程度なら説明してもいいだろう。


「対象一人の魔法発動時にその魔法を奪い、それを使用することができます」


「他者、魔法不所持者への譲渡は」


「・・・試したことがないのでわかりませんが、やり方がわからないので不可能かと思います。魔法を譲渡する魔法を奪えば可能かもしれないと推測します」


我ながらよくここまでペラペラと話せるなと感心する。まるで自分以外の誰かが代わりに喋っているような感覚だ。


「わかった。ではこれよりお前の力を完全開放する。これを制御し、耐えることが今回の入団試験だ。耐えられず暴走した場合は団員クラスホワイト、又はクラスグリーンで処理すること」


マスター・ウェニズマが手を上げると白いローブと緑のローブを着た人たちがそれぞれの獲物を構えた。


よくわからないが少しやばそうな感じだ。なんか勝手に話が進んでたけど俺の力って確か神の恩恵なんだよな・・・


どうしよう、抑えられる気がしない。


「ではいくぞ、如月光夜」


その場に刃物のように鋭い緊張が走り、マスター・ウェニズマは呪文ことばを紡いだ。


「静かなる冷たい鎖よ、我が熱、我が光をもってその束縛を解かん」


彼の手と俺の体が光に包まれる。何もない、という呑気な考えは次の一言で消え去った。


『アンリーシュ』


瞬間、体の内側から燃えるような熱と痛みが全身に走った。


「アアアアアアアアアア!!!!??」


今まで経験したことのないような体の水分が沸騰しているかのような感覚。


それは湧き上がる、という感覚が近い。


ゆっくりと痛みの中に意識が沈んでいく。


自分の体から発せられる光で視界は真っ白だ。


目の前に浮かんだのは鮮明な《死》。


このままでは復讐を達成できない。


そんなの俺が許しても《俺》が許さない。


それは声とともに激しい光を遮り、俺の意識を闇に引きずり込んだ。

土曜日に更新するのを忘れてました!

皆さん来年もよろしくお願いします!

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