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兄二人

・とても短いです。



サツキさん「自分も行きたいぞ!」

ちゃんサク「(隠密とかできそうにないので)ダメです」

サツキさん「(´・ω・`)」




「ウィル兄、起きてください」


 ぺしぺしとうつ伏せのウィル兄を叩きながら私は言います。

 もうみんな準備できてるんですよ、ついて行きたいって言いだしたのウィル兄なのに。

 まあ気絶させたの私ですけど。


「起きないとウィル兄の名前で貴族のお嬢様方にパーティーの招待状を送りますよ。行き遅れ気味の肉食系お姉さまを選んで揃えますよ。良いんですか」

「はっ、殺気っ!?」

「殺気て」


 失礼な人ですね。殺されませんよ、食べられるだけです。


「サク……あれ、俺……試合は……!?」

「………………」


 慌てるウィル兄に対し、目を伏せてあえての沈黙。

 するとウィル兄は悲しそうに表情を歪めました。


「そうか……負けたのか、俺は……」

「最後、トヨヒサさんのストレートがウィル兄の額を捉えました。脳震盪を起こしたのでしょう、それが決まり手でした」

「そう……か……」


 本当のこと話したら文句言われそうなのでそういうことにしておきましょう。

 うん、たぶんそう。なんかそうだった気がしてきました。

 はいそこの侍女、プルプルしない。

 サクラウソツカナイ。


「ということで憂さ晴らしに害獣駆除に行きますよ」

「よっしゃ、行くか」


 すくっと立ち上がって黒い笑みを浮かべます。

 喧嘩っ早い。切り替えが早い。怪我の治りも早い。

 実の兄に言うのもあれですが、ちょっとよくわかんない。


「じゃあ私は兄上呼んできますので、ちょっと待っててください」


 まーどうせ義姉上にもらった手製の編み物とか手紙とかを見返しながらしんみりしているのでしょうけど。

 あの兄そういうとこあるよね。

 行きますか。


 ***


 来ました。


「上から来るな馬鹿!」

「だってノックしたらそれ隠すでしょ絶対!」

「だから言ってんだよ!」


 屋根裏の散歩者とは私のこと、かもしれない。

 しかしやっぱり見返してましたよこの兄上。机の上には山のように積み重なった手紙がいっぱい。

 だいたい三年分ぐらいですかね、遠距離にしたって多い気が。

 期待を裏切りません。


「でもそんな死亡フラグみたいなことばかりしてるから兄上は駄目なんです。もうちょっと場の空気を読まないことも覚えた方が良いですよ」

「この流れで俺が説教されんの?」

「別にそんなに確認しなくたって、それは『命令だから』って理由だけで書けるような量じゃないですよ」

「………………」


 なんですか急に黙りこくって。


「へい兄上! なんです? ビビってんです? もしかして義姉上に拒絶されるのが怖くてビビってたのですk──って痛っ!? やめっ、やめてください! 掴まないで! 頭掴まないでください! いっ、いだだだだっ!?」


 なんという理不尽な家庭内暴力!

 私だって家族のプライバシーには普段から配慮してるんですよ?

 ただその気になればどこに何を隠そうといつでも把握できるような立場にいるってだけなのに!


 ……これって精神的DVというやつでは?

 ……たぶん気のせいでしょー!

 サクラコワクナイ。


「ふんっ」

「ううっ、あ、頭が痛い……」


 馬鹿になったらどうしてくれるんでしょう。


「ほら立て、さっさと行くぞ」

「待たせておきながらその態度……今回は私がリーダーって分かってるんですか?」

「年功序列だ」

「……功の方は私のが既に上じゃないです?」

「……………………」

「へいへい兄上! 悔しかったら言い返してみ──ミギャーーーーーー!」


 痛い……。





・令和こそこそ話

ちゃんサクはよく調子に乗ってジョーにお仕置きされますが、その気になれば余裕で全部避けられるらしいですよ。

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