炸裂!ファミリーパンチ!
・災いは、忘れた頃に、やってくる。
・新年明けまして十日経ってるなんて私聞いてない。
・およそ二十日ぶり。
・比較的長いです。
・これ内緒なんですけどプレーステーションアーカイブスのサモンナイト楽しい。
幼い頃から優秀であることを求められた。
貴族の跡継ぎなのだから当然ではあるのだけれど、父が父でなくなり、お爺様が屋敷の全てを差配するようになってからそれはより顕著になった。
王国の上層部へと潜り込み、来るべき日に内部から突き崩す。
そのためには学園で優秀な成績を残す必要があるからだ。
幸い、自分で言うのもなんだが才能はあったのだと思う。
努力も嫌いではなかった。
何かに打ち込んでいる間は、家のことを忘れることができるから。
それでも別段天才というほどでもなく、優秀であり続けるには努力を怠ってはならない。
気を抜けばすぐに追い抜かれるし、置いて行かれる。
後れを取ったことはないけれど、ユニークな人材たちが楽しそうに我が道を行くのを傍目に、自分は他人に決められたレールの上を走るのは少しだけ辛かった。
たとえお世辞にも優れているとはいえない相手でも、己の人生を謳歌している姿は、眩く、羨ましく、妬ましく、ひどく自分が情けなくなる。
彼らの先に待つ輝かしい未来に比べ、己の行き着く先は崖の下。
お先真っ暗とは、このことだ。
そうして出来上がったのは、特筆すべき点はない典型的な器用貧乏、良く言えば万能。
それでも総合的な成績では一位を譲らず、お爺様の求める水準を下回ることはなかった。
何一つ自慢できるものを持っていない自分には、それだけが自慢だった。
まあ、六年前。
「ジョー・アブソルートだ、よろしく」
「……ロイド・ナイトレイ、こちらこそ」
そのちっぽけな誇りさえも、光の速さで砕け散ったけれど。
妹の婚約者であるジョー・アブソルート。
高等部から学園に入学してきた彼に首席を奪われた私のプライドは、破壊されることになる。
彼とは政治的にも成績的にも交流する機会が多く、そうしている内に必然的に一緒に過ごすことが多くなった。
文武両道かつリーダーシップもある優等生。
多少短気なきらいはあるが、そこに理不尽はなく誠実な男。
何事にも行動で語るその背中は、多くの学生の道標のような存在だった。
もちろん誰も彼もがジョーを好ましく思う訳ではない。
相応に敵対してた人間も数多くいたけれど、それでも彼の周りには純粋で善良な人々が集まっていた。
それはきっと良いことなのだと思う。
いや思うというかそうなのだろう。
だからこそ、私にはそれが性質の悪いものにしか見えない。
どんな人間だって、どこかが誰かに劣っている。
それは仕方のないことで、ジョーだってそれは例外ではなかった。
私と同じで総合力で勝負するタイプの人間だ。
だが──
「俺の勝ちだ。これで十戦十勝、悪いな」
「まったく、敵わないな……」
──何度その姿を見ただろう。
こちらを見下ろすジョーを、地に這い蹲る自分を。
笑顔の仮面の下で俯いて唇を嚙んでいた私を、彼は知っていただろうか。
一緒に過ごすようになって理解したが、ジョーは努力の人だ。
鬼才とまで称されてはいるが持って生まれた才能だけなら、私と大差ない。
そして私には努力の量では負けていないという自負があった。
だけど──
「どうして勝てないんだ!?」
それでも私の全てが、ジョーに劣っていた。
完全なる下位互換。
私にできて、ジョーにできないことはない。
逆にジョーにできて、私にできないことは間々あった。
「何が違う? 何が足りない? ずっと努力してきたじゃないか、ずっと耐えてきたじゃないか、これ以上どこを改善すれば良かったと言うんだ? 私の……何が悪かったんだ!」
実を言うとそんなことを叫びながら、皆の寝静まった深夜に学園の寮で壁を殴って壊したことがある。
悔しくて、苛立って、その感情に行き場がなくて。
物に当たることでしか抑えられなかった。
すぐに隣室のジョーに見つかって説教されて、その後に心配もされて、君が理由だと言えるはずもなく笑って誤魔化した。
──惨めだった。
一位になりたかったわけじゃない。
優秀であれば、お爺様の要求する水準に達していれば国の方からスカウトが来る。
点数さえ取れていれば十位であっても許されるのだ、別に無理をして彼を追いかける必要なんてなかったのに。
それでも、突き付けられた彼我の差は数字以上に大きく、到底容認できるものではない。
優秀で、清廉で、高潔で──そんな人々が集まる空間に一人異分子が混じる苦悩をどう表現しよう。
丹念に磨かれた鏡ほど鮮明に対象を映し出すように、彼を見ていると己の醜さをくっきりと再認識させられる。
だから蹴落としたかった。
ジョーに勝ちたかった。
私はあんな国で、あんな家で、あんな境遇で、こんなにも辛いのに。
彼は優しい両親、かわいい弟妹、明るい家庭を持ちながら、私よりも優秀で、これ以上幸せになろうとしている。たかだか生まれた場所が違っただけで!
──いつか、訓練で負けた日にジョーに言われたことがある。
「お前は何処を見て生きているんだ」
それは視線の話なのか、目標の話なのか、はたまた両方だったのかはわからない。
それでも、その時から、僕の目標は君だった。
何一つ誇れず、何一つ残せない自分には、
それを成し遂げる未来だけが、なにより輝いて見えた。
*****
兄上に掴み上げられたロイドさんは、ひどく憔悴しているように見えた。
肉体よりも主に精神の方が。
あの空虚な笑いは、全て終わったと言わんばかりに投げやりになった人間のする表情だった。何度か、見たことがある。
「終わりか?」
「終わりだね」
力のない返答に兄上は唇を嚙む。
眉間にしわが寄り、表情がより一層険しくなっていく。
その気配に、怒りが段々と膨らんでいるのが感じられた。
「俺はずっと、お前のこと真性のクズだと思っていた」
兄上が吐き出すように言う。
……ひどくない?
「でもな、それ以上にライバルだと思ってたんだ。なのに、ガッカリだ。お前の所の爺様とやらには一回だけ見たことあるけどよ、あんな枯れ木みてぇなジジイが怖くてずっと震えてたなんて、想像もつかなかったわ。情けねぇなぁ、お前」
責めるように、煽るように、兄上は続ける。
落胆を隠そうともしないそれは、たぶん挑発だ。
ロイドさんの境遇を聞けば安易に言えないような言葉も、それでも兄上はそれを必要だと判断しているのだろう。
「そんで十何年やって来てお前はこれか、つまんねぇ人生やってんなおい。生きてて楽しかったかお前? なぁ聞かせてくれよ、今どんな気持ちだ? ちなみに俺は楽しかった」
普段なら言わないような、性格の悪い台詞。唇を片側釣り上げた、意地の悪い顔。
おそらくは狙い通り、気に障ったのだろう。
ロイドさんはしっかりと自分の足で立つと、逆に兄上の胸倉を掴んで怒鳴り始める。
内に抑え込んでいた彼の激情が、流れ出す。
「ッ……君にはわからないだろうさ、私が今までどんな思いで生きていたのか。ああそうだ、そうだとも! 私はね、怖いんだ! 君の言うあの枯れ木みたいなジジイが怖くて怖くて仕方がない! 視界に入れただけで体が竦む! 声を聴くだけで心拍が跳ね上がって! 目の前に立たれただけで呼吸の仕方を忘れてしまう! あの顔が、声が、眼が、頭にこびりついて離れない!」
それは、とても情けない告白なのかもしれない。
けれど、心の底からの悲痛な叫びでもある。
兄上が聞きたかったであろう、仮面の下の本音だ。
「笑いたければ笑うがいいさ。私はあの家では家畜みたいなもんさ。なに一つ自分で選択したことなんかない。思考停止して唯々諾々と指示に従って生きるだけのつまらない人生だ。だから君にはわからない。家族に、環境に恵まれた君には……! 幸福な人生を歩んできたお前なんかに……! 俺のなにがわかるって言うんだ!」
「わかんねぇから今聞いてんだろうが!!!!!!!」
「ぶべらっ!?」
(えー…………)
殴った。
逆ギレに逆ギレして殴った。
兄上渾身の右ストレートがロイドさんの左の頬を抉り穿ったのであります。
そしてきりもみして飛んでいきました。
その威力はさながら悪鬼羅刹。顔も非常に怖い。怒ってらっしゃる。
これは私が昔屋敷の屋根で遊んでいたら足を滑らして落ちてしまい兄上を下敷きにした時以来の怒髪天でしょう。南無。
「理解してほしかったんならそれ相応の態度を示せやぁ……! あんなもん誰が見たって九股クソ野郎にしか見えんわこの色ボケが!」
「う、うるさい! うるさいうるさいうるさい! 君が早くに婚約なんかするから君の分がこっちに流れてきたんじゃないか! 確かに傍から見れば私は女癖が悪かったかもしれない、でもそれは皆が私の時間を奪ってくれるからだ! 忙しければ忙しいだけあれのことを忘れられた! 勉強したのも、鍛錬したのもそうだ! でも全部意味がなかった……女の子の顔なんて誰一人覚えちゃいない! 何も変わらなかったんだよ!」
「そういうところが嫌いなんだお前は! 那由他歩譲って自己中心的なハーレムは許そう! だが誠意が足りんのだ! 女の子と話すときはちゃんと相手を見て話せ! 言葉に心を込めろ! いつも歯の浮くような台詞ばかり言いやがって、心にもないからそういう事が言えるんだ! 自分は不誠実な態度の癖に相手にばかり誠意と意思疎通を求めてんじゃねぇ! ぶん殴るぞ!」
「ぐえっ!?」
「いや殴ってる殴ってる」
すごい勢いで殴ってますよ兄上。
抉り込むようなリバーブローが決まりました。
ロイドさんは胸のあたりを押さえて咳き込みながらも、半泣きで兄上を睨みます。
「じゃあどうすれば良かったんだよ!?」
「一々言わなきゃわかんねぇのか! ガキじゃねぇんだ自分で考えろ!」
「兄上一分前ぐらいに『わかんねぇから今聞いてんだろうが!』って言いましたよね?」
「「…………」」
沈黙。
しばしの無言の後、兄上は懐からおもむろに飴の入った容器を取り出して言います。
「妹よ、お兄ちゃんいま大事な話してるからお口チャックしてな」
「……………(了解です)」
ほう、ドロップスですか。たいしたものですね。
あまり数は残っていないようですがまあ良いでしょう。沈黙は金、しばしの間この口を縫い付けるとしま──
「って不味! なんですかこれハッカじゃないですか!? ……って残りも全部ハッカ!? 最悪です有罪です死刑です!」
うぇぇ……やだぁ……口の中がスースーするぅ……。
甘いのに辛いよぉ……意味わかんないぃ……。
「えっ……つってもなぁ、他の味は全部殿下が食っちまったし……」
「あ゛?」
少し遠く、暗くて見えないが扉の方向から「ひっ!?」と小さく悲鳴が聞こえた。
そうか……貴様か……。
「どうやら死にたいらしいな……良い、賽の河原に送ってやろう。なに、案ずるな。冥土の土産に六文ぐらいなら付けてやる……」
「待て待て落ち着け、令嬢のしていい表情じゃない」
「これが落ち着いてられますか!? ありのまま今起きたことを説明しましょう! 甘味に喜んで飛びついたらハッカだった、何を言っているかわかりますか!? 私はわかりたくありません、ですがあえて言いましょう! 地獄であると!」
「いやそんなことでそこまで怒らなくてもいいだろ!」
「そんなこと? そんなことと言いましたか!? そんなことであるはずがないでしょう!!! ここが甘陣営なら兄上死んでましたよ!? この天秤に釣り合う案件なんて世界滅亡の危機ぐらいしかありませんからね!?」
「世界はそんな安くねぇよ!!!」
「甘味が高ぇんですよ!!!」
そう怒鳴り散らして、肩で息をする兄上と私。
ええ、このままだと平行線でしょう。食後にデザートを食べずにコーヒーで済ますような人間とはわかり合えません。だって苦いもん。
まあ正直私も盛りましたけども。
さすがに領民と甘味だったら領民を優先しますよ私も。
「……ハッカの飴舐めるぐらいならおはじき舐めますからね」
「どんだけ嫌いなんだよ……美味いだろハッカ」
「いやどこがですか歯磨き粉じゃないですか嫌ですよ」
「お前いま世界の三割五分ぐらいを敵に回したぞ……」
「はっ! 所詮はマイノリティー、恐るるに足らず! 死にたい奴から掛かってくると良い!」
「……うわぁ、うっざ」
「妹に向かってうざいとはなんですか! 傷つきますよ傷つきましたよどうしてくれるんですか!」
「そろそろ話し進めてもらっていいかな!? ハッカの話は今どうでもいい!!」
「「あ」」
振り返ればそこには、放置されたことにたまりかねて口を出してきたロイドさん。
忘れていましたがハッカに比べれば些細な男です。
「黙れNBL! 貴様に私が救えるか!?」
「NBLってなんだ?」
「Natural Born Losersの略」
「ぶっ!」
部屋の隅で空気を読んで待機していたリキッドが噴き出すのが聞こえた。
どうやらウケたらしい。
「何を言われても仕方なくはあるけれど、ちょっとそれはひどくないかな!?」
厳罰の覚悟はあったようですがまさかあの重い経緯を話しておいて、ここまでハイテンションでメンタルを殴られることは想定していなかったのでしょう。
しかしながら私としてはあの話を聞いても「うーん……」という感じなのです。
「確かにあなたの境遇は同情に値します。情状酌量の余地もありましょうや。……ですが私が言っているのはその点についてではありません。あなたは不幸な身の上であった、それは紛れもない事実です。しかしそれを打破するチャンスも、能力もあなたにはいくらでもあったはずなのです。なのにそれを勝ち取れなかった。勝ち取ろうとしなかった。勝ち取る度胸すらもなかった。その性根が負け犬だと言っているのです」
「な、なにを……」
「忍耐は美徳です。人には耐えなければいけない時もあります。ですがあなたの場合は間違いだ。耐えるべきではなかった。だって、耐えなければいけない状況そのものが間違いだったのだから」
「………………っ」
「あなたは、部屋の隅でうじうじと膝を抱えて一人泣いてる暇があったら、たとえみっともなかろうが『助けて』の一言を言う練習でもすれば良かったんです」
「────」
「いたでしょう? 隣に。六年も。格好良くて強くて頼れるのが。なんたって私の兄上ですからね。ええ、私の家族はちょっとすごいのですよ。あなたの悩みなんてちょちょいのちょいです」
そう言って私は自信満々に笑って見せる。
たぶんぜったい、かもしれない。いや、かならず。だったらいいな。
「だって……それは……」
思いつきもしなかった、という風にロイドさんは目を丸くした。
そして何か反論をしようとして、結局は何も出てこず口ごもる。
私としては逆に何故その発想がなかったのかが疑問なのです。
ええここは徹底的にボッコボコにしてやろう、とさらに言い募ろうとした時に、後ろから肩を掴まれて止められた。
「あんま兄ちゃんの台詞をとるんじゃねぇよ」
「む。……まあ、確かに」
当事者は兄上であって私ではない。
出しゃばり過ぎるのも無粋というものだ。
兄上はもう一度ロイドさんに歩み寄って、言う。
今度は先ほどと違い、幾分か穏やかな声音だった。
「そんなに俺は頼りなかったかよ。これでも首席だったんだがな」
「ジョー……」
「言えば良かっただろ。助けてくれってたった一言。俺なんかものの役にも立たねぇとでも思ったか? 見縊るなよ。俺はこれから万の領民の命を背負う男だぞ。手前一人なんざ楽勝で救えるわボケ」
強く言い切る。
兄上は私やウィル兄より弱いし、学力ではピーター兄に負ける。
それでも、誰よりも、どこまでも、兄上は「お兄ちゃん」だ。
「だって……だって! ずっと君を、君の家族を騙してたんだ、どんな顔して助けなんて求めればいいんだ!? それに、君、僕のこと嫌いだっていつも言ってるじゃないか……!」
「お前も家族だ!」
「ひでぶっ!?」
うわぁ……また殴った……。三発目ですよ三発目。
伝説のファミパン。強烈なるアッパーカット。肘の角度は九十度。
「ああ嫌いだよ、大っ嫌いだ」
でしょうね。
「でもなぁ、家族になるんだろうが。家族は好きか嫌いかだけで終わるような関係じゃねぇんだよ。お前だってわかるだろ。疎ましかろうが、怖かろうが、目を逸らして逃げちゃ駄目なんだよ!」
家族。まあ正確には家族(予定(義理))ですけど。
その繋がりは生半可なものではありません。
たとえ折り合いがつかない相手だったとしても、折り合いがつかないという決着を付けなければならない。
そうでないと逃げれないし、逃げてはいけない。
「お前は! 俺が! 家族に助けを求められて断るような奴に見えたのか!? ああ!? 聞いてんのかおい!?」
「ちっ、ちが──」
「兄上兄上、言い方が完全にヤンキーのそれ」
ロイドさん怯えちゃってるじゃないですかもー。
兄上は語気が強過ぎたとちょっとばつが悪そうな顔をする。
「優しくしろとは言いませんがもうちょっと落ち着いて。家族で親友、そんな相手がこんなことになって悲しいのはわかりますけども」
「親友じゃねぇって言ったろ」
「まだ言います?」
素直じゃないですねぇ。
「親友じゃねぇ、ライバルだ」
「…………」
ちょっとにまにま笑いたくなったけど、空気を読んで我慢する。
私偉い。とても偉い。この上なく偉い。
「まあ、一回も負けたことなんかないけどな」
「そうだね……そして今回も私の負けだ」
「いえ私の勝ちでは?」
「「…………」」
沈黙。
え、間違ってないですよね?
「あいたっ!?」
「ちょっと黙ってようなー」
くそぉ……この暴力兄上め。
まあいいでしょう。男同士の友情的な何かもあるでしょうし。
引っ込んで上げますよ。
でも私の勝ちですからね。
「そんでロイドよ。何か言いたいことはあるか?」
「…………ないよ」
「なら俺の言いたいことを続けよう、こっち側に来いよ」
「!?」
ロイドさんは差し伸べられたその言葉に思わず身を竦めた。
がちがちと強張った体、その手を取っていいのかと悩み、震えている。
お爺様とやらに掛けられた呪い、それを解くチャンスはこれが最後だった。
「……いまさらどうするって言うんだ。もう私は一線を超えている、後戻りできるラインはとっくの昔に通り過ぎてしまったというのに……」
「俺が間に合うと言っている。俺が来いと言っている。答えはイエスかノーか。それだけだ」
「…………」
「ジジイが怖いなら俺がぶん殴ってやるよ。そんで絶縁状でも叩きつけて、クソみたいな家は捨てちまえ。それにな、言っちゃあなんだがうちの家はちょっとばかし、楽しいぞ」
それな。って言おうとしたけど止めました。
ロイドさんは、それを聞いて一度俯きます。
そしてか細い声で、でも確とその言葉を口にしました。
「私は……ずっと、助けてほしかった……。だから、助けてほしい……」
「了解だ、兄弟」
兄上は不敵に笑った。
ええ、それはもう、とても良い顔でした。
・ファミパンお兄ちゃん。
・作中ではああ書きましたが、今年度も拙作はチョコミン党の皆様のご健康とご多幸、そして新たなる飛躍をお祈り申し上げます。
・僕はハッカ嫌いです。




