半ニートは初めて一目惚れをしたらしい。
1話の続きとなります!今回は新たな女の子が登場してクラス内は大騒ぎとなります!
たくさんの人に読んでいただけると幸いです!
新しいクラス分けを確認した生徒たちはHRが近づくにつれて続々と教室へと入ってきた。
敦士たちがしょうもない茶番を繰り広げている最中、今までどんちゃん騒ぎだったクラス内の雰囲気が少しざわざわしだした。
不審に思った敦士は、クラスメイトが視線を向ける方へと目を置いた。
「はっ・・・・!」
そこには明らかに俺たちと同じクラスへ入ってこようとしている黒髮ロングストレート色白美少女がいた。
黒髮美少女はクラスにいたほぼ全員の視線を向けられ少し動揺しているようだった。
ーーな、な、なんだあの・・黒髮ロングストレート色白美少女は! あの髪の艶といいサラサラ感といい・・美術館に飾りたいほどのクオリティ! 肌も色白で清楚な雰囲気もまたたまらん! このままじゃ俺いっちまいそうだ・・。(いろんな意味で)
敦士は今の言葉を心の中で言ったのか口に出してしまったのか動揺しすぎてわからなかったが、自分の中の『ラブハート』を一撃で撃ち抜かれたのは確信した。
一度動揺した様子の黒髮ロングストレート色白美少女だったが、頬を『ポッ』と赤くしながらも自分の座席を確認して着席した。
「あの子すっごく可愛い! ねっ! あっくん!」
そんな玲那の言葉に敦士は一瞬全力で肯定しそうになるも、なんとか自分を押し殺し「お、おう」といういかにも無関心を装ってめっちゃ共感している返事を返した。
その頃おっぱいモンスター田中駿はというと、黒髮ロングストレート色白美少女の方を無言で数秒間直視した後、「はぁ・・。」というため息とともに首を数回横に振った。
多分彼も自分の中で彼女の国家遺産的価値を見出したようで、それをみた敦士は心底安心した。
「ねえ、あっくん。あの子知ってる?」
「んー、俺は知らんなあ。転校生かなんかか?」
「あんな可愛い子うちの学校に居たんだねー」
そんな会話をしている2人に対し、駿は何か思い出しような表情をした。
「なんだ駿、お前あの子知ってんのか?」
「いや、知ってるわけじゃあないんだけど。1年の時とんでもない美少女がこの学年にいる! って噂は聞いたことあったな。名前は・・確か・・。」
「あ! それ私も知ってる! 愛里奏ちゃんでしょ! 1年の時11組だった!」
「ああぁ、そうかもしれん。確かそんな名前だった」
「玲那。お前知ってんのか?」
「うん! 1年生の時女子の間でも噂だったんだ! 学校一の美少女が1年にいるって! けど実際見たら本当に可愛いね! 顔小さいし! スタイルいいし!」
普通の学校だったらこんな美少女がいてそこそこ噂になっているのであればほとんどの人がその子のことを知っているのだろうが、うちの学校は1学年600人ほどいるいわゆる『マンモス校』だ。
俺たちが1年の時は1クラス40人ほどで15クラスもあったため、そんな噂の美少女がいてもお目にかかれる機会はそう多くない。
そんな状況下の中で俺は玲那と2年間も同じクラスになり、トータルで11年間クラスが離れないでいるのだ。
改めて現状を理解し謎の恐怖を覚えた敦士は、自分と玲那との間になさそうで多分ある見えない鎖を軽くチョップした。
「あんな美少女と同じクラスなんて! 男子二人ラッキーだね!」
「べ、べ、別に・・興味ねぇし。」
「俺も・・なんかぁ・・あんな美しい女の子の前でセクハラする勇気は・・ないなぁ・・」
「駿くんはとりあえず置いといて・・。あっくんはなんかおかしい!」
セクハラをすることにより汚れなき美少女を汚してしまうのではないかと考えた駿はリアルに少し落ち込んだ。
それに反して敦士はツンデレのテンプレみたいなことを言いまんざらでもない様子だった。
それもそのはず。
この時、自称”半ニート”で女の子にあまり興味を持ってこなかった水瀬敦士(童貞)は、突然目の前に現れた黒髮ロングストレート色白美少女に。
一目惚れをしていた・・・・らしい。
なんやかんやで午前中の日程が終了し昼休みを迎えた。
「ねえ、あっくん一緒にお昼食べよー!」
「敦士、飯一緒に食おうぜい」
「おーう」
敦士はそう言うとカバンから弁当箱を取り出し3人でお昼を食べ始めた。
その頃、黒髮ロングストレート色白美少女の愛里奏は、今朝誕生したと思われる仲良しグループにお昼を誘われていた。
「愛里さん! 私たちと一緒にお昼食べよ!」
「う、うん。」
ーーあの子人見知りなのか?それともシンプルにあいつらのことが嫌いなのか?
気付けば敦士は彼女たちの会話に耳を大きく傾けていた。
「愛里さんてさ、休みの日とかは何してる感じなの?」
「や、休みの日・・?! う、うんー・・えっと・・買い物とかー・・ショッピングとか・・かな」
「ちょ、ちょっと愛里さんうけるぅぅ! 買い物もショッピングも同じ意味だよー!」
「あ、あぁ・・そうだった・・ご・・ごめんなさい・・」
「愛里さん面白いねぇ!」
「そ・・そうかなぁ・・あははは・・」
その頃敦士は、
ーーまっ! 聞きましたか奥さん! 買い物とかショッピングとかですって! ちょっと何その天然ボケ可愛いんですけど可愛すぎるんですけど! あの子黒髮ロングストレート色白天然美少女なんですけどぉぉぉぉぉ! くぅぅぅ・・・・来たぜ青春萌え萌え展開!(なお天然が加わったことにより敦士の中での彼女の価値がSランクからSSSランクに跳ね上がった)
と、奏の魅力で既に手遅れになっていた。
「ねぇねぇ、愛里さん。もし良かったらさ今週の日曜日私たちと買い物行かない? ほら、ショッピング好きって言ってたしさ!」
「あ、ああ・・誘ってもらえたのは嬉しいんだけど今週の日曜日は・・その・・どうしても外せない用事があって! ・・その・・えっと・・」
「そっかそっか! いいよ大丈夫! 外せない用事なら仕方ないから!」
「あの・・ごめんね」
ーー日曜日にどうしても外せない用事ってなんだろう・・もしかして・・いやけどあんな美少女だから彼氏くらいいるのか? いちゃうのか?! もぉぉぉぉ! 敦士くん気になっちゃーう!
弁当そっちのけで完全に脳内ビックバン状態になっている敦士に、
「ちょっと、ちょっと。 あっくん! 弁当も食べないで何やってんの?!」
「なんだ敦士ぃ。もしかしてお前奏ちゃんに見とれてんのかぁ? うひひひ」
「そ、そ、そんなんじゃ・・ないしぃ? 全然見てなんて・・ないしぃ?」
脳内ビックバン状態の敦士は意表を突かれ、ついにはツンデレのテンプレさえもぶち破った。
「何あっくん! 奏ちゃんのこと興味ないみたいに言ってたのに! 本当は興味ありありなんでしょ! ねえ! そうなんでしょ!」
玲那は頬を膨らませながら敦士に少し怒った表情をして見せた。
「だから別になんでもねぇって! そもそも俺がどう思ってようがあんな美少女俺たちみたいな残念男どもを男として見やしねぇよ!」
「確かにそうかもだけど・・。けどあっくんは本当にどうも思ってないの?」
「だ、だから思ってないっての」
「そっか。なら良かった」
敦士のその発言に玲那はホッとした様子で残りの弁当を食べ進めた。
「けどさぁ、あんな可愛い子彼氏の1人や2人くらいいそうだけどなぁ」
駿のその発言に敦士は一瞬『ピクッ』とした。
「やっぱりいるかな・・彼氏。」
「いやぁ、わかんないけど。あんな完璧美少女だったら彼氏くらいいそうだけどな」
「だよなぁ。」
そんな話をしている時、駿は何かを思い出したかのように玲那に質問した。
「そーいやさ、玲那ちゃんて彼氏とかいないの?」
「え、えっ! 何急に! い、いる訳ないじゃんそんなの!」
「ふーん。そうなんだぁ。いやぁさ玲那ちゃんて、その・・可愛いしさ・・おっぱい大き・・。」
「キモい!!!!」
その言葉と同時に玲那は駿の顔面に本日二度目の右ストレートを打ち込んだ。
「もぉぉぉーひどいよー玲那ちゃぁーん・・。」
「うるさいっ! 駿くんは黙ってればましなんだから黙ってて!」
「またそれかよぉぉぉ。しかもましって何さぁー」
敦士は玲那の下ネタに対する免疫がなさすぎることに幼馴染として不安に思うところもありつつも、2人のやりとりを黙って見ていたのだった。
そんなやりとりをしているうちに昼休みは終わりを迎え午後の授業が始まるのだった。
「日曜日かぁ・・。なんの用事なんだろうなぁ・・。」
気づけば俺の脳内はこの話題でいっぱいになっていた。
時は過ぎ噂の日曜日になった。
あの黒髮ロングストレート色白天然美少女愛里奏が今日どんな1日を過ごすかはさておき、自称半ニートである俺にも久々に外出の予定がある。
俺が普段家にいるとき主にプレイしているゲーム『フィーナルフェンタジーX』内で1年以上も前からともにプレイしている戦友『ペックさん』と初めて会う約束をしているのだ。
『ペックさん』とはゲーム内で同じギルド(1つの組織の様なもの)に所属しており、オンラインの時はよく2人でパーティを組んでダンジョンに挑戦したりボスモンスターを倒したりしている。
たまたま住んでいるところが近く、歳も同い年ということだったので「一緒にどこかに出かけましょう!」ということになったのである。
もちろんお互いが男であることは双方ともに承知しているのでそんなに気まずい雰囲気もなく出かけることができるであろう。
「母さん、今日ちょっと出かけてくっから。お昼と夕食はいらね」
「あら、珍しいこと。誰とお出かけしてくるの?」
「ん、ああ・・友達。ゲームの。」
「そう。あんまり遅くならないようにしなさいよ」
「へいへい。うんじゃ行ってくるわ」
「はい。気をつけてね」
あまり外出に興味がなく私服をほとんど持っていない敦士は、ダサいとも言えずオシャレとも言えないようなパッとしない格好で家を出た。
ーーこのままだとだいぶ早めに着きそうだなぁ・・。
外での集合に慣れていないためか1時間以上も早く『ペックさん』との待ち合わせ場所にたどり着いてしまった。
「どっかで時間でも潰すかぁ」
そう言うと敦士は待ち合わせ場所の近くにあったゲームセンターへと入って行った。
読んでいただいてありがとうございます!
黒髮ストレートってやっぱりいいですよね!
次の話もお楽しみに!